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PayPay、ついに手数料有料化。10月以降は1.6%から

PayPayは、10月1日以降の加盟店手数料を最低1.6%からと発表した。2種類の手数料を設定しており、月額1,980円(税別)の「PayPayマイストア ライトプラン」利用者は、PayPay上にストアの紹介ページなどを作成でき、手数料は1.6%。同プラン未加入で決済機能のみを使う場合は、手数料1.98%となる。

PayPayは、2018年10月にスタートし、現時点で4,000万超のユーザーを抱える規模に成長した。これまでは、中小店舗向けは加盟店手数料を無料とし、積極的に規模の拡大を図ってきたが、スタートから4年目を迎える'21年10月からは手数料を有料とし、収益化を図っていく。

ただし、一般的なクレジットカード(3.24%程度)などよりは手数料を抑え、国内のQRコード決済事業者としては最低水準にする。「クレジットカードの約半分。国際水準でも引けを取らない」(PayPay 馬場一 副社長)と強調し、PayPayマイストアによるユーザー獲得施策などとあわせて、PayPayの利用拡大を図っていく。

PayPay上にストアページ。お店のスタンプカードもPayPayで

店舗向けに展開するのが「PayPayマイストアプラン」。ユーザーと店舗の“繋がり”を作り出せるツールで、店舗の写真やメニュー、料理の写真などを登録した「ストアページ」を作成でき、PayPayユーザーがお店について詳しく知れるようになる。このマイストアプランを月額1,980円で提供する。

PayPayユーザーは、PayPayアプリからお店の評価やレビューを確認できるほか、レビューなども送れる。お気に入りの店舗を「フォロー」も可能。さらに、店舗からユーザーに「クーポン」を発行できるなど、アプリ上でのマーケティング活動も可能。新規顧客の獲得に役立てられる。

クーポンは、新規の客や馴染みの客など、ターゲットごとに送れる。また、2021年度中にお店の「スタンプカード」も発行可能になる。これにより、スタンプを貯めた人に特典を付与するなど、お店と客のつながりを作り出し、「再来店」を促進する。

管理ページ「PayPay for Bussiness」では、ストアへの来訪者やクーポンの発行回数、スタンプの利用状況などを確認できる機能を提供。さらに店舗運営のデジタル化のため、入金や決済だけでなく、テーブルオーダー、ユーザーへのメッセージ機能、ビジネスローンなどを用意。また、スタッフの面接やシフト管理機能なども提供予定としている。

10月からは手数料有料化となるが、6カ月間はPayPay決済額を3%振り込むキャンペーンを実施。条件として、店舗のPayPayマイストアプラン加入が必須となるが、PayPayで300万円の決済があった場合、9万円が店舗に戻される。

また、街のお店支援や自治体と協力したキャンペーンなどを強化。コロナ禍で苦しむ店舗をキャッシュレスで支援しながら、「お店のDX」を推進していく。

PayPay、まちのお店で20%還元「街のPayPay祭」。9月13日から

PayPay 馬場一 副社長は、「これからはマイストアを軸に、お店の効率化や利益の向上、利便性、お得などを提供していく。PayPayはどんどんやっていきます。追撃の手は緩めません」と、マイストアによるPayPayの収益力強化をアピールした。

スマホ決済の2/3はPayPay。現金からPayPayに

PayPayの中山一郎社長は、2019年から2021年までの日本における「決済」の変化について言及。決済回数において、スマートフォン決済が4%から14%と急拡大した一方で、現金が55%から39%に減少しており、「スマホ決済は市民権を得た。日本のキャッシュレスが進んだ原動力がスマホ決済」とした。キャッシュレスが進んだ理由として、「PayPay登場」「キャッシュレス消費者還元事業」「非接触ニーズの高まり」の3点をあげて説明。

スマホ決済が定着した
スマホ決済伸長の理由は「PayPay」

そのスマホ決済のなかでも、「PayPayのシェアは2/3」と強調。取り扱い高で68%、回数で66%と圧倒的なシェアとなり、2020年の決済金額は2.8兆円、決済回数は17.9億回。2021年度は第1四半期だけで2年前(2019年)の1年間に相当する決済金額・回数を達成、2021年度も大きな成長が見込まれるという。

PayPay中山一郎社長

オフライン、オンライン、請求書払い、送金のそれぞれの用途で利用者数が拡大。「PayPay Everyware」として様々な領域でPayPayの利用を加速していく。

オンラインではPayPayアプリだけでなく、セブン-イレブンアプリからのPayPay決済が伸長。セブンアプリでのPayPay利用者は650万人を超えている。

オンラインでは、ユニクロなどの対応店舗が拡大。ヤフーショッピングやPayPayモールでの利用も「右肩上がり」とした。請求書払いも、電気・ガス・水道など47都道府県で利用が拡大し、2021年第1四半期は前年同期比で3.8倍になった。

個人間送金は、銀行経由で年間15億回。対して2020年のスマホ決済の送金は4,400万回だが、そのうちPayPayが約8割の3,400万回という。2021年にはさらに伸びており「おそらく今年度は1億に迫る、ないしは超える個人間送金が行なわれる」とした。また、今後は、PayPay銀行、PayPay証券などの金融サービスとも連携。PayPay上で資産を確認してくらしを便利するサービスを目指す。

今後のPayPayの取り組みとして、「3年間やってきて、昨年ようやく3兆円となったが、まだ日本の個人消費300兆円のたった1%、世界の個人消費6,000兆円の1/2,000。現金の世界から、キャッシュレスの利便性が高く効率が良い世の中を作っていきたい」と説明。

官民の連携についても強調し、「2020年の日本のキャッシュレス比率は29.4%で、政府が掲げる40%の実現が見えてきた。将来の80%を目標に、官民で協力し、利便性の高いキャッシュレスを実現したい」と政府の協力を呼びかけた。