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NTT AI-CIXとRetail AI、連鎖型AIで物流網を最適化する新会社
2025年7月8日 15:42
NTT AI-CIXとRetail AIは、共同で新会社「Retail-CIX(リテールシックス)」を設立した。まずはPOSデータを活用した高度な需要予測と、業務プロセス間の連鎖型AIエージェントを活用したサプライチェーン最適化サービスの事業展開を進める。資本金は1億円(株主構成:NTT AI-CIX 50%、Retail AI 50%)。
NTTとトライアルホールディングスとの連携協定により進められているSCM(サプライチェーンマネジメント)改革の成果を基盤とし、製・配・販において見えづらかった需要・発注・在庫・棚割・物流・店舗作業という一連のプロセスを、AIとデジタルツイン技術により可視化・全体最適化する仕組み。
両社の連携では、業界の「ムリ・ムダ・ムラを無くし社会変革を実現する先進的取組みを推進」しているが、日本の流通小売業においては、業界内の非効率による損失が約40兆円にものぼるという。
これまで、NTT AI-CIXとRetail AIは、トライアルHDとの協力によって、流通業界における課題解決のための実証実験を繰り返しており、店舗作業コスト削減(-20%)、店舗在庫の圧縮(-20%)などの実績をあげている。こうした最適化効果は、小売業だけでなく卸売業・メーカーとも連携することで、生産性・出荷計画の合理化や、製造現場の作業平準化と残業削減など、川上への波及効果も見込めるという。
新会社では、これらの成果をさらに広く展開するため、下記のサービスを展開。
- 小売業向け:自動発注、棚割最適化、業務負荷軽減
- 卸売業向け:小売業と連携した需要予測による在庫最適化コントロール
- メーカー向け:小売業と連携した生産・出荷計画最適化
こうした機能を支える中核技術の一つが、DTC-SCM(デジタルツインコンピューティングによるサプライチェーンマネジメント)と呼ばれる「連鎖型AIエージェント」による最適化エンジンで、流通サプライチェーンにおける「全体最適」を実現する。
小売向けの具体的な初期サービスは、「発注最適化AI」「補充曜日最適化AI」「配送最適化AI」「棚割最適化AI」の4つを軸に展開。「発注最適化AI」では、需要予測に基づき、発注量とタイミングを適切にコントロール。人員や店舗在庫、欠品、物流効率など、連動するコストが最小限となる発注シナリオを作成する。
「補充曜日最適化AI」は、商品ごとの販売速度と棚の大きさから、在庫補充作業が必要な日にちを特定して補充コストを低減。毎日行なう必要が無い作業をAIが判断し、本当に必要な作業のみを絞り込んで指示を出す。
また、店員には直接「次にすべきこと」がAIから提案され、業務効率化にも貢献できる。
「配送最適化AI」と「棚割最適化AI」については現在試験中のサービス。「配送最適化AI」は、配送トラック便数や積載率まで積極的に考慮することで、物流・荷受けコストをさらに削減する発注シナリオを生成。「棚割最適化AI」は、商品毎の棚の大きさや位置(棚割)を、購買傾向を考慮して適性化。よく売れるものは多く配置するが、それほど数がでなくても需要はあるものも適性に配置していく。
今後は、他の製・配・販企業との連携も予定し、既存の業界慣習による構造的な課題を連鎖型AIエージェントにより解決する革新的なサービス創出と導入拡大を目指す。







