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エージェント「Devin」日本展開を本格化 開発をAIで変革

AIエージェント「Devin」を展開するCognition AI Japanは24日、事業戦略説明会を開催し、Devinの最新動向や、日本市場における今後の展開について説明した。

Devinは、単なるコード生成にとどまらず、既存コードベースの理解から要件整理、設計、実装、テスト、コードレビュー、運用対応まで、ソフトウェア開発ライフサイクル全体を支援する自律型AIエージェント。2023年に米Cognitionが世界初のソフトウェア開発向け自律型AIエージェントとして公開した。

Cognition AI Japanは、Cognitionがアジア太平洋地域初の拠点として4月に開設した日本法人。日本市場を重視する背景には、Devinが日本特有の課題に適合しやすいとの判断がある。

日本では、30年に最大約79万人のIT人材が不足すると予測されているほか、レガシーシステムへの依存による「2025年の崖」問題も指摘されている。また、他国と比較した開発生産性の低さも課題となっており、同社はDevinの提供を通じて、こうした課題を解決できるとする。

同社のプラットフォームは、複数の開発エージェントで構成される。中核となる「Devin Cloud」は、開発タスクを自律的に処理するAIエージェントで、「Devin Desktop」は開発者向けのエージェント型IDEとして、人間とAIによる協働開発を支援する。コマンドベースで操作できる「Devin CLI」も用意する。

ユーザーはこれらをシームレスに連携させ、ローカル環境で始めた作業をクラウド環境に引き継ぐといった使い方も可能。AIによる自動開発と、人間が介在するインタラクティブな開発の両方を、1つのプラットフォーム上で実現するとしている。

説明会に登壇した同社社長兼ゼネラルマネージャーの正井拓己氏は、ソフトウェア開発においてAIを使わない選択肢はなくなりつつあり、AIが開発の実行主体となるパラダイムシフトが起きていると説明。こうした流れを背景に、Devinのエンタープライズにおけるセッション起動数は、年初から約10倍以上に拡大していると語る。

Devinの特徴の1つとして正井氏は、各エージェントが独立して自己完結的に作業できる、クラウド上の仮想環境(マイクロVM)を採用している点を挙げた。Devinはタスクごとに専用の仮想環境を用意し、この中で各エージェントが自律的にコード実行やテストなどを行なうため、人間のスキルや人数に依存せずに複数のタスクを並列処理できる。

また、Devinは特定のAIモデルに依存せず、タスクごとに最適なモデルを自動的に選択するルーティング機能も備える。AIモデルの周辺でワークフローの制御やツールの統合などを担う同社のハーネスエンジニアリングと組み合わせることで、高い品質のソフトウェア開発を可能にする。

Cognition AI Japan 社長兼ゼネラルマネージャー 正井拓己氏

Devinの用途としては、新規開発のほか、既存コードベースのマイグレーションやリファクタリング、レガシーシステムのモダナイゼーション、バグや課題のトリアージ、テスト作業の自動化などに利用されている。

また、データエンジニアリングやセキュリティといった領域にまで適用範囲が広がっており、ソフトウェア開発を包括的にサポートする点を強みとする。生成されるコードの品質も向上しているといい、同社内の製品開発におけるDevinのコードコミット率は、直近5カ月間で13%から89%へ上昇したという。

同社は、Devinの日本市場での普及に向けた取り組みとして、日本語版Devin Cloudの正式提供と、日本語版Webサイトの公開を発表した。これにより、従来は英語で提供されていた主要機能やインターフェースを日本語で利用できるようになる。

また、同社は業界初の取り組みとして、AI投資の成果を保証する「AI Productivity Guarantee」も紹介。同施策は、AIの価値をトークン数や生成コード量ではなく、実際の開発成果で評価するもの。Devinによる成果を、人間のエンジニアが作業した場合の工数に換算して測定し、その成果がDevinの利用料金を下回った場合には補填を行なう。

同社はこの取り組みについて、AIベンダーは顧客に対し、利用量ではなく、どれだけの価値を創出したかを示すべきだという、業界全体への提言でもあるとしている。

説明会では、国内での導入事例も紹介された。DeNAでは、約3,000名の社員がDevinを利用しており、レガシーシステムのモダナイゼーションにおいて、約6倍の効率化を実現。みずほ証券では、開発部門の約130名を中心に85を超えるプロジェクトでDevinを活用しており、タスク単位で最大90%の工数削減を確認したという。

今後の事業戦略として、同社は日本市場でエンタープライズビジネスに注力する方針を示した。国内のビジネスパートナー企業とのエコシステム拡充を進め、企業への導入を支援する。また、国内ユーザーコミュニティの設立も予定しており、日本市場への普及を進める。

正井氏は、Devinの提供を通じて日本のソフトウェアエンジニアリングを変革することは理想ではなく現実的な目標だとし、「国内のエンタープライズ市場でDevinをナンバーワンのAIソフトウェアエンジニアに育てあげたい」と語った。