ミニレビュー

3300円のスマートウォッチ、スリコの「デバイスバンド」は使えるか?

3COINS「デバイスバンド」

いろいろな物が値上がりしている昨今ですが、ガジェットの類には逆に恐ろしく安く手に入るモノもあります。今回レビューするのは3,300円で買える大画面スマートウォッチ、3COINS「デバイスバンド」。

チープなスマートウォッチ(略してチプスマッチ?)の質感はチープなのか? 機能は使い物になるのか? 様々な疑問を抱きつつ検証してみました。

パッケージ

ぱっと見の質感は悪くない!

パッケージはコンパクトでオシャレげ。開封すると、本体と充電ケーブル、バンド、取扱説明書、保証書が入っています。バンドはベージュとピンク、パープルの3色展開。

今回はベージュを選びましたが、箱にはブラックのバンドも同梱され、バンドがヘタった時、または気分によって替えられます。なんというサービスの高さでしょう。

開封
シリコンバンドは2色を同梱

本体はマットなブラックで、側面、背面ともに質感は結構高いです。スマートウォッチに詳しくない人が見れば、「それ、Apple Watch?」と聞いてきそうです。見た目で少し違和感があるのは、右側のボタンが本体から浮いたように見えることぐらいでしょうか。

腕に装着したところ、シリコンバンドの質感も悪くありません。ただ、着脱のスムーズさには欠けます。バンドを腕まわりのサイズに合わせ、余った部分を裏側に差し込むのですが、ここが引っかかりやすく、指で押し込む必要があります。

外すときも穴に差し込む金属の棒(つく棒)を指で動かす必要があり、多少難儀します。これは、一般的なバネ棒タイプで幅22mmのバンドに取り替えれば解決しそうです。

裏面のセンサー類と充電端子。技適マークも印字されている。バンド幅は22mmで、一般的なバネ棒タイプ
このボタン(リューズ?)に塊感が欲しいと思うのは求めすぎだろうか?
最後に押し込むのがちょいストレス
充電時
充電端子は独自規格なので、紛失は避けたいところ。バッテリーは1週間は持つので自宅に置いておきますか
Fitbit Sense2(奥)との比較。画面サイズは1.69インチと広め

一通りの機能は揃っている

「デバイスバンド」はスマートウォッチなので、当然スマホとの連携が必要。「GH Smart」アプリ(iOS、Android対応)をインストールし、ペアリングを行なえば、使用可能となります。

画面は思った以上に優秀。視野角も広くて明るいです。解像度は240×280ときめ細やかさはありませんが、視認性に特に問題はありません。時計の常時表示モードはありませんが、手首を動かすことで表示させる機能は備わっています。

視認性は日中でも高い
時計表示の状態でボタンを押すと主な機能にアクセスできる画面を表示(表示形態はグリッドおよびリストの2種類)
上から下へスワイプするとサブメニューを表示
サブメニューでは明るさ調整やグリッド表示、画面ロック、モーション表示(腕の動きで時計を表示させる)、サイレントモード、スマートフォン探索(ペアリングしたスマートフォンの音を鳴らす)、画面ライト、省電力モードなどが使用できる

日々の生活で記録したい歩数や移動距離、消費カロリーは当然、心拍数、睡眠のデータも自動で計測されます。

用意されているエクササイズのメニューは、ランニング、ウォーキング、サイクリング、呼吸トレーニング、HIIT(高強度インターバルトレーニング)、体幹トレーニング、縄跳び、ヨガ、登山、ハイキング、スピンバイク。さらに「その他」から、ローイング、ステッパー、クロストレ、バスケ、テニス、バドミントン、サッカー、野球、ラグビーが選択できます。

バッテリー駆動時間は、7~10日とあり、実際に1週間は持ちました。大画面でこれだけ持つのは優秀です。

画面を右から左にスワイプするたび、計測した歩数や活動データなど画面が切り替わる
睡眠データ
心拍数
音楽再生操作
シーン設定
文字盤の変更は、本体の時計画面の長押し、もしくはアプリで行なう

難点はスマホアプリとの同期

歩数や距離、消費カロリー、心拍数の精度に関しては、他のスマートウォッチと大きな差は感じられませんでした。睡眠データも、自動的に入眠を検知して記録します。ただし、検知するのは、「深い眠り」と「浅い眠り」の2段階で、Fitbitのように細かいデータまでは見られません。また、夜中に目が覚めても、それを「覚醒」と記録していない日もありました。ざっくりとした睡眠時間の記録と考えた方が良いでしょう。

スマホアプリの通知機能との連動ですが、比較的多くのアプリに対応しています。日本人がよく使う、電話、メッセージ、Facebook、Messenger、X(Twitter)、Instagram、Linkedin、LINE、Outlook、YouTube、TikTok、Gmailあたりは、個別に通知をオンオフできます。本体に残る通知の履歴は10件まで。ただし、通知はたまに「取りこぼし」が生じます。これは、他のスマートウォッチでもありがちな症状ですが。

それよりも問題と思われるのは、専用アプリとの同期の弱さです。歩数やエクササイズ、睡眠データをスマホで確認しようとしても、ほぼ反映されません。画面をスワイプしてリロードしても同じ。アプリを再起動すれば接続されて同期されるのですが、毎日この操作をやるのは嫌ですよねー。早くアップデートして直してほしいです。

多くのアプリの通知を個別にコントロールできる
アプリでは本体よりも詳細なデータが確認できるが、夜中の覚醒が記録されておらず、精度はそれなり

結局、スリコの「デバイスバンド」はおすすめできるのか? 最後に書いた、アプリとの接続性を改善できれば、お値段以上のパフォーマンスはあると断言できます。コスパでは最強に近いスマートウォッチであり、「服なんて着られればいい」「クルマなんて走ればいい」という価値観の人には超オススメです。

最も無難かつ後悔がなさそうなのは、「自分にスマートウォッチが必要か」お試しの用途でしょう。スマホと違って、スマートウォッチは万人に必要なアイテムとまでは言えません。

3,300円は、お試ししてダメでも後悔のないプライス。3,300円を12カ月で割れば、ひと月275円ですから、3コイン(300円)以下。どんなサブスクよりも安いんですから!

小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>