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PayPayついに収益化へ 「PayPayあと払い」スタート
2022年2月1日 08:30
PayPayは、2月1日から新しい「PayPayあと払い」をスタートする。PayPayカードと連携することで、PayPayで当月利用した金額を翌月まとめて支払えるというサービスで、ユーザーの利便性の向上に加え、収益化に向けた「PayPayのメインのプロダクト」になるという。
2月1日10時から予約受付開始する「PayPayあと払い」の狙いを聞いた。
アプリとカードのいいとこ取り
PayPayあと払いは、「PayPay」アプリ上で、当月利用した金額を翌月まとめて支払えるサービス。PayPayあと払いのミニアプリから、チュートリアルに沿って利用手続きを行ない、登録手続きが完了すると「PayPayカード」のバーチャルカードがすぐに利用できるようになる。
つまり、「あと払い」の仕組みとして、PayPayカード(バーチャル)を必ず自動発行し、カードの与信枠の中であと払いを行なう。
また、オプションとしてプラスチックカードも発行でき、プラスチック製のPayPayカードは、JCB、Visa、Mastercardの3ブランドから選択可能。プラスチックカードを申し込まない場合、バーチャルカードのブランドはJCBとなる。
PayPayでは、あと払いについて「アプリとカードのいいとこ取り」をした新しい支払手段と位置づける。
PayPayは従来よりカード払いに対応しているが、カード払いの場合はPayPayボーナスがつかず“お得”にならず、「PayPay残高」に銀行からチャージしてから支払うのが基本となっている。PayPayあと払いではPayPayカードを使うことで、チャージ不要で翌月27日にまとめて支払いできる。一定のPayPayボーナスがお得に付与されながら、残高不足などのエラーに悩まされずにPayPayを使えるのがメリットだ。
また、PayPayの加盟店は実店舗が中心で、オンラインのPayPay対応はまだ半ば。あと払いではバーチャルカードを発行するため、カード決済対応のECサイトでの支払いが可能で、ポイント(PayPayボーナス)も貯められるなど、「使う場所が増える」こともユーザーにとってのメリットとなる。
バーチャルカードの発行は「申込&審査で最短7分で使える」とのこと。
ただし、クレジットカードを新たに発行するため、利用者は18歳以上(高校生除く)に限定され、本人確認などの申込手続きとPayPayカードの審査が必要となる。バーチャルカードのみの場合でも審査の基準は「通常のPayPayカードと同じ」(PayPayカード マーケティング本部 長田健二本部長)とのこと。メルペイのあと払い「メルペイスマート払い」などでは、「売買データ」などの行動データを与信判断につなげる「AI与信」を取り入れているが、PayPayあと払いではそうしたデータは使っていない。
支払いは「翌月払い」のほか、「リボ払い」を選択できる。分割払いはカードとして支払い時に、加盟店が対応していれば可能(QRコード決済時は不可)。翌月1回払いの手数料は無料だが、リボ払い・分割払いでは手数料が発生する。
カードの毎月の限度額はPayPayカードの審査によるが、PayPayあと払いの上限は30日間で25万円。PayPayアプリ内でユーザーが限度額を変更できるので、「使いすぎに注意して低めに設定」といったことも可能。
また、PayPayカード払いだけでなく、「PayPay残高」や「銀行口座引き落とし」にも対応する。
PayPayでは、三菱UFJ銀行と楽天銀行からの「チャージ」には対応していないが、あと払いの「一括引き落とし」では両行からの支払いが可能なため、銀行がPayPay未対応のため使えなかった人も、PayPayを使いやすくなるという。なお、2月1日以降も三菱UFJと楽天銀行からのチャージには対応ぜず、一括引き落としのみの対応となる。
上限は25万円。PayPayを使いやすくする
これまでのPayPayでも支払い手段にカードを登録できたが、本人認証サービス(3Dセキュア)を設定しないクレジットカードは30日で上限5万円まで(青バッチが付いていると25万円まで)だった。
PayPayあと払いの上限は「30日で25万円まで」となり、PayPayカードの与信枠の中で、25万円までがあと払いに活用できる(カードの与信枠が25万円に満たない場合は、与信枠がPayPayあと払いの上限となる)。なお、PayPay残高払いの上限は50万円/24時間、200万円/30日。
また、PayPayあと払いでの支払いは、利用状況に応じて最大1.5%のPayPayボーナスが付与される「PayPayステップ」の特典付与対象となる。そのためPayPayボーナスを貯めやすいサービスとして「PayPayあと払い」を訴求していく。
現在のPayPayでは、PayPay残高をチャージして支払う人が「圧倒的に多い」という。ただし、「都度チャージするのが手間」「使いたい時に残高が足りない」という利用者の声は多かったという。
PayPayの支払手段にカードを登録すればチャージ不要となるが、PayPay/ヤフーカード以外ではPayPayボーナス付与がなく、“お得”には使えない。PayPayあと払い(PayPay/ヤフーカード)の場合、PayPay残高払いより少ない場合もあるが、一定のPayPayボーナスが付与される。
PayPayカード発行により対応店舗が増えることも、PayPayあと払いのメリット。自動発行されるバーチャルカードは、PayPay非対応のECサイトでの決済手段として利用できるほか、プラスチックカードを発行すれば、実店舗のカード払いも可能となる。
また、PayPayあと払いの上限額は25万円のため、「25万円を超える高額商品購入はPayPayカードを利用する」といった使い分けにも対応可能だ。
カードとPayPayあと払いの利用額は、PayPayアプリ内の「あと払い」ミニアプリで確認できる。PayPayカードは券面にカード番号などが無いナンバーレス仕様のため、アプリでカード番号やセキュリティコードを確認する。アプリでは利用レポートや限度額設定などが可能で、支払いを“見える化”できる。
PayPay 金融事業統括本部 金融戦略本部の柳瀬将良 本部長は、「後払いとカードの両方に対応できるのが、PayPayあと払いの価値」と説明しており、チャージ無しかつお得にPayPayを使える選択肢として「あと払い」を推進していく考えだ。
収益化に向かうPayPayの「メインプロダクト」
PayPayユーザーにとってメリットが多い「あと払い」導入だが、PayPayの事業戦略においても大きな転換点となる。
それはリボ払い等の手数料によるユーザーからの「収益化」だ。
PayPayでは、'21年10月の決済手数料の有料化など加盟店からの収益化を進めており、店舗数の単純拡大フェーズから収益化に舵を切っている。ZHDの決算会見等でも、決済手数料や加盟店サービスに次ぐ、収益の“柱”の金融サービスとして後払いやローンの導入に言及していたが、今回のPayPayあと払いで、PayPayユーザーからの収益化に踏み切った形だ。
今後の事業目標は公表していないが、収益化に向けた「PayPayのメインのプロダクト」(PayPay金融戦略本部 柳瀬本部長)と位置づけている。
利用者が4,500万人を超え、「スマホユーザーの2人に1人が使う」というPayPay。PayPayあと払いは、決済のみならずユーザーの生活に変化をもたらすサービスになっていくかもしれない。