レビュー

フランスベッドのいびき対策枕「シレア」を2週間使ってわかったこと

フランスベッドが2月に発売したいびき対策枕「SILAIR(シレア)」(直販価格69,300円)

長年睡眠に悩まされており、お酒を飲まないと1~2時間は入眠できず、飲んだら飲んだで眠りが浅くなり、いびきも大きくなります。特にたくさん飲んだ夜は、就寝中に何度も呼吸が止まっていると指摘されることもありました。不安に感じて病院から診断機器を借り、自宅で計測したところ、「重度の睡眠時無呼吸症候群(SAS)」の疑いがあると診断されました。

年齢を重ねると、周りに睡眠時無呼吸症候群でCPAP(持続陽圧呼吸療法)治療を行なっているという人がチラホラ出てきます。CPAPは根治療法ではないし、就寝時に器具を装着しなければならないため、できるだけ避けたい……。痩せればなんとかなるのか、レーザー治療は? マウスピースは……?

そんなことを考えていたときに、フランスベッドが2月に発売したいびき対策枕「SILAIR(シレア)」をお借りする機会がありました。直販価格は69,300円と決して安くはないのですが、本当にいびきを軽減できるのか、率直にレビューしてみたいと思います。

センサーと6つのエアバッグが横向き寝を促す仕組み

シレアは、6つのエアバッグを内蔵する枕と、そのエアバッグに空気を送るコントローラーを組み合わせ、さらに睡眠や動作状況をスマホで確認できる「スマート枕」です。最大の特徴は、枕内部に搭載された「高精度いびきセンサー」がユーザーの頭の位置を把握し、いびきを検知した瞬間に動作する点。

枕の中には6つの独立したエアバッグが内蔵されており、いびきを検知すると最適な箇所のエアバッグが膨らみ、頭を優しく回転させて「横向き寝」へと誘導します。仰向けよりも横向きの方が気道が確保されやすく、いびきを低減できるという医学的根拠に基づいた設計です。

6つのエアバッグを内蔵する枕と、そのエアバッグに空気を送るコントローラーのセット
センサーでいびきを検知すると、エアバッグを膨らませて頭の向きを変えるというシレアの仕組み(シレアのプレスリリースより)
就寝中にいびきを検知すると、頭を左右に傾けるようエアバッグが膨らみます

睡眠状況は、スマホ向けの「いびき対策枕シレア」アプリ(Android/iOS対応)でグラフ化。また、いつ、どの程度の音量でいびきをかき、シレアがどのタイミングで介入(エアバッグが動作)したかが一目で分かるようになっています。一晩に1回分ですがいびきの録音も可能なため、自分のいびきの状態を客観的に把握できます。

便利なのは、アプリの初期設定を終えれば、就寝時にスマホを常時接続しておく必要がない点です。基本的には枕単体で動作し、データの同期や設定変更の際だけBluetoothで接続すれば良いため、枕元でスマホを操作する煩わしさがありません。

アプリ初期設定

使い方はちょっと独特な部分があります。コントローラーには電源ボタンが一つだけ備えられており、電源ボタンを約3秒長押しすると電源をオン・オフできます。電源がオンになってから約3分間でいびき対策枕として動作するようになります。

主電源をオンにしておき、アプリでいびき対策機能をオン・オフすることも可能です。ただ、寝る前に電源をオンにしていびき対策をスタートし、起きたら電源をオフにする。たまに、もしくは毎日アプリを起動してデータを同期し、睡眠状況を把握するというのが一般的な使い方かなと思います。

アプリの「設定」を開いたところ。ここからいびき対策機能をオン・オフしたり、枕の高さを変えたりできます

2週間使ってわかったメリットと課題

シレアを導入してから約2週間、専用アプリに加えてサードパーティ製のいびき録音アプリやスマートウォッチの睡眠計測機能を活用し、多角的に睡眠データを取ってみました。

筆者はシレアを試用する直前に、鼻の通りが悪い「鼻中隔湾曲症」の手術を受けていました。その効果もあり、シレア使用中に呼吸が止まることが(おそらく)ほとんどなくなったのは大きな驚きでした。

特に、お酒をたくさん飲んだ夜はいびきが増える傾向にありましたが、そうした「いびきが悪化しやすい条件」の日ほど、シレアが頻繁に作動しているのがデータからも見て取れました。

