いつモノコト

めっちゃスムーズにハンドルが動く マルチツール新定番「レザーマン FREE P2」

プライヤーが特徴のマルチツール

レザーマンのマルチツール「FREE P2」

いわゆる「十徳ナイフ」と呼ばれるような製品(マルチツール)は、ひとつ持っていると何かと便利だ。さまざまな機能が小さくまとまっているので、キャンプなどアウトドアに持っていくには最適だし、トラブルが起こっても「とりあえず対応できる」という心強さがある。また日常生活においても、工具箱を持ち出してくるより早いので、手元にあると意外と出番は多い。筆者は最近の引っ越しでいろいろなモノを捨ててしまったため、出番の少ない缶切りや栓抜きなどはもはやマルチツールに搭載されているものしかない状況だ(まだ使ったことはないが)。

筆者はこれまで、父親から貰った「レザーマン」のマルチツールの最初期のモデルを持っていたのだが、さすがに時代相応の設計のおおらかさや、使いにくさもあったので、改めて調べなおし、同じレザーマンの最新モデル「FREE P2」を買ってみた。価格は22,000円だ。

筆者が父親から貰い受け持っていた、レザーマンの第1号製品「ポケット・サバイバル・ツール(PST)」。1983年の発売だ

レザーマンのマルチツールは、プライヤー(ラジオペンチ)を備えているものがほとんどで、同社の製品の特徴にもなっている。プライヤーはしっかりとした造りなので、現在の製品であれば、工事の補佐や道具の補修、日曜大工、針金を使う庭仕事といった作業にはぴったり。その場しのぎではなく本格的に使い込めるレベルだ。また同社の製品は基本的にタフな造りがウリで、各ツールは高精度で剛性が高く、すべてステンレス製のモデルも少なくない。

「FREE」シリーズは、本体構造をゼロからデザインし直したという、レザーマンの次代を担う新シリーズ。その中の「FREE P」シリーズは、アウトドア用や重作業用といったように用途は限定しておらず、プライヤーを中心にまんべんなく工具を搭載する汎用モデル。「P2」は機能数19のスタンダードモデルで、より多くのツールを搭載した「P4」もラインナップされている。ほかにも、プライヤー非搭載の小型ボディにツールを厳選した「FREE T」シリーズ、しっかりとしたフォールディンナイフを中心にした「FREE K」シリーズがある。いずれもFREEの名を冠しているように、スムーズにツールを展開できて、展開した状態をロック機構でしっかりと保持できるというのが特徴だ。

「FREE P2」閉じた状態
後ろ側にはクリップ
手に収まるサイズ
搭載ツール
付属の専用ケース

マグネット、ロック、スムーズさ。すべてが刷新された新シリーズ

「FREE P」シリーズは、それまでのシリーズと比較して、デザインから機構まですべてが刷新されているといっても過言ではない。その最大の変更点は、マグネットにより本体(ハンドル)が閉じられるという点と、各ツールの展開にロック機構が装備された点だ。そしてそれにより、ハンドルやヒンジの回転がかなりスムーズになっている。

レザーマンのマルチツールはアイデンティティーとしてプライヤーを搭載しているモデルが多く、収納状態からハンドルを2カ所ぐるりと180度回転させるとプライヤーが使えるようになる、という設計が基本だ。一方で、タフな造りも特徴にしているので、こうした本体の回転部分はかなり固く締まっている。プライヤー以外のツールを開いて出すのも同様で、出すのも仕舞うのもグイグイと力を入れる必要があり、指先が痛かったり爪を痛めたりすることも多かった。

新しい「FREE P」シリーズは、閉じた状態をマグネットで固定するという機構を搭載したおかげで、ハンドルのヒンジを固くする必要がなくなり、スムーズに回転するようになった。マグネット部分を開けば、ハンドルが自重でくるんと回転するほどで、同社では「片手でプライヤーに移行できる」とうたっている。当然、閉じる時もロックを外せばスムーズに回転し、マグネットでパチンと閉じられる。

