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戸籍に氏名のフリガナ記載が5月26日開始 必ず内容を確認しよう
2025年5月23日 09:00
2025年5月26日に施行される改正戸籍法により、戸籍に氏名のフリガナが記載されるようになります。あわせて5月26日以降、本籍地市区町村から、戸籍に記載予定の氏名のフリガナが通知されます。このフリガナが誤っている場合は届出が必要となります。そのため、通知が届いたら必ず内容を確認するようにしましょう。
なぜ、戸籍にフリガナが必要になるのでしょうか? 理由は主に3つあります。
- 行政サービスのデジタル化の促進
- 本人確認情報としての利用
- 各種規制の潜脱行為の防止
今まで、氏名のフリガナは戸籍に記載されておらず、法律上の根拠がありませんでした。新たに、戸籍に氏名のフリガナが記載されることで、本人確認がより確実にスムーズに行なえるようになると期待されます。3つめの潜脱行為の防止というのは、金融機関などにおいてフリガナを使い分けて複数の口座を開設するといった行為を防止するものです。
市区町村から「通知書」 マイナポータルでもお知らせ
こうした目的のもと、5月26日以降順次、本籍地の市区町村から、戸籍に記載される予定のフリガナの通知が「通知書」として届きます。フリガナの通知は、同居している家族分がまとめて届きます。通知が届いたら記載されたフリガナが誤っていないか、確認しましょう。
また、マイナポータルからも「お知らせ」が配信され、マイナポータルで戸籍に記載する予定のフリガナの確認や、氏名のフリガナの届出ができます。
フリガナが正しい場合は、届出をしなくても2026年5月26日以降に通知のフリガナがそのまま戸籍に記載されます。
もしフリガナが間違えていた場合は、「届出」が必要です。本籍地もしくは住所地の市区町村の窓口や郵送で届出できるほか、マイナポータルでも届出を行なえます。マイナポータルの場合、窓口まで出向く必要がなく、手元のスマートフォンなどでできるため推奨されています。
フリガナの修正の届出は期限が限られており、25年5月26日から26年5月25日までの1年間となっています。なお、届出には手数料は一切かかりません。
届出の注意点 フリガナは「公的な本人確認資料」
通知書は同居している家族分がまとめて届きます。基本的には自分の名前を確認するだけですが、届出は「氏(名字)」と「名」でそれぞれ届出できる人が異なる点は注意が必要です。
「氏」については、原則として戸籍の筆頭者(戸籍の最初に記載がある人)が届け出ます。「名」については、各個人が届け出ることができます。未成年者については、親権者が届出をしますが、15歳以上であれば、本人が届出をすることも可能です。
重要なのは、戸籍のフリガナは公的な本人確認資料となることです。そのため、パスポートや年金手続きで登録した銀行口座のフリガナと違うフリガナを戸籍に記載した場合、パスポートや銀行口座などのフリガナの変更手続きが必要になる場合があります。
また、通知されたフリガナを変更する場合、そのフリガナが氏名の読み方として一般的に使用されない読み方の場合は、パスポート、預貯金通帳、健康保険証等のコピーなど、「読み方が通用していることを証する書面」を提出する必要があります。マイナポータル届出の場合は、届書の書面提出は不要ですが、「読み方が通用していることを証する書面」の提出を求められた場合は書面を提出する必要があるそうです。
26年5月26日までに届出がなかった場合は、本籍地の市区町村長によって、通知に記載されているフリガナが戸籍に記載されます。届出をしなかったとしても、罰則や罰金はありません。また、26年5月26日以降にフリガナの誤りに気づいた場合は、1回に限り、正しいフリガナに変更できます。
なお、届出により一旦戸籍に記載されたフリガナを変更する場合は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を市区町村に届出しなければいけません。名前を変えるのと同じ手続きが必要で非常に大変になります。
キラキラネームに制限 詐欺に注意
基本的には、通知書を確認して、もし誤りがあれば届出してするというシンプルなものです。
ただし、新たなルールも設けられます。
5月26日以降、出生届により初めて戸籍に記載される赤ちゃんについては、そのフリガナが「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているものでなければならない」というルールが課されます。
「一般に認められているもの」の解釈が難しい部分がありますが、ルールの目的としては、外国語と関連付けたり、字の意味からの連想を用いたりする、いわゆる「キラキラネーム」について、一定のルールを設けることが狙いです。
では、どのようなフリガナが禁止されているのでしょうか? 法務省によれば、「高」を「ヒクシ」と読むなど漢字の意味と反対のものや、「太郎」を「ジロウ」や「マイケル」、「鈴木」を「サトウ」など別人と誤解される読みなどが、例として挙げられています。
また、「社会通念上相当とはいえない」ものとして、「差別的・卑わいなど、著しい不快感を引きおこすもの」「反社会的な読み方など、明らかに名前としてふさわしくないもの」などもフリガナとしては認められません。
認められている例としては、心愛(ココ・ア)、桜良(サ・ラ)などの「部分音訓」、飛鳥(アスカ)、五月(サツキ)、弥生(ヤヨイ)、百合(ユリ)などの「熟字訓」、美空(ソラ)、彩夢(ユメ)などの「置き字」などが紹介されています。基本的に、漢和辞典など一般の辞典に掲載されているものは広く認める、という方針になっています。
なお、「フリガナの通知」は、多くの国民に一斉に通知されます。そのため、「便乗詐欺」が発生する可能性があります。
フリガナの届出に当たり、法務省や市区町村などの行政機関が金銭を支払うように要求することはありません。また、届出には手数料はかからず、届出をしなくても罰則はありません。
「手数料や罰金を支払う必要がある」など金銭を要求するような連絡があった場合、それは詐欺です。全国共通のコールセンターや、市区町村の担当窓口、警察署などに連絡してください。