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「ルンバは盤石」 経営陣とフルラインナップを刷新した新ルンバは何が違う?

アイロボットジャパンは、ロボット掃除機ルンバ史上初となる、フルラインナップ刷新を行なう。既存モデルの販売を順次終了し、4月18日より新ルンバ6機種を発売する。価格は39,400円~128,400円。今後も新モデルの投入を予定している。

新たに発売するルンバは、3つのカテゴリーーに分類。単身世帯やコストを重視する人をターゲットにした普及拡大カテゴリー「Roomba」として3機種、子育てファミリーや複数の部屋がある間取り向けのミドルレンジ「Roomba Plus」として2機種、史上最高の清掃力でペットオーナーやカーペットが多い部屋向けのフラッグシップ「Roomba Max」として1機種を用意する。

フルラインナップ刷新について同社は、「ロボット掃除機全体の普及拡大と、ルンバのリーダーシップをさらに強化するため」としている。全機種の機能やユーザビリティ、デザインなどを全面的に見直した。

3カテゴリーに分類。普及拡大カテゴリー「Roomba」は日本市場を意識して開発、ミドルレンジ「Roomba Plus」は自動化と先進機能を盛り込んだ、フラッグシップ「Roomba Max」は史上最高の吸引力と清掃力を誇るという

アイロボットジャパン 代表執行役員社長 挽野 元氏は新ラインナップについて「一度に6機種、カラーバリエーションを含めると9モデル発売します。お客様1人1人に必ずフィットするマイベストルンバがあります。ターゲットを明確化することで、シンプルで分かりやすいラインナップにしました」とコメントした。

また、今後の展望として「このフルラインナップをもって、ルンバのさらなる普及拡大のために、5年後の2030年までにクリーナー市場でのブランドシェア20%を目指します。ルンバはロボット掃除機市場では一定のシェアを獲得していますが、これからはクリーナー市場での存在感をもっともっと高めていきたいと考えています。ルンバはもう掃除機の当たり前に、そんな世界を目指し、本日新たな一歩を踏み出します」と意気込みを語った。

アイロボットジャパン 代表執行役員社長 挽野 元氏
5年後の2030年までにクリーナー市場でのブランドシェア20%を目指す

ルンバは盤石 経営陣も刷新

2024年5月にアイロボット・コーポレーションのCEOに就任したゲイリー・コーエン氏は、米ジレット、TIMEX、P&Gなどを経て現職に。コーエン氏は新生アイロボットについて以下のように話す。

「約1年前にこの会社の一員となった際、業績向上と会社再建のためにありとあらゆることを向上(エレベート)させると約束しました。言い換えればアイロボットの成功に全力を注ぐことを決意し、実行しています。この1年間でアイロボットには多くの変化があり、優秀な社員と共に会社を変革しました。経営陣を刷新し、新製品のイノベーション、消費者フォーカスの製品設計、ブランド構築に集中できるよう最高の人材を揃えました。

ビジネスモデルを変え、ロボットの開発・製造方法も一新。新製品を迅速かつ効率的に市場に投入できるよう支援してくれるアジアのパートナーも得ました。今私たちはスーパーファースト、ものすごいスピードで動いています。

消費者フォーカスでは消費者インサイトに基づき、お客様がロボットの掃除に1番求めている製品とテクノロジーを明確にし、すべての価格帯、機能レベルにおいて、お客様が喜び、満足できるグッドベターベストなアイロボット体験を、それぞれのカテゴリーーで提供します。こうした取り組みが業績向上の源泉となっています」

現在は開発のコアとなるチームを維持しながら、パートナーとの連携を強化してスピード感ある生産を実施。トランプ大統領の関税政策について記者から問われるとコーエン氏は「北米向けはベトナムから出荷、日本とヨーロッパはベトナムと中国から出荷しており分散しています。中国から北米への出荷はなく、今後も最適なエコシステムを常に模索し続ける」と回答した。

アイロボット・コーポレーション CEO ゲイリー・コーエン氏
1年間でビジネスモデル、開発・製造方法、経営幹部などを変革

また、3月の決算発表を受けてメディアで報道された内容について「一部誤解を招く報道のされ方があった」とコメント。これは、一部メディアで米アイロボットの決算報告書をもとに、同社が今後事業を継続することが困難であるといった内容が報道されていたことに対する発言となる。

「我々は財務基盤の強化策を講じており、取締役会は事業戦略の見直しを行なっています。この戦略見直しの一環として取緑役会は債務の借り換え、売却、その他戦略的取引の可能性などさまざまな選択肢を検討しています。すべてポジティブなアクションです。

