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「AIカンパニー」に転換するマネーフォワード 同僚のようなAI「AI Cowork」
2026年4月8日 11:18
マネーフォワードは7日、AI戦略発表会「Money Forward AI Vision 2026」を開催し、新たなバックオフィス向けAIエージェント「AI Cowork」の発表とともに、SaaSから「NO.1 バックオフィスAIカンパニー」への転換を強調した。
全てをチャットに AIを同僚にする「AI Cowork」
今回発表した「マネーフォワード AI Cowork」は、会計、税務、財務、労務、法務など、多様なバックオフィス業務を支援するアシスタントサービス。自然言語による指示に対応し、「今月の経理業務をまとめて処理して」といった曖昧な指示でも、AIがユーザーの意図を汲み取り、業務を実行する。
請求書発行、支払い依頼、入金消込、資金繰り予測など、複数のAIエージェントが並列かつ自律的に連携し、業務を完了まで導く。また、ユーザーがエージェントを選択することも可能。
すべての操作の窓口が、AI Coworkのチャットから始められ、基本的には対話で全ての作業を進めていくかたちとなる。
マネーフォワードが開発する「マネーフォワードAIエージェント」のほか、開発パートナーがAIエージェントを提供したり、ユーザーによる「マイエージェント」とも連携して動作。定型業務は「エージェントリスト」から選んで開始できるほか、月締めや定期業務、他社からの依頼など、「優先すべき業務」をエージェントが提案する。
例えば、新しいチャットから業務をはじめて、未承認のデータを確認するといった一般的な業務のほか、その人に応じた権限管理がなされ、エージェントが勤怠、工数、経費精算を促す。また、AI Coworkを社内のヘルプデスクとしても活用でき、例えば福岡への出張予定の場合、手続きだけでなく出張規定の確認などもAI Coworkに聞きながら確認し、申請できるようになる。
活用するデータは、マネーフォワードクラウドに蓄積される業務データで、業務ロジックもマネーフォワードクラウドに則り判断される。MCPサーバーなどの複雑な設定が不要で、請求書発行や債務管理、経費精算、会計仕訳などの経理業務、入退社管理や勤怠管理、給与計算、年末調整などの労務業務、その他法務業務などを自動化できる。
社内のルールに従い動くための「ガードレール」、必ず最後は人間が確認する「Draft&Approve」、誰が操作したかなどの「AI監査ログ」によるエージェントハーネスにより、適切なガバナンスを確保する。
さらに、マネーフォワード以外の社内データを活用できる「データマート接続」にも対応予定としているほか、他社SaaSなどと連携するためのMCPのサポートなども含まれる。
AI Coworkの導入イメージとしては、企業におけるバックオフィス業務の自動化のほか、士業事務所における代行業務やアドバイザリーの効率化などを想定。特に士業事務所においては、より付加価値を高めていけるとする。
マネーフォワードの辻 庸介グループCEOは、「爆発的に業務が楽になると期待している。20%、50%作業が減るではなく、10倍、20倍という事例を作っていきたい」とした。
AI Coworkは7月から提供開始予定で、7日からマネーフォワードクラウド利用者からの先行受付を開始している。
料金体系は検討中だが、「(Claude Codeなど)いまのAIサービスの多くがシート課金(ユーザー単位の定額課金)が多い。それに近いものが受け入れられやすいと考えている」(執行役員 ビジネスセグメントCPO/VPoP 廣原 亜樹氏)とした。
辻CEOは、「シート課金+従量課金がAIの世界のベースになってきている。それに近い、仕事量や処理したデータに対して費用が発生するといったものは考えている。事業形態によっても、SMB(小規模事業者)の方は、全部入っているかたちで契約をすればAI Coworkが使える。中堅企業で経費精算だけ使っている場合は、プラスのオプションでAI Coworkが使えるなどもありえる」と説明した。
また、AI Coworkを強化することで、事業者が複数のマネーフォワードクラウドのプロダクト導入をすると「より便利」といった体験につなげていく。
SaaSからデジタルワーカー マネーフォワードはAIカンパニーに
マネーフォワード クラウドは10年以上かけ、個人事業主から上場企業まで、導入事業者は44万以上(有料契約者)まで拡大。バックオフィス業務のデジタル化や省力化を進めてきた。
日本の生産年齢人口は、2020年の7,509万人から、2040年に6,200万人、2070年には4,535万人と急速に減少する。こうした中ではバックオフィスの業務削減は急務であり、AIの導入はそれを後押しする。
マネーフォワードでも、「マネーフォワード クラウド給与」や「クラウド連結会計」、「クラウド契約」など、多くのサービスで生成AIを導入しているほか、AI経費精算やAI請求管理などに機能ごとの「エージェント」の導入も進めてきた。一例として、確定申告は年末年始の6日間から3時間に、会計事務所でも顧問先の月次の試算表作成がほぼ自動化され、平均4時間の作業が24分まで削減されるなど成果がでているという。
また、マネーフォワードが展開する経理代行・アウトソーシングなどのAI-BPOサービス「マネーフォワードおまかせ経理」や「マネーフォワードおまかせ請求回収」も急拡大。バックオフィス業務のアウトソーシングの流れも拡大してきている。
その流れを推し進め、バックオフィス業務の「自動化」を目指すものがAI Coworkとなる。AI Coworkの目標は、「同僚のようなAI」(マネーフォワード 辻 庸介グループCEO)で、人手不足に悩む企業を支える「自律化したバックオフィス」の実現に向けて、リソースを集中していく。その基幹プロジェクトとしてAI Coworkを位置づけている。
これまで個別で展開していたマネーフォワードの各SaaSでは、その利点は大きかったものの、勤怠、給与、経費精算などのサービスごとにログインし、異なる画面(UI)を操作する必要があり、「その点は課題だった」とビジネスセグメントCPOの廣原氏。
AI Coworkを始めとする「AI同僚」では、 1つのチャット画面だけで、あらゆるSaaSや業務ロジックをコントロールできるようにする。
その中で、強みとなるのが、「10年かけて培ってきた、データやロジック、ガバナンス」(辻CEO)とし、その上で従来のSaaSビジネスのかたちを変えていく。その先に見据えた目標として掲げるのが、「NO.1バックオフィスAIカンパニー」だ。
辻CEOは、SaaS関連のデジタルツールの市場は2.8兆円規模だが、人件費を代替するデジタルワーカー市場は14.1兆円としたグラフを提示。SaaSビジネスからデジタルワーカー市場へのシフトが重要になると説明。今後の「AIカンパニー」への転換を強調し、2030年度にARR(年間経常収益)で150億円を目指す。
















