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「カップヌードルソーダ」を飲んだ。「もう一生味わえない味」

発売と同時に即日完売した日清の「カップヌードルソーダ」。筆者は発表直後に日清の公式サイトから購入しました。価格は2,998円です。発表直後でしたので、筆者の場合はスムーズに購入できましたが、その後まもなくアクセスしづらい状態になり、完売してしまいました。

まず、「カップヌードル」なのに「ソーダ」というキーワード。脳が混乱します。カップヌードルなのに炭酸飲料です。こんな組み合わせは考えたことすらありませんが、現実に製品として発売されました。カップヌードルの味に、炭酸と甘味料が入っているというのは想像できません。なので買ってみることにしました。正直なところ、「さすがに売れないのではないだろうか」と思いながら購入したのですが、予想に反してあっという間に完売していました。

公式サイトから購入できたのは「カップヌードル 50周年コンプリートセット」です。セット内用は、カップヌードル8種と、カップヌードル味の「うまい棒」8種、そして「カップヌードルソーダ」4種になります。カップヌードル8種と、うまい棒は、美味しくて当然ですので、今回は割愛させていただきます。あとで大事に頂きます。

カップヌードルソーダ4種がついています。単品販売はありません
セットのカップヌードル8種
セットのうまい棒も50周年記念の特別製です。確実に美味しいはず

4種で一番マズかったのは……

カップヌードルソーダの味は「カップヌードル ソーダ」「カップヌードル シーフード ソーダ」「カップヌードル カレー ソーダ」「カップヌードル チリトマト ソーダ」の4種類です。全体的に意味がわかりません。この中でどれが「飲めそうか」と言われても返答に窮しますが、公式サイトでは味覚について下記のように説明しています。

・カップヌードル ソーダ:しょうゆやペッパーの香りをきかせたジンジャーエール仕立てのソーダ
・カップヌードル シーフード ソーダ:魚介の風味が隠し味のクリームソーダ仕立てのソーダ
・カップヌードル カレー ソーダ:カレーのスパイスが香るコーラ仕立てのソーダ
・カップヌードル チリトマト ソーダ:ピリッとした刺激が爽やかなトマト仕立てのソーダ

左から「カップヌードル シーフード ソーダ」「カップヌードル チリトマト ソーダ」「カップヌードル カレー ソーダ」「カップヌードル ソーダ」

どれをとっても「????」としか言いようがなく、理解が追いつかないですが、とりあえず実際に飲んでみることにします。

「麺・スープ・具材は入っていません」

まずは、カップヌードル ソーダから。一応、ジンジャーエールということですが、ジンジャーエール自体、そもそも「しょうが」ですので、本来はフルーツジュースなどとは一線を画しています。そういう意味では、「しょうゆやペッパーぐらいアリなのでは?」と可能性も感じさせてくれます。

開封すると香りはジンジャーエール風。口に含むと、ほのかにしょうゆとペッパーベースのカップヌードルの香りがするジンジャーエール。たぶん、ジンジャーエールにカップヌードルスープを入れれば再現できそう。ちょっと癖の強いジンジャーエールという感じで飲めなくは無いですが、飲めるか飲めないかのギリギリを責めてくる感じの味覚で思考が混乱し、口数が少なくなります。残念ながら“可能性”は感じませんでした。

色は濁ったジンジャーエールというか、緑茶のよう
香料だけのジンジャーエールが多い中、ちゃんと「しょうが」も入っています

次はシーフード ソーダ。説明を読んだとき、ダントツでヤバそうだと思ったのは私だけではないと思います。なにせ、「魚介の風味」です。この時点でどう考えてもアウトで救いがないように見えます。どんなに美味しいソーダでも、隠し味に魚介風味があった時点でどうにもならない予感しかしません。

まず、香りは濃厚なクリームスープのようで、クリームソーダという感じではありません。口に含むと、まんまクリームスープ的な味わい。ただし炭酸入り。「かきエキス」などが入っているわりには、思ったより気持ち悪くなかったのが意外です。魚介の風味はそれほどでもなく、ソフトドリンク側に寄せてきたクリームスープ(炭酸入り)という感じです。確かにカップヌードルのシーフード味っぽい名残はありつつ、炭酸と甘みがあります。意外と拒否感はありませんでしたが、グイグイイケるかと言われると、ちょっと無理です。

ちょっと青白い
かきエキス入り

次は、カレー ソーダ。カレーです。「カレーは飲み物」と言われることもありますが、こういうことではなかったはずです。カレー料理は、基本“ハズレ”は少ないはず。何を入れてもだいたいなんとなく旨くなります。しかし、世の中にはわさび味のソフトクリームもあります。カレー味くらいいけるのでは?と思わなくもありません。

開封した瞬間に漂うカレーの香り。明らかにコーラではなく、カレーが勝っている印象。口に含むと、常にカレーの風味の中にコーラが時々主張してきますが、全体的にはコーラ風味の甘いカレーです。甘口のカレーでは無くコーラの甘みのカレーです。漢方薬かなにかにありそうな風味ではありますが、とにかく飲んだ後もいつまでも口に残る不快感。これまで味わったことがありません。

今回ダントツで、マズいと思ったのがこれです。コーラにカレー粉を溶かし、適度に甘味料を加えていただければ、わりと雰囲気は再現できそうです。カレーの香り高さとコーラ味のギャップがメンタルに直撃する逸品です。

色は完全にコーラ
材料もコーラっぽい

最後はチリトマト ソーダです。事前の印象ではこれが一番マシなのでは? と思いました。そもそもトマトジュースが存在しますし、最近のトマトは糖度を上げた「フルーツトマト」などもあり、甘みとの相性がよさそうだからです。さらに、トマトジュースを使ったカクテルなどもメジャーです。

開封すると若干トマトジュースっぽい香り。口に含むと、個性的な風味ではありますが強烈なエグみはそれほどではありません。成分表を見るとオレンジが入っており、なるほど、じつは結構オレンジジュースです。ならいけるだろう、と思われるかもしれませんが、そこに「チリ」が乱入してきて邪魔をします。チリが悪い意味で良い仕事をしており、本来なら普通に飲める素材の組み合わせを的確に妨害してきます。チリがいなければ普通に飲めるジュースです。でもチリがいるんです。

色はあざやか
オレンジ入り

もう二度と味わえない味

結果としてもう一度飲みたい、と思わせるものは一つもありませんでした。「なんだかんだで、おいしくまとめてくるのでは?」などと甘い想定をしていた自分が恥ずかしくなります。日清はそんなことでお茶を濁すようなことをせず、ガチで作り込んできているのは間違いありません。正直マズいのですが「これ全然カップヌードルじゃないじゃん」という感想だけはありませんでした。どれもしっかり覚えのあるカップヌードル風味です。その姿勢には頭が下がります。そもそも「おいしい」と思って貰うために作っているわけではなく、楽しんでもらうために作ったであろうことが伝わってきます。

「おいしいソーダに」

飲み終わって記事を書いている現在も、口の中にカレーコーラの甘みが残り若干胃のあたりがモヤモヤします。しかし、恐らくこの製品をもう一度再販することはないでしょうし、類似品を出そうという勇気あるメーカーもないでしょう。そう考えれば、カップヌードル ソーダは、まさに一生に一度しか味わえない味といえます。この味にはもう二度と会えないのです。この味を知っているのは、人類のごく一部だけ。世の中には知らない方がよいこともあるのかもしれません。