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凸版、使い捨ての「温度ロガーラベル」。長距離輸送の温度を管理

凸版印刷は、温度を一定時間ごとに測定・記録し、無線通信でデータベースに転送できるカードサイズの「温度ロガーラベル」を開発した。6月より販売を開始する。

厳格な温度管理が必要な肉や魚、野菜などの生鮮食料品の温度管理にはこれまでも一定間隔で温度を測定する「温度ロガー機器」が使われていたが、価格は1台当たり数千円~数万円だった。全ての梱包に採用するにはコスト面で課題があり、使用後の回収なども手間になっていた。このため、国際輸送などのシーンでは、使用後に回収する必要が無い「ワンウェイ」利用の低価格温度ロガーの需要が高まっているという。

本製品は使い切り型のバッテリーを搭載し、データダウンロード用の端子や表示用ディスプレイを省いた構造としたことで既存の「温度ロガー機器」と比較して10分の1以下の価格で提供可能になった。

貼付けた荷物の表面温度の変化を任意のタイミングで自動的に記録。5m程度の長距離通信が可能な「UHF帯」と、スマートフォンに搭載される「NFC」の2種類の周波数帯に対応する。経由地や最終目的地などで、専用アプリケーションを使って読み取られた、出荷からその時点までの「ログデータ(日時と温度などの記録)」と読み取り場所などの「トレーサビリティ情報」を専用のクラウド型管理システムに転送して管理できる。

温度センサー付きICチップを搭載し、スマートフォンアプリから動作設定が可能。温度測定の間隔は最短1秒から60分ごとまで22段階から選択でき、60分毎の測定なら6カ月分の温度履歴を記録できる。温度測定の開始をタイマー設定することも可能で、冷蔵保管庫内での作業が短縮される。本体サイズは85.5×54×約1mm(幅×高さ×厚さ)。

2021年10月から2022年3月にかけて実施された「日本酒輸送実証実験」(令和2年度農林水産省実証実験)では、「日本酒コールドチェーンコンソーシアム」によって、日本国内の酒造メーカーから中国国内の保冷倉庫まで梱包箱の表面温度を30分ごとに測定し、記録するツールとして採用された。

今後は、凸版印刷がすでに開発しているID認証プラットフォームを組み合わせ、輸送中の温度管理だけでなく、商品の真贋判定やトレーサビリティ、顧客接点の強化など、サプライチェーン全体を最適化する包括的なサービスを実現。ソフトウェアやシステムを含めた温度管理ソリューション関連事業で、2023年度に5億円の売上を目指す。