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「Notion AI for Work」発表 AI強化で文字起こし・横断検索・リサーチ

Notion Labs Japan ソリューションエンジニア 早川氏

コラボレーションツールの「Notion」は、5月13日にビジネス向けの新機能を統合したAIワークスペース「Notion AI for Work」を発表した。従来はアドオンという形で提供されていたNotion AIが、ビジネスプランおよびエンタープライズプランに標準で統合される。あわせて、ビジネスプランの価格は、月額15ドルから20ドルへと改定される。

開発背景には、企業におけるSaaSやAIツールの乱立による「情報の断片化」や「高コスト化」がある。日常業務で利用するソフトウェアが増えるほど、柔軟性や生産性に影響を及ぼすほか、AIツールの普及によって、こうした“散乱”がさらに加速していると指摘。Notionでは、この問題を解消するため、Notion AIを組み込んだ統合型ワークスペースを提供する。

Notion AI for Workでは、Microsoft TeamsやMicrosoft SharePoint、Slack、Google Driveなど、さまざまな業務アプリとの連携が可能となっている。各サービスと連携することで、必要な業務情報をNotion上だけで取得できるのが特長。また、Notion独自のブロック構造を活かし、AI機能を業務プロセスに自然に組み込める設計となっている。

主な機能は3つ。1つ目は「エンタープライズサーチ」で、Notion内に加え、Slack、Google Drive、GitHub、Jira、Microsoft Teamsなど外部ツールを横断して検索できる。また、SalesforceやZendesk、Gmailなど、より多様な外部サービスとの連携も順次拡大する計画で、連携可能なツールの範囲は今後さらに広がる見通し。AIモデルは「GPT-4.1」および「Claude 3.7 Sonnet」から選択可能。

参照先も選ぶことが可能

2つ目の「AIミーティングノート」は、オンライン・対面問わず会議内容をリアルタイムで文字起こしし、AIが即座に要約を生成できる。本機能はデスクトップアプリで利用でき、会議メモや議事録の作成を大幅に効率化する。

「営業」や「チームミーティング」などユースケースに応じて文字起こしが可能
文字起こしが終わると即座に要約も行なう

3つ目の「リサーチモード」は、Notionワークスペースと連携しているすべてのツールに加え、Web上の情報も検索対象とし、必要な情報を深掘りして収集・要約できる機能。調査結果はレポート形式で自動生成される。Web上の情報を検索対象に含めるかどうかは、ユーザーが任意で選択できる。

リサーチ時に参照した引用先が表示される

いずれもNotionの既存機能と連携し、ドキュメント作成やプロジェクト管理、ナレッジ共有など日常業務の中でAIが自然に利用される設計となっている。

提携と支援の推進により、日本市場での展開を強化

同社は日本を米国に次ぐ重要市場と位置づける。日本市場での展開強化に向けて、Notionは導入支援体制の拡充を進めている。具体的には、ナレッジ管理やプロジェクト管理の最適化を支援する「プロフェッショナルサービス」、データ移行やシステム連携など技術的な課題に対応する「テクニカルサービス」、企業向けに大規模に利用しているユーザに対して、専任サポート担当を提供する「プレミアムサポートサービス」の3領域で体制を整備する方針。

さらに、日本市場におけるパートナーシップの強化にも取り組む。販売代理店のネットワーク拡大に加え、大学などアカデミック分野との連携や、戦略的パートナーシップの構築も視野に入れている。たとえば、すでに京都芸術大学との協業を発表しており、教育機関での活用推進にも注力する。

また、ユーザーコミュニティとの連携を通じた製品改善にも力を入れており、Notionでは「アンバサダー」「キャンパスリーダー」「チャンピオンズ」といった三層のコミュニティを運営している。アンバサダーはSNSやYouTubeなどで積極的に情報を発信する一般ユーザー、キャンパスリーダーは大学生による学生向けコミュニティ、チャンピオンズは企業内でNotionを推進する担当者層で構成される。

これらのコミュニティから寄せられるフィードバックは、プロダクト開発やサポート体制の改善に活かされており、Notionにとって日本市場での重要なインサイト源となっている。今後も、地域に根ざしたパートナーシップとユーザーとの対話を通じて、国内での利用拡大を図る方針。

Notion Labs Japan ジェネラルマネージャー 西 勝清氏