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近畿大学、ノドグロ完全養殖に成功 世界初
2026年2月6日 12:27
近畿大学水産研究所は、富山実験場(富山県射水市)において、ノドグロ(標準和名:アカムツ)の人工種苗より養成した親魚から仔魚を得ることに成功し、完全養殖を達成した。世界初の成果であり、2026年2月5日時点で稚魚の飼育期間は122日となっている。
ノドグロは標準和名をアカムツといい、「白身のトロ」とも呼ばれる高級魚。富山実験場では15年にノドグロの飼育研究を開始し、16年10月に人工ふ化に成功した。以降、完全養殖を目標に飼育方法を改良しながら人工ふ化稚魚の量産化に取り組み、22年に約10,000尾、23年に30,000尾以上の種苗生産に成功している。
24年の能登半島地震では、液状化現象などで実験場の水槽や配管が破損し、一部のノドグロが死亡したが、生き残った稚魚約8,000尾は新潟県立海洋高等学校との高大連携の一環として、新潟県糸魚川市筒石沖に初めて放流。25年3月にも約37,000尾を放流している。
完全養殖に向けては、22年9月に新潟県上越沖で採取した卵から人工ふ化したノドグロ飼育群が3歳魚となったことを受け、これらを親魚として25年8月から、自然成熟と催熟(ホルモン投与などで人為的に成熟を促すこと)の両面から採卵を試みた。
自然成熟群では、雌と成熟した雄を同一水槽で飼育し、自然界の採卵期である9月に合わせて水温を20℃以上に維持するなどの工夫を行なったところ、産卵は確認されたが受精には至らなかった。
催熟群では、9月下旬から10月上旬にかけて、ホルモン投与で産卵を促した雌と成熟した雄を同一水槽で飼育し、産卵を試みた。結果、雌5尾から計7回、約20万個の産卵が確認されたが、こちらも受精は確認できなかった。
そこで人工授精を前提に採卵を実施したところ、ホルモン投与で産卵を促した雌6尾から計8回、約36万個の卵が得られ、これらに人工授精を行ない、25年10月6日に人工ふ化に成功し、完全養殖を達成した。
その後も10月10日までに計4例の人工ふ化に成功し、このうち2例で飼育を継続している。稚魚は今後3年程度で成魚となり、次の完全養殖ノドグロを産む親魚に成長する見込みだという。
2月3日時点の完全養殖ノドグロ稚魚の飼育状況は、25年10月6日にふ化した群が全長約45~50mmで飼育尾数が6,527尾。25年10月12日にふ化した群が全長約40~45mmで飼育尾数が695尾。
今後、飼育方法や飼育環境、飼料、給餌方法、病気対策など飼育技術全般の開発とその安定化を図り、品種改良による高成長など養殖に適した種苗(稚魚)の生産を目指す。また、人工ふ化した個体は雄が多く雌の比率が約3%にとどまるため、雌の比率を高める研究も進める。
