キャッシュレス百景

第21回

沖縄のキャッシュレスはスーパー争奪戦。Edy王国の刺客 by モバイルプリンス

まだみんなが自由に活動していた昨年の画像

沖縄でスマートフォン講座の講師などをしています、モバイルプリンスです!

今回は、沖縄のキャッシュレス事情をお伝えしたいと思います。

結論から言いますと、地元スーパー「サンエー」のポイントシステムと一体化していち早く導入された「楽天Edy」が沖縄では強いように感じます。観光で来られる際にも、Edyにしこたまチャージすることをオススメします。

沖縄もキャッシュレスはかなり使えるようになっています

昨今の「キャッシュレスブーム」にのっかり、沖縄でもキャッシュレス決済に対応した店舗が増えてきています。3月10日には、「ゆいレール」がSuicaを始めとした交通系ICカードでの決済にも対応。

独自交通系I C、「OKICA」も引き続き使えます

「東京級」とはいかなくとも「ある程度のお店が、なんらかのキャッシュレス決済に対応している」と言っても過言ではないでしょう。

ただし地元の人に人気の高い「安くて美味しい食堂」などは、キャッシュレス決済どころか「数十年は働いているであろうお姉さんが、暗算でやり取りしている(そしてたまに間違える)」と言うゆるいところも多いので注意が必要。

また、ゆいレールはSuicaでの乗車が可能になったものの、一駅利用の「おとなり割引」などのお得なサービスはSuicaで利用できません。

観光で来られる際も、最低限の現金は用意していた方がいいでしょう。

サンエーとEdyの強力タッグ

沖縄のキャッシュレス決済を語る上で欠かせないのが「楽天Edy」の存在です。

「沖縄はEdy天国」と言われるくらいには、Edyが浸透しています。

Edy天国の一つの要因としては、沖縄の地元スーパー「サンエー」がポイントカードとEdyをまとめた「サンエーEdyカード」を導入したことが挙げられます。

サンエーはスーパーから、イトーヨーカドー・イオンモール級の店舗もあります

サンエーは県内に70店舗展開する地元企業(ちなみにマックスバリューをはじめとしたイオン系列のお店は県内47店舗)で、2017年度の県内企業売り上げランキング1位、2018年度は2位の化け物スーパーです。

サンエーのポイントカード、「サンエーカード」は200円につき1ポイントが貯まるポイントカードで、1,000ポイント貯まると1,000円分のサンエー商品券と交換できます。

そのサンエーカードに2008年楽天Edyが内包され、サンエーでの買い物時にEdyが使えるようになりました。さらに2015年には、楽天Edy決済をするとサンエー以外の店舗でもサンエーポイントが付与されるようになりました。

沖縄県民にはお馴染み、サンエーEdyカード

私のスマートフォン講座を受講している50代〜70代の女性の方に聞くと、ほぼ全員がサンエーEdyカードを使っており、楽天Edyもサンエー以外の店舗で使っている人が半分はいらっしゃいました。

サンエー店内にはEdyチャージ機が設置されており、現金でサンエーEdyカードにチャージしている人を多く見かけます。

チャージ機。店内の至る所で「シャリーン」と音が聞こえます

還元率は0.5%と決して高いくはないサンエーEdyカードですが、結局のところ慣れ親しんだスーパーブランド、店内に現金チャージ機があり小難しい設定のいらないサンエーEdyカードを使うという主婦層はとても多いというところでしょうか。

後を追う「かねひで&PayPay」タッグ、どう巻き返すかau PAY

サンエーに続いて地元で存在感のあるスーパーが「かねひで」です。

かねひで。最近は改装ラッシュで、キャッシュレス決済を中心に設備も新しくなっています

系列店をあわせると店内に61店舗、県内企業売り上げランキングは2017年・2018年度ともに6位となっています。

かねひではサンエーのような独自のポイントシステムではなく、Tポイントと提携。そして2019年9月からはスーパーの「タウンプラザかねひで」全店舗でPayPayが使えるようになっています。

かねひでPayPay。店頭でバーコードを見せ、スキャンしてもらうタイプです

またサンエー・イオンとは違い、「キャッシュレス・消費者還元事業」の対象店舗になっているため、かねひででキャッシュレス決済を行なうと5%還元となります。

かねひでキャッシュレス 還元。サンエーは5%還元がない!

そうした事情から、節約意識の高い主婦の生徒さんからは「かねひでで使いたいのでPayPayをじっくり学びたい」とリクエストが来たこともありました。

サンエー&Edyのタッグチームにかねひで&PayPayがどこまで迫れるか注目です。

また沖縄ご当地ネタとしては、沖縄セルラーの存在が挙げられます。

auブランドを運営する会社は、沖縄だけKDDIではなく、沖縄セルラーとなっています。

これはもともと全国にあった地域セルラーを合併してKDDIに束ねる際、シェアが高く地元の企業が好きなウチナーンチュのために沖縄セルラーだけそのまま残ったという経緯があります。

そのため全国で唯一、auブランドのシェアが沖縄は1位になっています。

auは現在au PAYに力を入れており、沖縄県内でも個人経営のお店を中心に導入が進んでいます。

2月から3月に行なわれた「誰でも! 毎週10億円!もらえるキャンペーン」の効果もあり、私の生徒さんの中でも家電量販店を中心に使う人が出てきました。

au PAY。街の美容室など、意外に普及はしている様子

しかしながら、キャンペーン終了後は日常の買い物を行なうスーパー、イオン・サンエー・かねひで使える「WAON・Edy・PayPay」での利用に絞る人も多く、auユーザーの利用率も高くない印象です。5月以降のPontaとの統合後にどうなるのか身近な人を中心に利用動向をウォッチングしていきたいと思います。

モバイルプリンス

1987年、沖縄市出身。お笑い芸人・携帯電話ショップ勤務の経験を活かし、スマホ・ ネット活用の方法を楽しく、分かりやすく伝える。琉球新報の子供向け新聞「りゅうPON!」での連載を始め、「週刊アスキー」「Engadget」などのディープなWebメディアにも記事を書く。小学校などでの「スマホ対策講演会」などが認められ、 2018年沖縄県警より「サイバー防犯PR大使」として任命。県内外にて精力的に活動中!!