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海外旅行でも安心! スマホのネット環境の選び方 海外ローミングやeSIMなど

ゴールデンウィークなど本格的な旅行シーズンがスタート。海外旅行を計画している人も多いのではないでしょうか。そんな海外旅行で、大切なのがスマホのネット環境です。

旅行先では、地図アプリで目的地までの経路を確認したり、観光スポットを調べたり、レストランを探したりと、普段よりネットを使う機会が増えます。何も準備せずに出発してしまうと、高額なローミング料金が発生したり、ネット翻訳が使えずホテルのチェックインに手間取ったり、配車アプリでタクシーを呼べなかったり、思わぬトラブルに見舞われることもあります。

この記事では、はじめての海外旅行でも安心してスマホを使えるように、タイプ別にわかりやすく紹介します。快適な旅行にするためにも、出発前にぜひ参考にしてください。

海外でスマホを使うためのネット環境

海外旅行でのスマホのネット環境は主に3種類があります。

・海外(国際)ローミング
日本で使っているスマホをそのまま海外でも使える方法。日本で契約しているキャリアを通じて、提携している現地の通信会社の回線にアクセスする仕組み
・モバイルWi-Fiルーター
海外で使えるモバイルWi-Fiルーターをレンタルして、スマホやタブレットをWi-Fi経由で使う方法
・現地のSIMカードとローミングeSIM
スマホに現地用のSIMカードやeSIMを設定して、現地のネット環境で使う方法

最も手軽な海外ローミング

3つの中で最も手軽に使えるのが海外ローミングです。

日本で使っているスマホをそのまま持っていくだけで利用できます。キャリアやプランによっては、申し込みすら不要で、現地に着いたらスマホの設定画面からデータローミングをオンにするだけで利用を開始できます。

料金についても、各キャリアが24時間単位のプランを用意しており、以前に比べてわかりやすくなっています。

例えば、ドコモ、KDDI、ソフトバンクはいずれも24時間980円前後で使えるプランを提供しており、短期旅行であれば手軽に利用できます。

ドコモの「世界そのままギガ」の料金プラン(アメリカ本土で利用する場合)

長期滞在では高額になりますが、ahamoや楽天モバイル、ソフトバンクの「アメリカ放題」など、追加料金なしで利用できるサービスも登場しています。

ドコモから発表されたばかりの新料金プラン「ドコモ MAX」と「ドコモ ポイ活 MAX」も、追加料金なしで30GBまで利用できる特典が付いてきます。

キャリア別 海外ローミングサービス

ドコモ

1日980円。70以上の国・地域で割引あり。契約中のプランのデータ量を利用

追加費用なし。国内利用分と合わせて30GBまで利用可能。海外でデータ通信した日から15日経過後に速度制限がかかり、解除するには日本に帰国してデータ通信が必要です

2025年9月以降から追加料金なしで30GBまで利用可能。6月5日のプラン提供開始日からは「世界そのままギガ」を契約することで、追加料金なしで30GBまで利用可能

au、UQ mobile、povo 1.0

データ無制限で24時間1,200円(事前予約で800〜1,000円)

約24.4MBまで最大1,980円/日、データ無制限で最大2,980円/日。povo 1.0は対象外

ソフトバンク、Y!mobile、LINEMO

495KBまで従量制、12.5MBまで1,980円/日、超過後は無制限で2,980円/日

ヨーロッパや韓国など主要国で3GB・980円から。それ以外の国は1MB・1,980円から。いずれも1日あたりの料金

アメリカ本土・ハワイなどでデータ無制限・追加費用なし。Y!mobileとLINEMOは対象外

楽天モバイル

毎月2GBまで無料。国際線の機内ローミングにも対応

なお、MVNOでは海外ローミングでのデータ通信は利用できません。そこで活用したいのが、KDDIのオンラインに特化したブランド「povo 2.0」です。

povo 2.0は基本料0円のベースプランにトッピングを組み合わせて利用するサービスで、24時間データ使い放題やローソンのからあげクン付きなど、バラエティに富んだトッピングが用意されています。

