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任意の範囲だけで個人情報を扱う「ゆるやか連携」 JCBとトヨタ・コニック・アルファ

JCBとトヨタ・コニック・アルファは、特定の事業者がデータを囲うのではなく、生活者の意思で指定した範囲だけつなげて利活用する「ゆるやか連携」の実証を、実証パートナー4社とともに2024年度から実施する。

コロナ禍をきっかけに、日本でもデジタル・トランスフォーメーションの動きが加速し、利便性が高まった一方で、情報管理に不安を持つ人も存在し、データ利活用に関する課題も見えてきたという。

内閣官房デジタル市場競争本部のTrusted Webでは、プラットフォーム事業者が収集した情報を、利用者の意図しない使い方をする「プライバシーに関する懸念」や、多くの人が依存する複数のサービスを接点としてもつネットワーク効果で、特定の事業者が利用者のデータを事実上ロックインする「勝者総取りなどによるエコシステムのサステナビリティへの懸念」を指摘している。

たとえば、リアルの世界で何かのサービスを利用する時に本人確認が必要な場合、自分の財布やパスケースから自分の意思で身分証明書を取り出して情報を提供するが、確認が終われば身分証明書は元の場所に戻し、誰もそれを使うことはできない。

今回の取り組みは、デジタルの世界でも同様の仕組みが可能かどうかを検証するもので、自己主権型アイデンティティ/分散型アイデンティティの概念や、やりとりするデータの信頼性を証明するVC(検証可能なデジタル証明書)といった標準化された仕組みを取り入れた実証を「ゆるやか連携実証」と名付けて実施する。

実証では、モビリティデータと生活者の相互運用性や具体的な社会実装を意識したユースケースを設定。新たに開発する「ゆるやか連携システム」と「個人用ゆるやか連携アプリ」を活用して行なう。

具体的には、サービス利用申し込みに必要なmDL(モバイル端末に格納できる運転免許証)などの資格情報を資格情報発行機に要求し、VC等の授受による権限授与/アプリ利用の履歴照会/証跡照会、これらによる属性情報と属性連携の実証を行なう。

実証には、大日本印刷、フェリカネットワークス、IDEMIA、NRIセキュアテクノロジーズの4社が実証パートナーとして参画する。