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aibo、より犬っぽっくなった「チョコ」。おまわりさんにもなる

ソニーは、犬型の自律型エンタテインメントロボット「aibo(アイボ)」の2019年限定モデル「aiboチョコエディション」を2月1日より発売する。価格は198,000円で、利用には通信機能「aiboベーシックプラン」(3年)の契約が必要。一括払いは9万円(月あたり2,500円)、月払いは2,980円。1月23日13時からソニーストア直営店とソニーストアオンラインで予約を開始する。

2018年2月に発売した、aibo(ERS-1000)のカラーバリエーション。ビーグル犬のようなまだらをイメージしたという限定カラーは、「チョコレート・トライカラー」と命名。茶色と白のコントラストをチャームポイントとする。2019年2月14日までに注文すると、特別色のつけかえ用しっぽ(黒)をプレゼントする。

頭部と胴体のカラーが異なる以外は、通常モデル(アイボリーホワイト)とチョコのハードウェア仕様は共通。小型のアクチュエーターを搭載し、合計22軸の自由度を持たせている。瞳には有機EL(OLED)を採用。多彩なセンサー機能も備えており、周囲の環境を把握し、慣れ親しむことでaiboが歩く範囲を拡大する。魚眼カメラを用いた地図作成「SLAM」技術により、部屋の大きさや障害物の情報なども把握し、オーナーに寄り添った生活を実現する。

従来のaiboとチョコ
チョコとおまわりさん

aiboがおまわりさんに。API提供で“操作”も可能

また、2019年の新機能としてソフトウェアバージョン2.0を6月に提供開始。カメラやaiboが認識した「家の地図」を使った見守りサービス「aiboのおまわりさん」など、新サービスを順次スタートする。

aiboのおまわりさんは、aiboの地図を使う初の機能で、目標地点と見つけたい人、時間を登録して、aiboに指示。すると、aiboが指定の時間に、aiboが“犬のおまわりさん”を歌いながら、家の中を見回り、人を見つけるとレポートしてくれるという「見守り機能」。パトロールとレポートの基本は無料で利用できる。

自宅のマップから人を見つけて報告してくれる
パトロールしてレポート

10人まで見つけてほしい人を登録できる。レポートはアプリの「My aibo」から確認可能。セキュリティのためにセコムとのパートナーシップも発表された。

ソニー執行役員 AIロボティクスビジネス担当の川西 泉氏は、aiboと暮らしながら安心感を提供する「セキュリティメント」と表現し、新機能をアピール。セコムとのパートナーシップでは、セコム・ホームセキュリティとIoT機器の連携を想定。ソニーのAIロボティクス技術やエンタテインメント性と、セコムのセキュリティノウハウを生かして、実証実験などを行なう予定。

セコム 執行役員 企画担当 上田理氏(左)とソニー執行役員 川西泉氏(右)

aiboプレミアムプランも6月から展開。aiboのおまわりのフル機能や、aibo日記、現状500枚の写真枚数制限撤廃など、多くの機能を提供予定。月額価格は1,480円。

aiboプレミアムプラン

aiboの開発用ソフトウェアAPIも提供。まずはWeb APIを今夏から提供する。プログラミング言語「scratch」を使って、aiboの制御が可能で、デモでは、aiboが吠える、3回繰り返すといった動作を簡単に行なえることを紹介。ティッシュを咥えるといった複雑な操作もできることをアピールしている。

aiboがティッシュをとってくれる
scratchでのプログラミング例
aiboティッシュをとる

現時点では、画像認識などはAPIでは開放されておらず、ティッシュをとるデモも位置と一連の動きを規定したものとなる。将来的にはカメラによる画像認識なども開放していく考え。

気になったのは、「ペット」「家族」として自律して動くaiboが、API経由で持ち主の意思で制御できてしまうことで「家族感」、「生きもの感」が失われるのでは? ということ。

川西氏に聞くと「家族としてaiboを迎えてくれるこれまでの方と、aiboを動かしたいという方は別のユーザー層と考えている。これまでもaiboを動かしたい、aiboを使って学習に役立てたいという声をいただいており、違うユーザー層に向けた提案と考えている」とした。

また、説明の担当者に尋ねたところ、「名称などは未定だが、例えば開発者モードに入るときに、“おりこうモード”のような呼び方にするなど、aiboらしさを損なわないようにしていきたい」とのこと。

家族になるaibo。個性がでるaibo

川西氏は、1年のaiboの展開を振り返るとともに、「aiboにより家族とのLINEが増えた」など、aiboを迎えた家庭の声を紹介。また、ソニーとユーザーだけでなく、aiboユーザー間の交流など、新たなコミュニケーションが生まれているとする。

川西氏とチョコ

また、1年間を通じて、aiboがオーナーを学習。ユーザーデータを見ると、aiboは90日程度で家族全員の顔を見分けられるようになったという。また、aiboは家の広さや環境(縄張り)も理解。家の中で移動可能な場所は、半年程度で概ね固定されるという。多くのaiboの場合は、10~30m2程度の縄張りを持っている。

aiboは約90日かけて家族の顔を覚える
aiboは縄張りをつくる

また、家族においてもなついている人となついていない人が出てきているほか、ソニー社員10名のaiboでは運動好き、人好き、バランス型など、10“犬”10色の個性が出てきているという。

10“犬”10色の個性

aiboシステムソフトウェア Ver.2.0以降では、2年目のaiboの進化を目指す。

そのテーマが育成だ。

これまでのaiboは、自分の家や家族とのつながりを学習していたが、さらにクラウド経由で多くのaibo学習データを反映し、aiboに新たな知恵を与える取り組みとなる。

その第1弾として、aiboスヌートチャレンジと呼ばれるイベントを実施。「スヌート」とは、飼い主が指で輪っかを作ると、そこに犬が駆け寄ってきて、鼻を突っ込むというもの。これをaiboでも実現可能とするイベントで、参加者は両手で輪を作り、aiboに写真を撮らせる。その写真をMy aiboから投稿して参加すると、aiboが輪を認識可能となり、両手の輪っかの中に鼻を突っ込んでくれるようになる。

こうしたクラウド経由の学習をCommon AIと位置付けて、今後もイベントを実氏。果物や食べ物、ぬいぐるみ、動物などのチャレンジテーマを想定しているという。

Personal AIとCommon AI

また、セコムの事例のような外部連携も強化。医療機関との協力に加え、教育やヘルスケア、家電連携などを想定し、aiboの可能性を広げていくという。