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発火したリチウムイオン電池をフィルムで「消火」。凸版印刷

凸版印刷は、発火したリチウムイオン電池を消火する機能をもつ「消火フィルム」を開発した。電池・電機メーカー向けに2月より販売する。

発火の熱により消火フィルムから消化剤エアロゾルが放出され、化学反応によって燃焼を食い止める。消化フィルムが無いリチウムイオン電池は、電解液がある限り延焼を続けるが、消火フィルムを貼り付けておくことで即座に消化できる。

ヤマトプロテックが開発した消火剤を、凸版印刷の塗工技術と透明バリアフィルム「GL BARRIER」で密閉。高耐久力で粘着性のあるフィルムとして開発した。

リチウムイオン二次電池のケース内や、配電盤・分電盤設備の内部に貼ることで、電池内の不具合や配電盤の配線ショートにより発火した時の初期消火や、延焼抑制に効果を発揮する。軽量でコンパクトなため、密閉空間で発火リスクのある箇所に貼って利用可能。人体や環境に悪影響のある物質を使用していないため、有害なガスも発生しない。

リチウムイオン電池に火災が発生すると、燃焼ラジカルによる連鎖反応に対し、熱に反応した消火フィルムがカリウムラジカルを含むエアロゾルを噴出。燃焼ラジカルとカリウムラジカルが結合することによる負触媒作用によって安定化し、燃焼の連鎖反応が停止。消火される。密閉空間をエアロゾルで満たすことで高い消化能力を発揮する。

2月24日から26日まで開催される「TOKYO PACK 2021-東京国際包装展-」(会場:東京ビッグサイト)の凸版印刷ブース(南1ホール・小間番号S1-12)に出展予定。

凸版印刷では今後、電池・電機メーカーなどに拡販し、2021年度までに関連事業含め約20億円の売上を目指す。また、今回開発した技術をもとに防災に関連する製品開発も行なっていく。