今契約しているMVNOから乗り換えず、新規でpovo 2.0を契約して海外データトッピングを購入すれば、必要な分だけ料金を支払って海外ローミングを利用できます。

povo 2.0の海外データトッピングはアプリから購入可能

1日あたりに置き換えると、データ容量は少なめですが、使い放題の海外ローミングよりも安く、対応する国や地域も160以上と多いのが特徴です。

例えば、ahamoのように国内利用分のデータ量が共通だったり、楽天モバイルのように海外で使えるデータ量が少なかったり、あるいは海外ローミングに対応していない地域に渡航する場合もあります。

こうしたケースでは、キャリアと契約している場合でも、サブ回線としてpovo 2.0の海外データトッピングを活用するのがおすすめです。

なお、海外ローミングの利用にあたっていくつか注意点もあります。

海外ローミングは、キャリアやプラン、オプションによって利用できる国や地域が異なります。渡航前に、自分の行き先が対象になっているか必ず確認しておきましょう。

また、現地に到着したら、スマホの設定画面でデータローミングをオンにする必要があります。設定を忘れると通信ができません。逆に必要ないときにローミングをオンにしていると、意図せず高額な課金が発生するおそれがあります。

さらに、使用中のスマホが海外ローミングに対応しているかどうかも、事前に確認しておきましょう。

複数人でシェアしてお得に使えるモバイルWi-Fiルーター

家族旅行や友達とのグループ旅行など、複数人で旅行するときに便利なのがモバイルWi-Fiルーターのレンタルサービスです。

ルーターのWi-Fiに接続するだけで利用できる手軽さに加え、スマホだけでなく、タブレットやノートパソコン、携帯ゲーム機など、複数のデバイスを同時にインターネットに接続できます。

海外ローミングでも、テザリング機能(AndroidのアクセスポイントやiPhoneのインターネット共有)を使えば、スマホ以外のデバイスをWi-Fi経由で接続できます。

ただし、テザリング中はスマホのバッテリー消費が激しくなるため、こまめな充電が欠かせません。その点、モバイルWi-Fiルーターを使えば、スマホのバッテリーを気にせず、利用できるのもメリットの1つです。

料金はローミングに比べるとやや高めですが、人数で割れば1人あたりの負担を抑えられるため、グループ旅行では特に魅力的な選択になります。

グローバルWi-Fiのアメリカ(本土)での利用プラン
紛失時の保証オプションも含めて見積もりしたところ早割などの適用で少し安くなった。海外ローミングの相場である980円/日・無制限よりも高額だが、3人以上で割れば、安く抑えられる計算に

モバイルWi-Fiルーターにはいくつか注意点もあります。

まず、Wi-Fiの圏外に出てしまうと、通信できなくなる点です。

対策として、povo 2.0の海外データトッピングをサブ回線として準備したり、人数が多い旅行ではモバイルWi-Fiルーターを複数台レンタルするのもおすすめです。

ルーター本体の紛失や盗難にも注意が必要です。旅行中はモバイルWi-Fiルーターの存在をついつい忘れがちになりますが、紛失すると通信ができなくなるだけでなく、保証オプションに加入していない場合、高額な弁償金が発生することもあります。

さらに、受け取りと返却の手間もあります。

モバイルWi-Fiルーターは、出発前に国内または現地空港のカウンターで受け取るか、自宅へ配送してもらうのが一般的です。帰国後は空港カウンターに持ち込むか、郵送で返却する必要があります。

当日、モバイルWi-Fiルーターを自宅に忘れてしまうというリスクと、現地に着いてすぐに利用するために、国内のカウンターで受け取るのがおすすめです。

安く抑えるならeSIMや現地のSIMカードを契約

できるだけ料金を抑えたい場合は、現地で使えるプリペイド型のSIMカードやeSIMを利用する方法もあります。

例えば、韓国のKTテレコムが販売する外国人専用のプリペイドSIMは、データ無制限で5日間27,500ウォン(約2,726円。記事執筆時点)で購入可能。4,000〜6,000円の海外ローミングと比べて、かなり安く利用できます。

KTテレコムの料金表

SIMカードは現地の空港や街中のショップで購入し、スマホに追加または差し替えて利用します。現地の言葉でスタッフとコミュニケーションを取りながら購入する必要があるため、海外ローミングやモバイルWi-Fiルーターに比べてハードルは高めです。

