ニュース

東京メトロが完全無人書店を作る理由 「ほんたす 溜池山王」

東京メトロ銀座線・南北線 溜池山王駅構内に、完全無人書店「ほんたす ためいけ 溜池山王メトロピア店」が、9月26日にオープンする。オープンに先立ち、メディア向けに公開された。

東京メトロ、メトロプロパティーズ、日本出版販売(日販)、丹青社が連携する取り組みで、運営は日販。入退店はシステムで管理し、会計はセルフレジによるキャッシュレスとすることで、完全無人でも安心して利用できるとしている。

入退店にはLINEミニアプリを活用。店頭に掲出されたQRコードを読み込んで名前(ニックネームで可)を登録し、会員登録、会員証発行を行なう。入店用のQRコードが表示されるので、これを入口にあるリーダーにかざすと自動ドアが開く。2回目以降は店頭のQRコードを読み取ることなく、LINEから会員証を開くことができる。

店頭にはQRコードが掲出されている
QRコードを読み込んで会員登録画面にアクセス
名前を入れて会員登録を行なう
会員証を発行し、QRコードを表示
リーダーにかざすと自動ドアが開く

出口にもリーダーが設置されており、退店時には入店時同様QRコードをかざすことで自動ドアが開く。

決済はセルフレジによるキャッシュレス決済で、Pay決済(QRコード決済)、電子マネー、クレジットカード、図書カードに対応。現金を取り扱わないことは運営負荷軽減にもつながるとしている。

会計用の端末は2台
購入する本のバーコードをスキャン
決済方法を選択して決済を行なう

店内には、利用者の問い合わせに対応するため、サポートセンターとチャットやビデオ通話を行なうためのQRコードを設置している。そのほか、ライブカメラで店内を監視し、トラブル抑止や災害時の状況把握など緊急事態の対応を行なう。

問い合わせ用のQRコード
読み込むことで問い合わせ内容の選択画面に進み、ビデオ通話もできる

店舗面積は51.32m2(15.52坪)と、書店としては小型だが、書店内の棚は低めのものを使用している。これは外から見た時に店内に他の客がいることが分かれば入りやすくなるとともに、店内外から見えることが防犯にもつながるという狙い。

店内の様子

ほんたす ためいけの主なターゲット層は、オフィスワーカーを中心とした駅利用者。ほんたすを展開するにあたって通行量調査も行なっており、男女比はほぼ半々であることがわかっているという。

本屋にあまり慣れていないライトユーザーも取り込みたい考えで、例えば1千ページに及ぶような本はラインアップせず、手軽に買えるような小説、自己啓発、漫画、雑誌など、約300アイテム・約4,500冊を取り揃える。また、書籍のほか、文具雑貨も取り扱う。

レイアウトは、入ったら1分でトレンドが分かる「ニュースアプリのホーム画面」のような空間を意識しており、サインは「雑誌」などのジャンルで表記せず、「はやりをしりたい」「いますぐよみたい」といった、本を手に取るまでの感情で表現する。

日販がほんたすを展開する狙いは、駅ナカや駅前の書店が減少しており、生活導線上から本とのタッチポイントが失われているという課題の解決。完全無人運営の新たな書店モデルを確立するために開発した。

ほんたすロゴ

ほんたす ためいけは期限を切らずに数年にわたって実施する実証実験という位置づけだが、今後、人件費高騰や後継者不足といった書店が抱える課題に対するソリューションの1つとして取引先に提案するための、持続可能な無人店舗モデルを目指す。

東京メトロは、駅構内の開発規模や駅の特徴にあわせて「Echika」「Echika fit」「Metro Pia」の3つのブランドで店舗開発を行なっており、溜池山王駅ではMetro Pia(メトロピア)として、ほんたすのほか、iCure鍼灸接骨院、ローソン、マツモトキヨシの4店舗を展開している。

iCure鍼灸接骨院(写真奥)はほんたすに隣接

溜池山王メトロピアでは、オフィスが多いエリアであることから、通勤途中の「いま必要なもの」の購入、仕事の疲れを癒すなどのニーズに応えるサービスを提供。ほんたすについては、オフィスワーカーが多く書籍の需要が見込めるにも関わらず、街や駅に書店が欠落していることから、そのニーズを補う狙いで出店を決定した。

通勤や移動の合間でも知識・情報を得られる空間を提供し、ビジネスに必要なクリエイティブな発想を生み出す店舗としてほんたすが加わることで、溜池山王メトロピアがより便利に、より楽しく利用できる施設になることを目指す。

出店場所は改札外で、8番出入口付近(山王パークタワー方面)。営業時間は平日7時~22時、土日祝10時~20時。

溜池山王駅構内案内。この案内図の「現在地」の左手にほんたすがある