この戦略見直し期間中、主要融資先と協力的かつ建設的な協議を引き続き積極的に行なっていることも発表しました。これらの協議が継続中であること、およびその他要因を考慮し、当社の監査人は法務典型年次報告書において、ゴーイング・コンサーン(継続企業の前提)についての説明の一文を監査意見に含めました。ゴーイング・コンサーンと記載されている企業でも事業を継続する企業は他にも多くありますし、今後アイロボットの戦略的見直しの一環でこの指摘が修正されることを期待しております」

今回発表した新製品や今後の製品は、日本市場を意識したものも含まれる。「新ラインナップは従来品に比べ利益率も向上し、2025年の前年比の収益成長に貢献すると見込んでいます。重要なことは、当社の事業運営、製品の開発・製造能力、そして世界中のお客様へのサービス提供に直接的な影響を及ぼすことはないということです」と説明。

そのうえで、「財務状況を説明する言葉の中には少々難解な表現もあります。しかしどうぞご安心ください。アイロボットは世界中で変わりなく業務を行なっています。アイロボットは盤石です」とコーエン氏はアピールした。

3月の決算発表を受けて報道された内容についてコーエン氏自ら説明

低価格モデルで侵入禁止エリア設定可能に

新たに投入した6モデルは、すべて新センサー「ClearView LiDAR」を搭載し、家中の間取りを素早くマッピングする。カーペットを検知すると回避しながら水拭きをするほか、自動で階段からの落下を防ぐ。

LiDARセンサーにより、今までは上位モデルのみに搭載されていた進入禁止エリアの設定、指定した部屋やエリアの清掃、ピンポイント清掃などがエントリーモデルを含むすべての新機種で可能になった。

上位モデルにはLiDARセンサーに加えてカメラを備え、物質を認識・回避できる「PrecisionVision AI テクノロジー」を搭載。家庭にあるコードやペットの排泄物などを認識して回避する。

新たに投入した6モデルは、すべて新センサー「ClearView LiDAR」を搭載
進入禁止エリアの設定、指定した部屋やエリアの清掃などがすべての新機種で可能になった

6万円以下で進入禁止エリア設定も「Roomba」

普及拡大カテゴリー「Roomba」として展開する3機種は、いずれも掃除機がけ&水拭きが同時にできる2in1モデル。価格は39,400円~59,200円。

付属の水タンクに水を入れてモップパッドを取り付けることで、適切な量の水がパッドに滲み出し、ゴミの吸引と水拭きを同時に行なう。ラグやカーペットなど水拭きをしたくない場所を掃除する際は、タンクとモップパッドを取り外すか、アプリで「吸引のみ」を設定する。

また、人が水拭きをするときのように前後にゴシゴシと動き、拭き取り力が2倍になる「スマートスクラブ」機能も、これまでは上位モデルのみの搭載だったが、新ラインナップではエントリーモデルから搭載する。

普及拡大カテゴリー「Roomba」
付属の水タンクに水を入れてモップパッドを取り付けることで、掃除機がけと水拭きが同時にできる
「スマートスクラブ」機能もエントリーモデルに搭載

「Roomba 105 Combo ロボット」は、最もシンプルなモデルで、価格は39,400円。

自動ゴミ捨て機能は搭載せず、ダストボックスからゴミを捨てる方式。メインブラシは毛とゴム製のシングルアクションブラシ。

「Roomba 105 Combo ロボット」ホワイト
ブラック

「Roomba 105 Combo ロボット + AutoEmpty 充電ステーション」は、自動ゴミ捨て機能「AutoEmpty 充電ステーション」を搭載。価格は59,200円。オンライン限定での販売となる。

掃除が完了すると、自動で本体のダスト容器のゴミを充電ステーション内のAllergenLock紙パックへ排出。紙パックに収納できるゴミの量は最大75日分。

「Roomba 105 Combo ロボット + AutoEmpty 充電ステーション」ホワイト
ブラック

「Roomba 205 DustCompactor Combo ロボット」は、自動ゴミ捨て機能は非搭載だが、業界初となる機械式圧縮機能「DustCompactor」を搭載。価格は59,200円。

ダストボックスに集まったゴミが継続的に圧縮され、最大60日間ゴミ捨てが不要になる。自動ゴミ収集機能付き充電ステーションを設置したときのように掃除の手間を忘れられ、掃除機置き場に悩んでいる、シンプルな間取りに住んでいる人におすすめとしている。

