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AbemaTVは「広告と課金の両立を目指す」。公営ギャンブルの配信・券売も

サイバーエージェントは30日、2019年度第1四半期決算を発表した。売上高は前年比13.2%増の1,108億円、営業利益は53億円となったが、2019年度通期営業利益は、当初見通しから100億円下方修正の200億円とした。先行投資期間にあるAbemaTVでは、新たに公営ギャンブルに参入するほか、有料会員「Abemaプレミアム」が好調で、会員数は35万8,000人と初めて開示した。

AbemaTVにおける公営ギャンブル展開は、「4~6月のどこかで開始できると思うが、チャンネルを作り、それと同時に券売事業を行なう」(藤田晋社長)とした。

AbemaTVを中心としたメディア事業の売上高は前年比29.0%増の95億円。AbemaTVとマッチングアプリの「タップル誕生」により増収で、同事業の営業利益は49億円の赤字。

下方修正に伴い、全社的なコストの引き締めを行なっており、AbemaTVにおいても「コストを見直して、投資を続けていく」という。AbemaTVのアプリダウンロードは3,700万、週間アクティブユーザー(WAU)は年末年始に過去最高の918万を記録。「一昨年の720万をなかなか超えられなかったが、昨年1年間はレギュラー番組を強化して、自力がついてきた」(藤田晋社長)とする。

また、テレビへのAbemaTVボタンの搭載にも積極的で、ソニーに続き、パナソニックなども採用。「新しく出荷されるテレビには、大体リモコンにAbemaTVボタンを搭載してもらえるような取り組みをしている」とした。

ソフトバンクの「ウルトラギガモンスター+」におけるAbemaTV対応や、アニメレーベルの設立、電通・博報堂との資本提携による営業体制の強化など、今後は他業種との連携によるAbemaTVの成長を目指す。

そして、最近のAbemaTVの傾向として「オンデマンド視聴」の拡大をあげる。

これまでは、リニア(リアルタイム)での視聴に軸をおいていたAbemaTVだが、見たいときに見る「オンデマンド」型の視聴が増えている。2017年12月に12%だったオンデマンド比率は、'18年12月に32%となった。

藤田社長は、「AbemaTVがスタートして約3年。当初は、インターネット上にテレビを作ろうという構想で、リニアだった。しかし、ニュースやスポーツなど生中継はリニアだが、パッケージになるとほとんどオンデマンドで観られている。特にAbemaTVのドラマは95%がオンデマンド。月曜10時の配信はショーケースのような役割で、その後オンデマンドで見られている。ユーザーの利便性を追求した形で、リニアとオンデマンドのハイブリッドを強化していきたい」とした。

また、有料会員「Abemaプレミアム」(月額960円)の会員数も「35.8万人」と初開示。昨年同期(8.0万人)との比較で4.5倍に伸びている。プレミアムの追っかけ再生やダウンロード、見逃しコメントなどの機能が支持されており、オンデマンド視聴が増えるにつれ、プレミアム会員が増加している。

そのため、「AbemaTVでは、広告と課金の両立を目指していく」としている。

新番組は、「特番とドラマで当てたい。ユーザー増に一番大きな役割を果たす」(藤田社長)として、2月から橋本環奈主演の「1ページの恋」を配信。「若年層ターゲットの純愛もの。なかなかテレビドラマで作りづらいが、『純愛ものをみたい』という声にこたえる」とした。

今後の展開としては、前述の公営ギャンブル展開のほか、番組のDVD化や他サービスへの販売などパブリッシング事業を立ち上げ。また、投げ銭機能の「ギフティング」も開発中。海外6カ国からの視聴にも対応する。

「他社連携や放送外収入やIPなどの様々なビジネスモデルを組み合わせて、新しいビジネスを作ってく。AbemaTVも引き締めるが、今後も売上をぐんと伸ばして、ふさわしいコストでやっていく」とした。

広告事業は過去最高の売上高625億円(前年比11.1%増)、営業利益は17.1%減の45億円。ゲーム事業は売上高363億円(同7.8%増)、営業利益は31億円(同43.4%減)。ゲームにおいては、「ドラガリアロスト」の広告宣伝費を12月に集中したことで、コスト増となったほか、ドラガリアロストのユーザーが伸びたものの、「課金がそれほど伸びるゲームになっていないと判断した」と業績予測を下方修正。「11月の段階でもコストが増えて売上が伸びていないことがわかり、見直しをかけたが10-12月では間に合わず。1-3月以降は落ち着く」としている。