お酒を飲んだ日の専用アプリ画面。明け方までソファで寝てしまったので、明け方から計測しましたが、「大きいいびき」が11%と出ています
専用アプリの「睡眠環境グラフ」画面。いびきをかいた時間帯とシレアが介入した時間帯、いびきの大きさを時系列で確認できます
ファーウェイのスマートウォッチ「HUAWEI WATCH FIT 4 PRO」で計測した、同日の睡眠グラフ。こちらは腕に装着し続けていたので、ソファでの就寝から計測されています
スマートウォッチの「HUAWEIヘルスケア」アプリで記録した、同日のいびきの回数。数時間で5回記録されていました
こちらはお酒を飲まずに寝た日のアプリ画面。「大きいいびき」は1%とかなり少なくなっています
お酒を飲まずに寝た日の睡眠環境グラフ画面。グラフが比較的緩やかで、シレアの介入も少ないです
HUAWEIヘルスケアアプリで計測した、お酒を飲まずに寝た日の睡眠グラフ画面
同じくお酒を飲まずに寝た日のいびきの回数

一方で、気になる点もありました。シレアの動作音は約30dB程度で、ささやき声や鉛筆の筆記音程度とされていますが、静かな寝室ではやはり気になります。特に横向き寝の状態だと耳が枕に近いため、エアバッグが「ブーン」と膨らむ音が聞こえやすく、それが原因か、目が覚めてしまうことが何度かありました。

音以上に刺激を感じたのは、エアバッグによる物理的な圧迫感です。頭や頬がグイグイと押し上げられる感覚があり、眠りが浅いタイミングだと、これが「起こされる」要因になるかもしれません。ただ、私自身は年齢的なものもあり、元々夜中に1~2回は目が覚める習慣があったため、枕の動作で起きてしまうことにそれほど大きな不満は感じませんでした。

面白いことに、目が覚めた瞬間に枕が動き出すこともありました。これはシレアのせいではなく、シレアが作動する直前の自分のいびきの音で自ら目覚めてしまったのでしょう。それだけシレアが敏感に、かつ正確にいびきをとらえている証拠だと言えます。

劇的ではないが効果はあり

2週間の試用を終えての実感として、正直なところ「睡眠が劇的に深くなった」とか「目覚めが最高に良くなった」といった劇的な体感の変化はまだ現れていません。スマートウォッチのスコアを見ても、シレア導入前後で有意な数値の差は出ていないのが現実です。しかし、自分がいびきをかいた直後にシレアがこまめに働き、頭の位置を変えようと試行錯誤してくれている様子には頼もしさを感じました。

少し残念だったのは、専用アプリの分析機能です。スマートウォッチなどでは、心拍数や血中酸素濃度、睡眠ステージの詳細な可視化が行なえますが、それらに比べるとシレアのアプリでの睡眠分析には物足りなさを覚えます。「昨夜の睡眠は何点だったのか」「何が良くて何が悪かったのか」という、ユーザーへのフィードバックやアドバイス機能がもう少し強化されると、より製品への信頼感が増すのではないかと感じました。アプリのアップデートに期待したいところです。

また、電源をオンにするといびき対策機能がオンになり、ベッドでくつろいでいる状態でも睡眠状態のように判断してしまう点も気になりました。これは「寝る直前だけオンにしていびき対策機能をオンにする」という使い方か、寝る前にスマホアプリから「動作ON/OFF」をオンにするように習慣付ければ問題ありません。

とはいえ、スマートウォッチでも心拍数や呼吸数などから自動的に「睡眠状態に入った」と検知して記録してくれるので、このあたりは自動検知してほしいところでした。

電源オンにしておくと、昼間でもいびき計測と対策機能がオンになってしまい、午後から次の日の朝まで16時間以上も寝ていたと記録されてしまいました。寝ているか寝ていないかを判断してインテリジェントに記録・対策してくれる機能がほしいところです

重度の疾患に対してどこまで対応できるかは個人差があるものの、「いびきを検知して物理的に介入し、寝姿勢を変えさせる」というアプローチは非常にユニークかつ合理的です。

69,300円という価格は決して安くはありませんが、家族にいびきを指摘されている方や、SAS対策の一つとして寝具を見直したい方にとって、シレアは他に代えがたい「救いの手」になる可能性を秘めているのではないかと感じました。

安蔵 靖志