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撮影できるスマートグラス、遂に日本に 気になる配慮は?【Watch+】
2026年2月6日 09:00
「眼鏡市場」を展開するメガネトップから、国内眼鏡メーカーとして初となる写真・動画撮影が可能なスマートグラス「Linse(リンゼ)」が発表されました。Metaが2021年に「Ray-Ban Stories」を発表してから4年以上を経て、いよいよ日本にも撮影機能付きスマートグラスが本格投入されることになります。
メガネトップは、4年の開発期間をかけたLinseを通じて、日本特有ともいえる高いプライバシー意識や盗撮などへの警戒感とどう折り合いをつけたのでしょうか。本稿では、撮影機能をメインに代表的なAIグラス「Ray-Ban Meta」と比較しつつ、利便性とプライバシー配慮がどう両立されているのかを見ていきます。
見た目は「Ray-Ban Meta」 主な違いは
Linseを見て、まず感じるのは外観や撮影機能がRay-Ban Metaによく似ているという点。ツル右上部のシャッターボタンや音声で撮影を開始し、その際にLEDが点灯・点滅するという基本的な動作は共通しています。
一方、スペックを見比べると、重量はLinseが約45gと、Ray-Ban Meta(51~53g)に比べて軽量ですが、動画の連続撮影時間はLinseが最長1分で、デフォルトで3分のRay-Ban Metaより短いなど、細かな違いはあります。
また、LinseにはRay-Ban Metaの「Meta AI」に相当するAI機能は備えていませんが、撮影を中心としたユーザー体験においては、極端な別物という印象は受けません。
ハードウェアとしては似ている両製品ですが、大きな違いとして、Linseは日本の法規制やマナーに合わせて設計されている点にあります。メガネトップは、弁護士や専門家を交えてコンプライアンスを精査しながら、盗撮などの悪用をどう防ぐかという懸念に対し、技術と啓発の両面からアプローチしています。
象徴的な機能が、LEDセンサーを手で覆うと撮影できない仕組みです。髪の毛がかかる程度では停止しない一方で、手で覆ってこっそり撮るような動作はシステム側が拒否します。
販売方法も特徴的で、Linseはオンラインで販売せず、全国130店舗での対面販売に限定しています。これは、購入時にスタッフが注意点や禁止事項を直接説明し、理解を得たうえで販売できる環境を優先したためで、メーカーとして悪用を防ぐ姿勢を明確にしています。
日本でもアクションカメラなどの小型カメラを見かける機会は増えましたが、スマートグラスはそれ以上に隠し撮りを想起させやすい側面があります。そのため、今回の「隠すと撮れない」機能や対面販売の徹底は、日本で普及させるためには必要な妥協点でしょう。
もっと踏み込んだ技術的対策も考えられますが、制限を強くしすぎると今度は「撮りたい瞬間に撮れない」「使うたびに手間が増える」といった形で利便性が損なわれかねません。Linseは、実用性を保てる範囲でやりすぎない線引きを探っている印象です。
懸念がつきまとうカテゴリであっても、手元をふさがずに作業の様子を記録したり、子供やペットのふとした瞬間を残せたりするのは、やはり魅力的です。大手であるメガネトップが責任を持って国内投入した意義は小さくありません。
Linseは、撮影機能付きスマートグラスを国内に投入するにあたり、「社会に受け入れられる条件」をどこまで具体化できるかに向き合った1つの解です。ここから日本のスマートグラス市場がどう変わっていくのか、今後の展開に注目したいところです。



