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ミズノが本気で作った寝具に寝た スポーツ科学を睡眠ギアへ

ミズノが「MIZUNO SLEEP」を立ち上げ、睡眠市場に本格参入する。同ブランドから発売するマットレス、枕、敷パッドのメディア向け体験会が実施された。価格は、マットレスが88,000円~、枕が16,500円、敷パッドが9,900円。マットレスと敷パッドは、6月14日11時よりMakuakeにて予約受注を開始する。

MIZUNO SLEEPとして新たに開発した製品は、マットレス、枕、敷パッドで、既存製品の掛けふとんを含めて4アイテムで新ブランドをスタートする。「ミズノが本気で挑む。スポーツ発想のスリープギア」としており、高反発網状素材「リフル」を使用したマットレスと枕をキープロダクトに位置付けている。

リフルは、通気性、耐久性、耐熱性に優れ、水洗いができるという特徴を持つ、ポリエーテルエステル系繊維100%の合成繊維で、MIZUNO SLEEPのために開発された。

マットレスで使用されているリフル

体圧を体の広い範囲に分散するリフル マットレス

「リフル マットレス」は、リフルを使用した3層構造としており、上層部のフィット層は繊維を糸の形状にすることで柔らかくし、下層部のサポート層は繊維をチューブ状に成形し硬くしている。中間層はこれら両方が入っている。こういった構造にすることで、上は柔らかくフィットしながら、下の硬い層の効果でしっかり体を支えられるという。ミズノ ライフ&ヘルス事業部 課長 伊藤孝彦氏は「低反発の良さと、高反発の良さを併せ持っている」とアピールした。

ミズノ ライフ&ヘルス事業部 課長 伊藤孝彦氏

素材とともに大きな特徴となるのが、頭、肩、腰、太もも、ふくらはぎ、かかとの各部位に合わせ、6つのゾーンに分けて異なる特徴を持たせている点。これは、体の部位ごとの形や可動域を考慮してのもので、「寝返りなど睡眠中も動き続ける体をサポートする」という発想から生まれている。

具体的には、頭部は枕が安定するフラットな形状。肩は寝返り、横向きになった時に体の凹凸にフィットするようボーダー形状とし、横向きの際にはボーダーに肩が沈み込む。腰は骨に沿うアーチ形状にするとともに、重い部位のため幅を狭くしてしっかりと支えられるようにしている。太ももは部分は接地面を増やすストライプ形状。ふくらはぎは山がふくらはぎに沿うように当たる細ボーダー形状。かかとはスクエア形状とし、かかとを収める設計で安定感とフィット感があり、横向きの際はくるぶしが収まるとしている。

部位ごとに異なる形状でリフルを配置している。手前から頭、肩、腰、太もも、ふくらはぎ、かかと
各部位の形状を線で示した展示

これらの特徴により、寝返りのしやすさと、体圧分散性を実現している。体験会では東京オリンピックや世界選手権などの陸上競技に出場しているミズノトラッククラブ 飯塚翔太選手が登壇し、一般的なマットレスとリフル マットレスで体圧分散性を比較。リフルマットレスの方が体の広い範囲に圧力がかかっていて、1カ所に圧力がかかりにくいことを証明した。

飯塚翔太選手
測定している様子
上が一般的なマットレス、下がリフル マットレス。リフルの方が広い範囲に圧力が分散されているとともに、強い圧力がかかっている赤色部分が少ない

筆者も試すことができたが、腰などのどこか一部が沈み込んでしまうこともなく、体全体が支えられながらもまっすぐな姿勢を保てている印象。程よい硬さとスプリング感により、楽に寝返りを打つこともできた。

筆者が試している様子

通気性が優れている理由は、網状で空気が通りやすいため。また、耐熱性が優れていることによるメリットとして、電気毛布やふとん乾燥機を使える点を挙げた。

マットレスカバーはメッシュと中綿キルト素材のリバーシブル構造。春冬シーズンと秋冬シーズンで表裏を使い分けることで1年中快適な睡眠環境を実現するとしている。本体は3つ折り、6つ折りが可能で省スペースで収納できる。

メッシュ素材側
中綿キルト素材側

シングル(約97×196cm)、セミダブル(約117×196cm)、ダブル(約137×196cm)をラインアップ。厚みはすべて約7cm。カラーはホワイト。重さはシングルが約5.45kg、セミダブルが約6.5kg、ダブルが約7.6kg。価格はシングルが88,000円、セミダブルが99,000円、ダブルが115,500円。

通気性に優れた枕・敷パッド

枕「リフル ピロー」の特徴の1つは、マットレスと同様のリフルによる通気性と、丸洗いできる点。後頭部が当たる真ん中部分にくぼみ(スリープポケット)を設けた、仰向け時にフィット感を高める構造としている。また、反発性が高く、寝返りがしやすいことも特徴に挙げる。

マットレスとあわせて試用したところ、短時間ながら通気性と動きやすさによるものであろう、軽やかな寝心地を感じられた。リフル ピローのサイズは約65×41cm。

敷パッド「風道」は、水平方向と垂直方向の通気性を確保する構造が特徴。

水平方向の通気性は、生地表面に凹凸を施していることによるもので、体と寝装の間に隙間ができ、その隙間を風が通る仕様にしている。垂直方向の通気性は、特殊な編地構造によるもので、上に寝ても生地凹凸が潰れることなく、風の通り道を確保するという。これらの「Wの通気性」により、熱を外へ逃す空気の流れを作っている。

生地表面に凹凸を施している
凹凸があることで隙間ができる
垂直方向の通気性

また「シャリ感のある」触感を特徴とし、伊藤氏は「タタミやゴザに寝た時に似た心地良さ」と例えた。触感を実現した立体構造は特許出願中。

素材は、ミズノがアパレルで使用している独自の機能素材「ドライエアロフロー」の空隙構造メカニズムを応用し、汗処理性能を高めている。サイズはシングル(約100×205cm)のみで、重さは約620g。

ミズノではこれまでもスポーツで培った技術を、スクワットをサポートするイス、タウンユースやウォーキング用のシューズ、マスクなどの日常に使えるアイテム開発に活かしている。

睡眠領域への参入はこういったライフ&ヘルス事業の一環で、スポーツから昼間の活動である日常生活へと展開してきたカテゴリーを、睡眠時間・休息時間に拡大する。

ミズノ ライフ&ヘルス事業部 事業部長 後藤俊博氏は、「睡眠の質は日中のパフォーマンスに影響を与えるとの考えから、24時間のパフォーマンス循環を提供していきたい。一般の人にとっても、アスリートにとっても大事な睡眠を、スポーツ技術を活かして、生きる力に変えていきたいと思っている」と説明した。MIZUNO SLEEPの2025年の売上目標は10億円。

ミズノ ライフ&ヘルス事業部 事業部長 後藤俊博氏