シャープ、27年にEV本格参入　EVは「くらしを豊かにする家電」

シャープは、「リビングルームの拡張空間」としての活用を提案するEV(電気自動車)コンセプトモデル「LDK+」第2弾を開発した。10月30日から東京ビッグサイトで開催される「Japan Mobility Show 2025」で公開し、シャープブランドで27年度の市場参入を目指す。

LDK+は、シャープが開発するEVのコンセプトモデル。親会社である鴻海科技集團(Foxconn)のEV「Model A」をベースに開発し、コンパクトミニバンサイズでありながら、広々とした車内レイアウトが特徴。シャープでは「くらしを豊かにする家電のひとつ」と捉えて、EV開発を推進していく。

24年9月に「LDK+」のコンセプトモデル第1弾を発表。独自のAI技術「CE-LLM」やAIoT技術、センシング技術などを組み合わせて、EVと住空間、エネルギー機器をつなぐ、ミニバン型のEVを提案していた。今回の第2弾では、コンセプトは継承しながら、よりコンパクトなボディでありながら広い車内空間を確保し、ベースモデルを鴻海の「Model A」として開発した。

シャープでは、EVを「くらしを豊かにする家電のひとつ」と位置づけ、走行性能だけでなく、「もう一つの部屋」として使えるよう開発。駐車時には、シアタールームやリモートワーク部屋としての活用を提案する。

運転席と助手席の間には、テーブルやプロジェクターを備えたコンソールボックスを配置。運転席を後ろ向きに回転させると、後部座席と対面し、リビングのような空間となる。プロジェクターも搭載予定で、後部座席上部に設置されたロールスクリーンをおろして映画鑑賞や大画面でのオンライン会議などが可能となる。

また、AIと家電をつないだシャープのAIoTプラットフォームを通じ、キッチンや空調、ランドリーなど家の中の家電とEVが連携。AIが生活パターンや好みを学習し、「人に寄り添う」新しいライフスタイルを創出するという。V2H(Vehicle to Home)システムとも連携し、太陽光発電や住宅用蓄電池と組み合わせたエネルギーマネジメントも実現する。

シャープでは、「クルマは保有時間の95%が停まっている」とし、走らない時間での車内空間の有効活用を特徴にEVを展開。2027年後半にシャープが自社ブランドでEVを発売する。27年の市場参入は日本のみで、海外については「現時点では計画を持っていない」とした。

車重やサイズ、仕様の詳細は未定だが、販路については、自社ではなく家電量販店やショッピングモール、住宅メーカーなどとの協力を予定している。価格については「ファミリー層の手の届く価格を目指す」としている。