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BeRealの二番手「setlog」が大人気 止まらない「クローズドSNS」への流れ
2026年6月16日 08:20
Z世代に人気のSNSといえば、リアルを共有する「BeReal.」が有名ですが、2026年5月の約1カ月間、日本のAppStore無料アプリランキングで1位を獲得し続けたアプリがありました。それはVlogアプリ「setlog(セットログ)」です。VlogとはVideo logの略で、自分の生活や旅行をまとめる動画版ブログです。
setlogはニューヨークとソウルに拠点を置くnewchatが開発したアプリです。25年12月にiOS版がリリースされると、たちまち韓国の若者に人気となり、26年4月にはAndroid版もリリースされました。当初韓国語のみのアプリでしたが、日本語に対応したことで日本でも爆発的な人気となりました。現在はアプリストアでのランクは落ちているものの、Z世代は変わらず仲間と投稿を楽しんでいます。
setlogは1時間ごとに2秒の動画を投稿するアプリです。自撮りや背景などをアプリのカメラで撮影し、記録していきます。動画には短くキャプションを入れることもできます。毎時ちょうど(00分)に通知が来ますが、撮影は強制ではありません。次の時刻になると、新たなページができるようなイメージです。
公開範囲も自由に選べます。撮影した後に「これは女子グループと高校時代の友人グループに」「これは自分だけのVlogに」と動画ごとに選択して共有することもできます。
グループで共有すると、撮影した横長サイズの動画がアプリ画面に一覧で並び、その時刻にそれぞれ何をしていたのかがわかります。「Aちゃんはコンビニランチ。Bちゃんはお弁当か」といったリアルな様子が伝えられてくるため、親密度が増すのです。投稿には「いいね」ボタンやコメントもつけられます。
1日の終わりには投稿がスライドショーのような動画にまとめられ、Vlogとして保存できます。未投稿の時間は黒く表示されますが、「ZZZ」とお休みマークを入れることもできます。
アプリのカメラで撮影するため加工はできず、投稿も1時間に1回に決められていますが、その他は特に制限がなく、ゆるめな設計になっています。一方、後からそのグループに入った人には過去のアーカイブが見られないなど、細かな配慮もされています。
筆者もsetlogを使ってみました。アカウントはパスキーだけで作成でき、友達はそのグループの招待リンクを送って招待します。とてもシンプルでわかりやすい作りです。横長サイズでの撮影がもはや新鮮に感じられましたが、2秒の動画というのがちょうどいい長さで、スマホを動かして撮るなどの楽しい演出もできます。複数のグループに参加でき、友達や家族などさまざまなグループとVlogが作れる点も良いポイントです。
ただ、参加しなくてもいいとはいえ、1時間に1回というタイミングについては大人には細かすぎると感じました。旅行やお出かけの時など、1時間の間にいろいろな場所に移動するときに使うとより楽しめそうです。
TikTokやYouTubeを見ると、setlogの動画が多数投稿されています。自宅で身支度を整えるところから始まり、合流して一緒にスタバに出かけるといったVlogや、サークル12人の学校生活を綴ったVlogなど、リアルで微笑ましい動画が多数投稿されています。
BeRealとの共通点と相違点
setlogが人気を得た理由は大きく3つ考えられます。ひとつは「BeReal疲れ」、もうひとつは「Vlog人気」、そして「クローズドSNSの魅力」です。
Z世代がユーザーの8割以上を占める「BeReal.」は1日1回、ランダムな時間に通知が届き、2分以内に撮影、投稿を行なうゲーミフィケーションが魅力のSNSです。制限が楽しい反面、投稿するまで友達の投稿が見られない、インカメラとアウトカメラの同時撮影など、投稿のハードルが高いことも事実です。2分以内に投稿しなければボーナス(追加撮影)がもらえないため、積極的に投稿をする必要があります。
BeRealの人気に火が付いたのは2023年のこと。それから約3年が経ち、当時学生だった人のなかには社会人として就業している人もいます。「BeRealは続けたいけれど投稿タイミングについていけない」、そんな「BeReal疲れ」が広がっているのかもしれません。そんな人たちにsetlogのゆるさが刺さったのだと思います。
