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成功裏に終わった万博キャッシュレス 来場者・店舗から高評価
2025年11月17日 15:27
2025年日本国際博覧会協会は、大阪・関西万博で実施した全面的キャッシュレス決済による会場運営について、効果を検証し報告書をまとめた。来場者・店舗ともに評価は高く、取り組みは成功したと総括している。12月末には詳細分析版も公開される予定。
大阪・関西万博では、会場内の235店舗で73種類という国内最多クラスの決済ブランドを導入し、万博史上初となる、現金を一切取り扱わない全面的キャッシュレスによる会場運営が実施された。
検証の結果、決済利用者の満足度は9割を超え、店舗業務は現金管理に比べて決済関連作業に要する時間が約10分の1に効率化されるなど、キャッシュレス化による快適な体験や、円滑な店舗運営に大きく寄与した。
また、決済利用者には、会場外の日常生活でもキャッシュレス利用意欲が向上するといった、社会全体に行動変容の兆しが見られるとし「日本のキャッシュレス社会の推進に向けた大きなレガシーとなる成果が得られた」とまとめている。
キャッシュレス体験のきっかけに
大阪・関西万博には184日間の累計で約2,900万人が来場。会期中にシステム障害による決済停止は一度も発生しなかった。全面的なキャッシュレス決済の導入について、多数の決済手段に対応したほか、事前に周知を図ったことも功を奏し、来場者から大きな不満は出なかったという。
来場者への大規模なアンケート調査(1万人超)により、高齢者を含め、今後の生活でもキャッシュレス決済を使いたいという意向が高まったことが判明したことについては、「現金志向が高いと言われる我が国においても、利便性の高い環境を用意すれば、高齢者を含む消費者に全面的キャッシュレスが受け入れられる素地が十分にあることが確認できた意義は大きい」とまとめている。
店舗運営が大幅効率化
店舗側も全面的キャッシュレスにしたことで、現金管理の手間の削減などの業務効率が向上。現金取り扱いリスクの削減を実感した店舗は9割を超えたという。
現金管理について、通常の店舗と比較した場合、決済関連作業に要する時間は1カ月間で1,443分だったところが130分へと、約10分の1にまで短縮された。また、レジ1回当たりの決済時間は約半分に高速化され、こうした店舗の回転率の向上は、多数の人が来店する大規模イベントなどで特に効果が大きいとした。
現金レジを運用する店舗は一般的に、平均して月に13回程度、過不足金が発生するレジ締めトラブルが起こるとされるが、全面キャッシュレスを導入した万博店舗ではこれがゼロだった。
参加店舗を対象としたアンケートでは、7割超の店舗が「今後もキャッシュレスを取り入れたい」と回答。大規模イベント等での全面的キャッシュレスは、店舗側の広がりの面でも、キャッシュレス推進のために重要な取り組みとしている。
27年の園芸博も全面キャッシュレス
課題として挙げられたのは、手数料など店舗の運営コストの増加、キャッシュレス以外の選択肢がないことへの顧客からの苦情、トラブルによるキャッシュレス決済利用不能など。
なお、会場の店舗には決済端末が基本的に無償貸与されていたほか、来場者サポート体制の構築、プリペイドカードの販売と現金チャージ機65台の設置など、幅広く準備された。キャッシュレス決済の手段を持っていない来場者向けに用意されたプリペイドカードの販売実績は、1日あたり約30名で、来場者数の0.02%にとどまった。訪日外国人向けに用意されたWelcome Suicaの無償配布は1日2枚程度だったという。
手数料への不満については、店舗側へのアンケート調査でキャッシュレスの導入意向は高まっており、「トータルで効率化されたことを実感してもらえたのでは」(2025年日本国際博覧会協会 企画局 参事の谷川淑子氏)としている。
協会は「万博史上初の全面的キャッシュレス決済の取り組みとして大きな成果を収めた」と総括。“次の万博”として2027年3月に開幕する「2027年国際園芸博覧会」(GREEN×EXPO 2027、園芸博)でも全面キャッシュレスが導入される意向であることから、大規模イベントでの導入が進み、行動変容につながることに期待を寄せている。








