レビュー
俺たちのGarminスマートウォッチがSuicaに対応。当たり前に使える!
2020年5月25日 08:30
5月21日、ついにGarminスマートウォッチの一部機種が交通系電子マネーのSuicaに対応した。ICカードやスマートフォン、Apple Watchなどと同じように、あちこちのお店でかざすだけで支払いができるようになる。世のGarminスマートウォッチユーザーにとって、これは大きな出来事だ。Garminにしてよかった! と心の底から思える瞬間かもしれない。
というのも、これまでにも日本国内でGarminのキャッシュレス決済機能「Garmin Pay」を利用することはできた。ところが、「Garmin Payに対応するVisaタッチ決済に対応したデビットカード」が必要で、それを発行している会社(銀行)とまず契約しなければならず、利用できる店舗もかなり限られていたのが実情だったのだ。
日本で今最もメジャーなSuicaが利用できるようになったことで、Garminスマートウォッチを使ったキャッシュレス決済機能はようやく本領を発揮する! というわけで、さっそく筆者が所有するGarminのスマートウォッチ「fenix 6S」でSuicaを使えるようにし、買い物してみたのだが、そこで意外な事実も発覚したのだった。
なお、Suicaに対応する機種はfenix 6シリーズの他、Approach S62、Legacyシリーズ、Venuシリーズ、vivoactive 4シリーズ、vivomove Style/Luxeシリーズとなる。これらのユーザーは何はなくとも、とりあえず今すぐSuicaを使えるようにしよう!
GarminスマートウォッチでSuicaを利用できるようにする手順
GarminスマートウォッチでSuicaを利用できるようにするのは、ものすごく簡単だ。あらかじめスマートフォン(Googleアカウント)で「Google Pay」を利用し、クレジットカードなどの決済手段を登録していること、Garminの公式アプリ「Garmin Connect」でスマートフォンとGarminスマートウォッチをペアリングし、同期していること、という準備は必要になるが、これさえ終わっているのであればすぐにSuicaを有効にできる。
準備ができたらGarmin Connectのメニューから「Garmin Pay」を選び、「カードを追加」をタップすると、「交通系ICカード」(iOSでは「交通」)という項目が増えている。これを選択して画面の指示通りに進み、個人情報を入力する。最後にGoogle Payに登録しているクレジットカードで初期チャージ(1000円以上)すれば、Garminスマートウォッチに同期してGarmin PayにSuicaが追加されるのだ。
ここでちょっと混乱してしまいがちなので補足すると、Google Payとの連携は、あくまでもGarminスマートウォッチにチャージするときの決済に必要になってくるもの。スマートフォンのGoogle PayでモバイルSuicaを登録している人もいるかもしれないが、それとは全くの無関係だ。Garmin Connectアプリが決済機能としてGoogle Payを利用しているにすぎない。
だから、スマートフォンでモバイルSuicaを使っている人も、そうでない人も、Garminスマートウォッチで問題なくSuicaを利用できる。Garminスマートウォッチ用に新たにSuicaを発行する形になるわけで、むしろすでにモバイルSuicaを使っている人は二重にSuicaを持つイメージになる。モバイルSuicaから残高を引き継いで発行するようなことはできないので注意が必要だ。
お店で当たり前のように使えるだけでうれしい! が……
Suicaの追加が完了した後は、Garminスマートウォッチ側では特にすることがない。一応、メニュー(fenix 6Sでは本体左上のボタン長押しで表示される)から「Wallet」を選ぶことで、Garminスマートウォッチに登録されているGarmin Payの支払手段を表示でき、ここでSuicaのイメージも表示することができる。その状態でレジのカードリーダーにかざして支払う、ということも可能だ。
が、デフォルトでSuicaが「ラピッドパスカード」というものに設定され、この状態だとスマートウォッチ側で何も操作しなくても、ただカードリーダーにかざすだけで支払える。つまりスマートフォンのおサイフケータイやApple WatchのApple Payと全く同じ、ということ。
なので、お店で買い物するときも、会計では「Suicaで」と言ってGarminスマートウォッチをかざすだけでOK。「Visaタッチ決済」のときのように支払方法をどう説明すればいいのかわからずまごまごしたり、店員が混乱したり、店員が変わった決済方法に感動してくれたりすることもない。腕時計をかざして支払う、という動作自体はまだそれほど一般的ではないかもしれないが、Apple WatchでSuicaを利用している人も少なくないだろうから、珍しいものではやはりない。むしろその当たり前さ加減が、(当たり前のことができなかった)Garminユーザーとしてはうれしい。
ただ、Garmin PayでSuicaを利用する際には注意しておきたいところもある。1つは、チャージは必ずGarmin Connectアプリ上で行ない、Garminスマートウォッチ単体ではチャージできないこと。もう1つは、Suica定期券やグリーン券の購入・利用には対応していないこと。そして最後の1つは、なんとチャージしておける 上限金額が「5,000円まで」 であることだ。
ICカードのSuicaやモバイルSuicaでは、チャージしておける上限金額は2万円。それでも低いと言われていた額だが、Garmin Payではさらにその4分の1までしかチャージできないのである。
財布やスマートフォンをもたずに、Garminスマートウォッチとともにランニングして、休憩するときにGarminスマートウォッチで支払う、というようなスタイリッシュな雰囲気の使いこなしができるのは大きな魅力なのだが、上限が5,000円となると、(追加チャージのために)スマートフォンも持ち歩いたほうがいいかも……と考えてしまう。
そこで、Garminのサポートページを見ると、「初回のチャージ金額は上限5,000円です。一定期間ご利用後にGarminデバイス内の残額とあわせて最大20,000円までチャージ可能です」の記載が。もう少し使っていけば、2万円までチャージができるようになるようだ。「一定期間」がいつごろなのか早く教えてほしい……。
もちろん、一度に5,000円以上も支払うことは筆者はまずないのだが、Garminスマートウォッチだけを身に付けて出かけたときに、うっかりチャージし忘れていて支払えない、なんてパターンはありそうなことだ。
【更新】記事初出時にGoogle Payのチャージ上限5,000円としておりましたが、一定期間後に2万円までチャージ可能なため、追記しました(5月25日21時45分)
Garminユーザーとして嬉しい
現状の上限5,000円の制限は、個人的な印象としてはどうしたって低すぎる。いずれ上限額が引き上げてもらえそうだが、せっかく多くのお店で利用できるSuicaという伝説級の武器を手に入れたのに、鞘から抜いてみたら指先サイズの短剣だった勇者の気分である。これでは「俺TUEEEE」もできないじゃないか。
この点、口座引き落としで実質上限のない「Visaタッチ決済」のほうがいいのだが、いかんせん利用可能店舗が少ないのが残念。
とはいえ、それでもGarminスマートウォッチでSuicaが使えるようになったことは、素直に喜びたい。常に身に付けているこのfenix 6Sさえあれば、たとえスマートフォンを忘れたとしてもだいたいどこでも買い物できるのだ。(チャージさえ忘れなければ)こんなに便利なことはない。また1つ、スマートウォッチにGarminを選ぶ理由ができたのではないだろうか。