筆者がそれまで使っていたのは、レザーマンの日本展開における最初期のモデルだったので、「FREE P」シリーズのハンドルのスムーズさは感涙モノといってもいい。

マグネットで閉じているため、ハンドルはスムーズに回転
レザーマンのアイデンティティーでもあるプライヤーを展開したところ
プライヤー展開時、ハンドルの根本にロック機構が用意されている
プライヤー部分は精巧で信頼できる造りだ

スムーズになったのはプライヤー展開時のハンドルだけでなく、各ツールの取り出しについても同様だ。こちらは刃物もあるため、勝手に動きだすことはなく、指先で押してやる必要はあるが、それでもかなり動かしやすくなっている。爪でひっかけるのではなく指先で押せば展開できるようになっているのも、従来から進化している点だ。

爪でひっかっけるのではなく、指先で押して取り出せる

このスムーズな動きとセットになっているのが、各ツールを最後まで開くとロック機構で固定される仕組みだ。従来製品は、ヒンジの回転の固さがロック機構のように機能していたのだが、「FREE P」シリーズは明確なロック機構が搭載され、一度展開したツールはロックを解除しない限り戻らないようになっている。ロック機構はカチッと音や手応えがあり、表と裏のどちらからでも解除できるという設計も秀逸だ。

ツールのヒンジ部分にあるロック機構。ツールを開ききるとパチンとロックされる
ノブを押すことでロックを解除。裏側からでも操作できる

このほか、ぱっと見では分かりにくいものの、従来と大きく異なっているのは、プライヤー以外のナイフやハサミ、ドライバーといったすべてのツールが、閉じた状態のハンドルの外側に搭載されている点だろう。従来モデルはツールがハンドルの内側に搭載されていることが多く、小さなツールを使うだけでも一旦ハンドルを開く必要があった。しかし「FREE P」シリーズは、ハンドルを開くことなく各ツールに直接アクセスして展開できるようになっている。

各ツールは閉じた状態の外側に搭載されており、本体のハンドルを開くことなくアクセスできる

加えて、プライヤーとして使う場合、ハンドルを握りやすくなったのも見逃せない。従来モデルは(閉じた状態の)内側にツールを搭載しており、プライヤーを使うためにハンドルを展開すると、そのツールの詰まった面が外側に向いてしまっていた。これだと手の平に金属の細い部分が押し当たるため、素手では握り込みにくかった。作業用のグローブと使うことが望ましいとはいえ、プライヤーとして気軽に使うことをためらう原因にもなっていたことは否定できない。「FREE P」シリーズはハンドルの形状が工夫されており、プライヤー展開時でも手の平が痛くなりにくい。

ハンドルの形状が工夫されプライヤー展開時でも手の平が痛くなりにくい

ツールの信頼性はそのままに、新機構で弱点を克服

本体はプライヤー部分などを含めオールステンレス製。重さは216g(FREE P2)とそこそこ重いが、搭載ツールの数や、プライヤーやドライバーの工具としての造りを考えると、妥当なところだろう。上記のように各部の動きはスムーズになっているが、ガタツキや遊びは一切なく、道具として非常に高精度・高剛性に仕上がっているのは嬉しいポイントだ。

なお、レザーマンツールジャパンが正規に輸入した製品には「LTJ」マークが刻印されており、保証書の有無に関わらず、日本国内で25年保証が受けられる。非常に長期間の保証になっているのもありがたい。

「FREE P」シリーズは、業界初というマグネット機構のほか、ヒンジのスムーズさにつながり安全性も増したツールのロック機構、各ツールはハンドルの外側に搭載と、従来製品から設計が大幅に刷新されている。高精度・高剛性な各ツールや本体の信頼性はそのままに、ツールを取り出しやすくした機構で、見事に弱点を克服した。新世代の設計による、レザーマンの新しい代表作といって差し支えない出来栄えだ。従来のレザーマンのマルチツールに対して「開きにくい」「使いにくい」というイメージを持っていた人ほどチェックしてみてほしい製品だ。

ツールの信頼性はそのままに、新機構で大幅に使いやすくなった。レザーマンの新しい代表作といって差し支えない出来栄えだ

太田 亮三