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マイナンバーカード、2021年は健康保険証対応。'22年度末全国民普及へ

2020年は「マイナンバーカード」が注目を集めました。マイナンバーカードは2016年1月から発行開始され、顔写真付きの「本人確認書類」として活用されてきましたが、一昨年までは普及には程遠い状態でした。しかし、2020年に入ると、5月からの「特別定額給付金」、9月からの「マイナポイント」など、マイナンバーカードを“持っていること”の便益が広がり、よりお得というシーンも増えてきました。

現時点では、本人確認のほか、コンビニでの住民票などの各種証明書の取得、確定申告などで利用できますが、2021年も機能強化が予定されています。また、2024年度末を目処にマイナンバーカードと免許証との統合などが予定されているなど、政府のデジタル推進の重要なテーマに位置づけられています。

ここでは、今後のマイナンバーカードの機能強化やロードマップなどを簡単におさらいしておきます。

今後の主なスケジュール

2021年3月(予定)~

・マイナンバーカードの健康保険証利用開始

2021年秋(予定)

・マイナポータルで自分の薬剤情報や特定健診情報を確認可能に
・マイナポータルで自身の医療費情報の確認可能に

2022年から順次

・マイナンバーカードの国立大学での利用促進
・ハローワークカードとしての利用
・電子版ジョブカードとしての利用
・建設キャリアアップシステムとの連携
・Androidスマホへの一部機能搭載(2022年度目標)

2024年以降

・マイナンバーカードと運転免許証の一体化(2024年度末目標)
・海外からのインターネット投票などマイナンバーカードの海外利用

2021年は健康保険証やお薬手帳対応

健康保険証

まもなく、2021年3月(予定)からマイナンバーカードを「健康保険証」として利用できるようになります。

これまでは、転職などで保険者が変わった場合、新しい健康保険証の持参が必要となっていましたが、マイナンバーカードを健康保険証として利用することで、加入する保険者が変わっても、新しい健康保険証の発行を待たずに受診が可能になります。

また、現在医療費は約1~3割の自己負担で、急な入院などで高額の医療費を自己負担した場合は、後で手続をする必要があります。従来、立て替え払いが難しい場合は、「限度額適用認定証」の提出が必要でしたが、マイナンバーカードを健康保険証として利用すれば、限度額適用認定証の提出の手続なく、自己負担額のみの支払いで済むようになります。

健康保険証の登録は、「マイナポータル」から行なえます。マイナポータルは、行政機関などでの手続をオンラインで簡単に行なうためのプラットフォームで、マイナンバーカードを使ったさまざまな電子申請の窓口となります。

なお、マイナポータルについては、6月のデザインリニューアルを目指し、「デジタル改革アイデアボックス」で新デザイン・機能についての意見募集が行なわれています。募集期限は1月15日までで、秋以降順次デザインの見直しが図られる見込みです。

マイナポータルで自分の薬剤情報を確認可能に

2021年10月(予定)からは、マイナポータルで薬剤情報を閲覧可能になります。従来は、患者自身が「お薬手帳」に記録して保管・管理する必要がありましたが、マイナポータルで薬剤情報がわかるようになります。

また、特定健診結果も、現在は保険者等から加入者に通知される「結果通知書」を確認する必要があります。2021年3月(予定)からは、マイナポータルで閲覧可能になります。

マイナポータルで医療費情報の確認。

医療費情報の確認にも対応予定。2021年分所得税の確定申告(予定)から、確定申告でも、マイナポータルを通じて医療費情報を取得し、医療機関等の領収書がなくても手続ができるようになります。そのため、来年以降は確定申告の医療費控除がカンタンになると見込まれます。

2022年以降には、スマホ搭載や免許証一体化

2022年以降は、マイナンバーカードの国立大学での利用促進や、ハローワークカードとしとの活用などが見込まれています。2024年以降、海外からのインターネット投票などマイナンバーカードの海外利用にも対応予定です。

さらに、スマートフォンへのマイナンバーカード機能の搭載が2022年度目標(Android)で、2024年度末にはマイナンバーカードと運転免許証の一体化も予定されています。

マイナンバーカードと運転免許証の一体化イメージ

重要度を増すマイナンバーカード

また、「マイナポイント」事業も、当初の3月末までから9月まで延長が予定されています。マイナポイントは一定の手続き後、キャッシュレス決済サービスで2万円のチャージまたは買い物をすると、1人上限5,000円分のポイントが付与されるもの。マイナンバーカードの取得は無料ですので、利便性だけでなく“お得”という点でも、マイナンバーカード取得を促す仕組みになっています。

政府のデジタル推進の中心に位置づけられた「マイナンバーカード」。政府は、2023年3月末(令和4年度末/2022年度末)までのマイナンバーカードの全住民への普及を目指していますが、2020年12月1日時点での交付枚数は2,934万。普及率は23.1%です。

ようやく普及が始まったばかりといったところですが、上記のように今後生活における重要度が増していくのは間違い無さそうです。ただし、マイナンバーカードの申請から発行まで、1カ月程度かかります。まだ入手していない人は、余裕をもって申請しておきましょう。