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ポケGOなど取得のスコープリー、既存ゲームはそのままで日本IP連携に意欲

モバイルゲーム大手のScopely(スコープリー)は、2025年3月にNianticのゲーム事業の買収を発表。買収対象には、Nianticが展開する「Pokémon GO」「モンスターハンターNow」「ピクミンブルーム」などのタイトルが含まれる。

この買収手続きが進行するなか、Scopelyの共同CEOであるハビエル・フェレイラ氏と共同創業者兼CEOのウォルター・ドライバー氏、最高収益責任者(CRO)のティム・オブライエン氏が来日し、買収の背景や今後の事業方針、日本市場の位置づけなどについて説明を行なった。

Scopelyは米国・カリフォルニアに本社を置くモバイルゲーム企業で、「Inspire play, everyday」(毎日に、遊び心を)をミッションに掲げ、「MONOPOLY GO!」「Stumble Guys」「Star Trek Fleet Command」などのモバイルゲームを展開している。累計プレイ時間は150億時間を超え、世界15カ国以上で事業を行ない、従業員数は2,400人を超える。買収完了後、10億ドル以上の売上を記録したフランチャイズは6本となる見通し。

買収の背景には、位置情報を活用したゲーム事業への関心がある。ウォルター氏は位置情報ゲームを「非常に挑戦的なカテゴリ」と位置づける。この分野はリアルタイムでの位置取得や現実と連動したゲーム設計など、技術・運営ともに難易度が高い。「他社の参入事例は限られており、Nianticはそのなかで継続的に成果を上げてきた数少ない企業」とウォルター氏。Scopelyはこうした市場環境を踏まえ、実績とノウハウを持つNianticのゲーム事業を買収することによって、位置情報ゲーム領域への本格的な参入を図る。

ウォルター・ドライバー氏

今回の買収には、東京を拠点とするNianticのゲーム開発チームも含まれており、このチームを通じて日本市場での事業展開を進める方針。日本市場はゲームの消費額が大きいことに加え、国際的に評価されるIPを数多く生み出してきた市場であると位置づけている。

日本における中長期的な目標として、フェレイラ氏は3点を挙げた。最重要目標は、現在運営している「Pokémon GO」「モンスターハンターNow」「ピクミンブルーム」の3タイトルの継続的な運営と成功であるとし、これが達成できれば他の全てはついてくるとの考えを示した。また、2点目に東京スタジオを拠点としたチームの人材強化を継続すること、3点目は、日本のIPホルダーとの関係を深めることも目標に掲げている。Scopelyは、これらの目標達成を通じて、日本市場でのプレゼンス強化を目指す方針。

ハビエル・フェレイラ氏

加えて、ティム・オブライエン氏は、これまでグローバルで展開してきたIPホルダーとの協業実績を活かし、日本発のIPとの連携にも関心を示している。具体的な提携や新作タイトルについては未定としつつも、今後数年を視野に、日本市場でのパートナーシップ構築を進めていくとしている。

ティム・オブライエン氏

現在提供されているタイトルの運営方針について、フェレイラ氏は「既存の体制を尊重し、プレイヤーにとってより良いサービスを提供することが重要」との考えを示している。ゲーム内容自体に大きな変更を加える予定はなく、既存の運営チームの自律性を維持することで、ユーザー体験への影響を最小限に抑える方針とする。また、短期的な対応にとどまらず、今後10年単位の長期的視点を持ってプレイヤー体験の向上に取り組む姿勢を強調している。

Scopelyはこれまでにも、オブライエン氏が語るように、Hasbro(ハズブロ)との協業を通じて「YAHTZEE」「Scrabble」「MONOPOLY GO!」などを共同開発・運営しており、同様の形でIPホルダーとの長期的な関係構築を重視する姿勢を示している。

左から、共同創業者兼CEOウォルター・ドライバー氏、最高収益責任者(CRO)のティム・オブライエン氏、共同CEO ハビエル・フェレイラ氏