「Roomba 205 DustCompactor Combo ロボット」ホワイト、ブラック
業界初となる機械式圧縮機能「DustCompactor」を搭載
ダストボックスに集まったゴミが継続的に圧縮され、最大60日間ゴミ捨てが不要になる

ミドルレンジ「Roomba Plus」

ミドルレンジ「Roomba Plus」は、掃除機がけと水拭きが同時にでき、ルンバ初となる2つの大型円形モップパッドを採用。価格は98,800円~128,400円。

2機種ともに、水拭き機能のアップデートと、多機能な充電ステーションを搭載しながらコストパフォーマンスを追求したモデルと位置づける。

2つの大型円形モップパッドからなる「DualClean モップパッド」はマイクロファイバー製で、高速で回転しながら床を進む。前後に動く「スマートスクラブ」を選択すれば、より徹底的に汚れを拭き取る。

ミドルレンジ「Roomba Plus」。カラーはブラック
ルンバ初となる2つの大型円形モップパッドを採用。ブラシはゴム製のシングルアクションブラシ

また、センサーでラグを検知すると、自動でモップパッドが10mm持ち上がり、ラグを濡らさずに掃除機がけを実施。特別な操作をすることなく、フローリングとラグの掃除をシームレスに行なえる。子供の食べこぼしやペットの足跡など、忙しいファミリーを悩ます様々な汚れに対応するとしている。

充電ステーションは、自動ゴミ収集のほか、モップパッドの洗浄から乾燥、セルフクリーニング、自動給水とすべてをこなす「AutoWash 充電ステーション」を採用。

モップパッドは部屋を掃除中に定期的に戻って洗浄されるため、常に清潔な状態が保たれる。清掃が終わると自動でモップパッドの洗浄と乾燥を実施。また、セルフクリーニングサイクルで充電ステーション内にもゴミが溜まるのを防ぐ。自動ゴミ収集は最大75日のゴミを紙パックに溜められる。清潔さを保ちたいけれど、メンテナンスをする時間がない人向けのモデルとしている。

「AutoWash 充電ステーション」を採用

「Roomba Plus 405 Combo ロボット + AutoWash 充電ステーション」は、モップパッドの乾燥に送風を採用。価格は98,800円。

「Roomba Plus 505 Combo ロボット + AutoWash 充電ステーション」は、LiDARセンサーに加えてカメラを搭載し、障害物を回避して掃除できる。このほか、温風乾燥、汚れている場所を集中的に掃除する「ダートディテクトモード」、壁際を検知するとモップパッドが壁際まで伸びる「PerfectEdge」を搭載。。価格は128,400円。

Roomba Plus 405と505の違い
Roomba Plus 505は壁際を検知すると、モップパッドが壁際まで伸びる「PerfectEdge」を搭載


史上最高の吸引力と清掃力「Roomba Max」

フラッグシップとなる「Roomba Max」は、史上最高の吸引力と清掃力を誇るカテゴリーと位置づける。

「Roomba Max 705 Vac ロボット + AutoEmpty 充電ステーション」は掃除機がけ専用モデルで、価格は98,800円。

「Roomba Max 705 Vac ロボット + AutoEmpty 充電ステーション」

ナビゲーションシステムは「ClearView LiDAR」センサーに加え、カメラにより物質を認識・回避できる「PrecisionVision AI テクノロジー」を搭載。家庭にあるコードやペットの排泄物などを認識して回避する。

吸引性能は、 過去人気シリーズ(600シリーズ)の最大180倍となるルンバ史上最高の吸引力と、床に密着する2本のゴム製デュアルアクションブラシで、微細なゴミやペットの毛などを取り除く。ゴム製ブラシは絡まりにくく、ロングヘアやペットオーナーでも安心としている。

また、カーペットを認識して吸引力を自動でパワーアップする「カーペットブースト機能」も搭載。カーペットの奥に潜むゴミやホコリをパワフルに吸い上げる。

最大75日分のゴミを収集する「AutoEmpty 充電ステーション」を搭載。掃除が完了すると、自動で本体のダスト容器のゴミを充電ステーション内のAllergenLock紙パックへ排出する。紙パックは0.7マイクロンまでの粒子を捕捉し花粉やカビを99%封じ込めるとする。

「PrecisionVision AI テクノロジー」で、コードやペットの排泄物などを認識して回避する
床に密着する2本のゴム製デュアルアクションブラシ