ミニレビュー

くっつけて剥がして汚れをとる。ジェルクリーナー5製品を使い比べた

「サイバークリーン」。国内代理店のアイリスオーヤマでは完売となっています

ジェルクリーナーと言えば、PCのキーボードや各種周辺機器の空気の取入口、さらには車のエアコンの送風口など、凹凸のある面に押し付けることでホコリをくっつけて除去できる便利なアイテムです。複雑な起伏にも対応でき、跡も残らないことから、最近ではフィギュアに積もったホコリ取りに使われる例も多いようです。

元祖と呼べるのはスイス製の「サイバークリーン」なる製品で、日本に輸入されたのはおそらく90年代半ば。アイリスオーヤマが取り扱うようになったことで広く普及しましたが、数年前に完売を発表し、現在は流通在庫だけが残っている状態です。他社からも同名の製品が出ていますが、こちらも同様の状態と見られ、入手性は高くありません。

キーボードなどにくっつけて剥がすことで、隙間に入り込んだホコリや汚れを除去できるのが売りですが、品によっては隙間に入り込んだまま取れなくなることも
今回の執筆にあたって入手した「サイバークリーン」。左がアイリスオーヤマ製、右がミュー製。すでに流通在庫しか残っていないようで、パッケージにも汚れや破損があります

そんなサイバークリーンの後釜を狙ってか、各社からさまざまなジェルタイプのクリーナーが登場しています。ホコリをくっつけて除去する仕組みはもちろん、トロピカルな色調もサイバークリーンと酷似しています。最近では百円均一ショップで販売されている例もあるほどです。

もっとも中には品質がイマイチな品もあるようで、キーボードの隙間に押し込んだらちぎれて取れなくなったとか、ベタつきが表面に残ってしまったといった、マイナス評価の口コミも、Amazonでは多数見られます。

そこで今回は、国内で入手可能な5つのジェルクリーナーを取り寄せ、サイバークリーンの代替品となりうるのか、またどのような違いがあるのかを検証してみました。

どんなジェルクリーナーが望ましい?

今回ピックアップしたのは5種類。うち2つは百円均一ショップで、残り2つはAmazonで購入した製品です。いずれも1袋あたりの価格は100~300円程度と、コストがかからないことが特徴です。残る1種類は海外ブランド「SuperClean」で、おそらくこの5種類で、国内でよく目にする著名なジェルクリーナーはほぼ網羅できているはずです。

各社のジェルクリーナー。ここにはないボトルタイプの「SuperClean」と合わせた計5種類を今回は比較します

個別の製品の評価に入る前に、これらを使い比べて見えてきた、ジェルクリーナーで押さえておくべきポイントを、ざっと紹介しておきましょう。

ひとつは「分離しにくさ」です。かつてのサイバークリーンはキーボードの奥深くまで押し込んでも、引っ張ればそれが奥に残ることなく、ゴミとともに引きずり出すことができました。しかし水分が多いジェルは容易にちぎれることからキーボードの奥深くに残ってしまい、取り出すために分解が必要になるほか、最悪の場合、キーボード自体をダメにしかねません。

製品によっては糸を引いて手に絡むことも。これではキーボードに押し付けての掃除には向きません

もうひとつは「透明度の高さ」です。ジェルが透明であれば、使い込んで透明度が下がっていくことで、交換のタイミングがわかりやすくなります。不透明だと、中にたっぷりとほこりやゴミを取り込んでいても、外見からは新品のように見えることもあるからです。またジェルを収納する袋に透明な窓があれば、より劣化具合を見分けやすくなります。

使用前(左)と使用後(右)。透明であれば劣化の具合は一目瞭然です

さらに「ニオイのなさ」も重要です。多くのジェルクリーナーは、表面のほこりを除去した後、わずかな水分を表面に残し、しばらく経ってからそれらが揮発して元のサラサラした状態に戻るのですが、香料を含む製品だと、この時点で本体に臭いが残ってしまいます。天井の排気口などを掃除するならまだしも、ガジェット類の掃除には不要なものです。

ただしこれらの特徴は、製品ページの情報だけではほぼ判別できません。さらに冬場にはきちんと使えたのに、夏場にはベタついていたりと、室温によって変化する場合もあるので厄介です。

このほか、古い流通在庫は水分が蒸発してしまっていて、端だけが明らかに硬かったりということもあります。これはかつてのサイバークリーンでも見られた症状で、購入にあたっては、なるべくサイクルが早い製品を選ぶのがベターといえます。

全5製品の実力をチェック

では上記の点を踏まえつつ、対象の全5製品を見ていきましょう。

大創産業「ジェルクリーナー(OAクリーナー No.4)」:110円

ダイソーの自社ブランド製品で、110円というリーズナブルさが特徴。ジェルは透明度が高く、使い込むと不透明度が増していくので交換時期を判別しやすく、また袋が透明なので外観からも劣化度を判別しやすいのが特徴です。ジェルは水分が多くかなりベタつくほか、分離もしやすく、キーボードのすき間掃除などには不向き。有効期限の記載はありません。