事前にネットで決済して、空港でSIMカードを受け取れるケースもあります。eSIMの場合は、購入後に設定用のQRコードがメールで届き、渡航前にeSIMをダウンロードできる場合もあります。

また、国内の空港にも現地用のSIMカードを販売する自動販売機が設置されています。プランは限定的ですが、準備を忘れてしまったときなど、手軽に入手できる手段として覚えておくと便利です。

新千歳空港に設置されているSIMカードの自動販売機
欧米対応の周遊プラン(15日間・10GB)が9,990円で販売されていた。1日あたりのコストは、海外ローミングより安く抑えられる。一方、povo 2.0の定額プランと比べると、対応国が広いぶん、1日あたりや1GBあたりの単価は高めに設定されている。

手間をかけずに料金を抑えたいなら、現地通信に対応したプリペイド型のeSIMサービス、ローミングeSIMが便利です。

出発前に専用アプリをダウンロードし、渡航先とプランを選んで購入。画面の案内に従ってeSIMをダウンロードすれば設定は完了です。

海外ローミングに比べて少し手間はかかりますが、AiraloUbigiGigSkyトリファといった多くのサービスが日本語に対応しているため、現地でSIMカードを探して購入するよりもスムーズに準備を進められます。

ローミングeSIMはアプリから購入可能。通話やSMSが利用可能なプランが用意されている場合もあります

また、出発前に契約できるため、旅行の日程に合わせてじっくりプランを選べることや、現地到着後すぐにネットが使える点もローミングeSIMの大きなメリットです。

料金は韓国で5日間使う場合、トリファでは3GBが1,680円、5GBが3,280円(セール価格で2,620円)、無制限が4,280円で提供されています。現地SIMほど安くはないものの、無制限が必要なければ、海外ローミングよりも概ね安くなります。

注意したいのは、SIMカードやeSIMを入れ替えたタイミングで、普段使っている電話番号やSMSが使えなくなってしまうこと。

最近のスマホは、2つのSIMを同時に設定できるデュアルSIMに対応しているモデルが増えていますが、基本的にはSIMカード+eSIMの組み合わせで利用できます。

例えば、普段からeSIMを使っていて、海外旅行中にローミングeSIMを利用する場合は注意が必要です。機種によっては2つのeSIMを同時に設定できる場合もあるため、旅行前に対応状況を確認しておきましょう。

ま海外ローミングと違って、海外からのアクセスとなるため、アクセスがブロックされてしまい、日本国内のサービスやウェブサイトが利用できないこともあります。

例えば、欧州からYahoo! JAPANにアクセスすることはできません。また、Netflixでは広告つきプランが利用できない場合もあります。

Netflixの広告付きプランは海外からは利用できないことも

旅行プランにあったネット環境を選んで、快適な海外旅行を

3つのネット環境からどれを選ぶかは、予算や使い方に合わせて検討することになりますが、まずは海外ローミングから利用を検討すると、スムーズに決まりそうです。

家族旅行や友達とのグループ旅行、出張などでスマホ以外のデバイスも使いたい場合や、複数人で料金をシェアしてコストを抑えたい場合は、モバイルWi-Fiルーターをレンタルするのもおすすめです。

少人数でとにかくコストを抑えたいなら、ローミングeSIMや現地で利用できるSIMカードを活用する方法もあります。

また、はじめての海外旅行では、通信が不安定になったり、データ量が足りなくなったり、モバイルWi-Fiルーターの紛失や盗難といったトラブルに備えて、複数の回線を用意しておくと、より安心して旅行を楽しめます。

なお、データ通信とは別に、海外では音声通話やSMSの利用にも注意が必要です。

通話やSMSは高額な国際料金がかかることがあるため、できるだけLINEの通話機能など、データ通信を利用する連絡手段を活用するのがおすすめです。

Yusuke Sakakura

スマートフォンやタブレット、アプリ、サービス、アクセサリを総合的に取り扱うブログメディア「携帯総合研究所」を運営しています。高校生のころに立ち上げて今年で18年目に突入しました。趣味はNBA観戦。