また、BeRealのもう一つの魅力である「日記の代わりになる」点を、setlogも兼ね備えていることも挙げられます。BeRealでは1日1回ほぼ確実に撮影するため、自分だけが閲覧できる「メモリーズ」に、過去の日々が積み重なっていきます。最初は友達と「今」をシェアすることに夢中だったユーザーが、BeRealを見直すと自分の思い出が日記のように残されていることに気づき、こつこつと投稿を続けているという側面もあります。
setlogは撮影していくだけでVlogが完成するアプリです。人にはあまり見せたくないけれど残しておきたい思い出は、友達に見せずに自分だけのVlogに保存することができます。こうした点はBeRealとは異なります。
止まらない「クローズドSNS」への流れ
最後に挙げた「クローズドSNSの魅力」とは、このところ若者を中心に見られる「限られた仲間とだけ共感したい」傾向です。若者がBeRealやInstagramのストーリーズに惹かれる理由は、親しい人達と気兼ねない交流をしたいからです。
一般的にSNSでは、学生時代の友達、職場やバイト先の先輩、家族や親戚などが一律に「友達」として扱われます。リアルな生活ではその場に応じたふるまいをするものですが、SNSではその人に見せない顔も見られてしまうことがあります。
SNSにおいても、リアルな交流と同様に親しい人とありのままを共有したいと考えるのは自然なことでしょう。BeRealやInstagramのストーリーズがよく利用されているのはそのニーズを汲んでいるからです。setlogも親しい人だけに公開する作りで、しかもグループは複数持つことができます。最大12人というのも、ちょうどいいサイズ感なのだと思います。
こうした若者のニーズを重視したInstagramは、5月14日、「ありのままをシェアする」機能、「Instants(インスタント)」をリリースしました。
InstantsはInstagramアプリ、また単独アプリで利用します。Instantsを起動するとカメラ画面が表示されるので、シャッターボタンを押せばすぐに写真がシェアされます。画像を加工できない点はBeRealやsetlogと同様で、公開範囲は「友達」(相互フォロー)、もしくは「親しい友達」(自分で作成した友人リスト)が選べます。
Instantsの特徴としては、一度見たら消えてしまうことです。これは、欧米でZ世代に支持されている「Snapchat」と同じ仕様です。閲覧しているユーザーにスクリーンショットを撮られても真っ黒になるように設計されているため、安心して今をシェアできます。
リリースからおよそ1カ月、若者向けの要素はそろっているものの、setlogと時期が重なったこともあってか、いまのところ特に話題になっている様子はうかがえません。背景には、「InstagramのDM画面に出てくるInstantsのボタンを誤って押すと、写真が相手にシェアされてしまう」という注意喚起がSNS上で広まったことがありそうです。しかし、今後人気が高まっていく可能性は十分に残されています。
ありのままをシェアするリスクを忘れずに
SNSで公開範囲をパブリックな状態で会話することによるリスクは、大人も感じていることでしょう。中年ユーザーが多いFacebookでも、閲覧のみで投稿はしないユーザーが増えてきています。Facebookメッセンジャーでグループを作り、会話する方が気兼ねなく盛り上がれるからです。Xに関しても、常に論戦が繰り広げられており、以前のような牧歌的な交流は難しくなっています。
ただし、クローズドな場であってもネット上である以上は、自分が想定している範囲外に漏れてしまうことを想定しておかなければなりません。
このところ、アルバイトや正社員による情報流出が話題になっていますが、それはBeRealやInstagramのストーリーズへの投稿が流出元となっています。「親しい人しか見ていないから」という油断が炎上を巻き起こすのです。setlogも加工はできず、保存機能もあるため、投稿を流出される可能性はあります。Instantsはスクリーンショットが撮れませんが、別のスマホでアプリ画面を撮影することで火種を作ることはできます。
本来、SNSは離れていても繋がりを感じられる大きなメリットがあります。若者に関しても、今しかない時間を共有することはかけがえのない青春の思い出になります。堅苦しく考えすぎてしまうとSNSがつまらなくなってしまいますが、ネットに上げたものは二度と消えないということを念頭に置きつつ、SNSでの交流を楽しんでいただければと思います。