パッケージ。容量は約80g。材質は「精製水、ポリビニルアルコール、グリセリン、防腐剤」
ジェル外観。他製品と比べても突出して透明度が高く、また水分が多いことが特徴です

シーシージャパン「のびーるジェルクリーナー(24035)」:110円

キャンドゥで販売されている110円の製品。ダイソー製品ほどではないものの透明度は高く、交換時期を判別しやすい一方、ダイソー製品と同じく水分が多めでベタつきがあり、分離もしやすいことから、キーボードのすき間掃除などには不向き。袋に透明な窓がなく、袋の外から劣化具合を判別しづらいのもネックです。有効期限の記載はありません。

パッケージ。容量は約80g。成分は「グァーガム・水・グリセリン」
ジェル外観。前述のダイソー製品ほどではありませんが、こちらも透明度は高めで、水分量も多めです

ASFSKY「Universal Dust Cleaning Gel」:999円(5個セット)

Amazonで販売されている海外ブランドで、1個あたりの価格は約200円。水分が少ないためかベタつきは比較的少なく、跡も残りにくい(すぐに揮発する)一方、香料がかなりきつく、ガジェット類の表面に匂いが残りやすいのがネック。ジェル自体は不透明ですが、袋は透過式なので、外から見て劣化具合の判別は容易。有効期限は2年で、日付の記載もあり。

パッケージ。容量は90g。成分表記はありません。5個セットで色違いが同梱されています
ジェル外観。不透明で、石鹸に似た強めの香りがあります

COLORCORAL「UNIVERSAL DUST CLEANER」:1,599円(5個セット)

こちらもAmazonで販売されている海外ブランドで、1個あたりの価格は約320円とやや高価。前述のASFSKY製品ほどではないもののベタつきは少なく、こちらは無香性。ジェルは不透明で、袋も不透明なので、汚れのレベルを袋の外から確認しづらいのはネックですが、今回の5製品の中では分離しにくいためキーボード掃除向き。有効期限は2年で、日付の記載あり。

パッケージ。容量は70g。こちらも成分表記はありません
ジェル外観。前述のASFSKY製品に似ていますが、こちらは香りはほとんどありません

Super Clean:880円(ボトルタイプ)

Amazonで複数の業者が扱っている「Super Clean」という海外ブランド品で、今回は上海問屋が「DN-915482」として販売している製品を購入。ダイソー製品などと同様に水分が多く、分離もしやすいため、キーボード掃除などには向きません。香りも多少あるほか、ベタつきが数秒で消えず長時間残りやすいのもネックです。不透明ですがボトルの外から汚れの判別は容易。有効期限は2年で、日付の記載あり。

パッケージ。ボトルタイプで容量160gと他社(75~80g)の倍近いぶん価格は高価。色違いもあります
ジェル外観。不透明で若干の香りがあるなどASFSKY製品に似ていますが、水分はやや多め

用途をしっかりと見極めた上で活用を

以上5製品をチェックしましたが、サイバークリーンの代替という意味では、残念ながらどれも「不合格」というのが結論です。製品によって程度の違いはあるものの、サイバークリーンと比べるとかなりベタつきがあるほか、狭いところに押し込んでもまず分離することがなかったサイバークリーンの使い勝手のよさには、どの製品も及びません。

袋から出して1分前後放置した状態。上段は左からサイバークリーン(アイリスオーヤマ製)、ダイソー、シーシージャパンの各製品。下段は左からASFSKY、COLORCORAL、Super Clean。ダイソー製品(上段中央)の水分の多さがよく分かります

ではその上で、どんな用途ならば活用できるかを見ていきましょう。全5製品を大きく分類するならば、「ダイソー、シーシージャパン、Super Clean」のグループと、「ASFSKY、COLORCORAL」のグループに分けられます。

前者はキーボード掃除に向かない反面、表面のホコリを取る用途には向いています。特に前者2つは110円とリーズナブルで、入手性も高いので気軽に使えます。ジェルが透明ゆえ、交換時期を判別しやすいのも利点で、フィギュアの掃除などにはよさそうです。

後者のグループは、比較的ベタつきが少なく、キーボードなどに押し込んでの清掃にも(気をつければ)ギリギリ使えます。ASFSKYは独特の香りがあるので、COLORCORALのほうが幅広く使えますが、そのぶん価格も高いのが痛し痒しです。

以上のように、オールマイティな製品が存在しないせいで、どうしても歯切れが悪い結論になってしまうのですが、かつてに比べて競合品が増えたぶん入手性は高くなり、また価格も全体的に下がっています。モップのようにホコリが舞うことがなく、また掃除機と違って小回りが利くという共通の特徴は健在ですので、用途を見極めた上で、活用することをおすすめします。

山口真弘