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10月に免税手続き完全電子化。日本市場に参入するPie Systems

免税ソリューションを提供するFintech企業「Pie Systems」は、日本におけるサービスを開始する。同社はデンマークや欧州で免税ソリューションを展開しているが、アジアでのサービス開始は初となる。

コロナ禍により、海外からの観光客がほぼ見込めない状況であるが、今後、ワクチン接種の拡大によって将来的なインバウンド回復が予想される。また、免税販売手続きの電子化により、書面による購入記録帳票作成などの手続きが廃止され、免税ソリューション提供企業のニーズが高まることが予想される。そのためPie Systemsは日本市場参入を決定した。

日本国内においては。2021年10月から免税手続きの電子化への完全移行が予定されている。かつては紙ベースでのパスポートや商品の情報を記入し、国税庁に提出する仕組みを使っており、その後一部電子化が行なわれてきたが、10月からは「完全電子化」に移行する。

大規模事業者であれば完全電子化に対応も可能だが、中小規模事業者には難しい。そのため、Pie Systemsは承認送信事業者として、手続きを代行。免税手続き用のシステム「PieVAT」を提供する。

紙ベースでの手続きは、パスポートを店員に渡し、必要事項説明や購入者誓約書への署名、出国時の書類提出などが必要となり、観光客側も店舗側も手間が多く、約10~15分の時間がかかっていた。

従来の紙ベースの手続き

PieVATではパスポートを見せるだけで、店舗側は通常のレジ処理を行ない、PieVATでQRか6桁コードを発行。そのコードをアプリでユーザーが読み取り、アプリでレシートをアップロードするだけで、送信を完了できる。1~2分で完全非接触で免税販売手続きを完了できるという。

PieVAT

加えて、PieVATのアプリでは、中国語、韓国語、タイ語、英語、ロシア語に対応しており、日本語が話せなくてもアプリの支持に従うだけで手続きが行なえる。

また、訪日観光客のプロファイル情報や購入履歴などを活用した販売促進ツールも提供。店舗側が近くにきた人に店の情報やクーポンなどを提供できるほか、モバイルオーダー、ピックアップなどの機能も提供。また、観光客が帰国後も、情報提供などが行なえるという。

Pie Systems Japanの水野 博商CEOは、現在日本の免税店は5.5万店舗だが、潜在的には約97万店舗の需要があるとし、日本での展開を強化していく。

店舗側の初期費用、月額利用料は0円。ビジネスモデルとしては、店舗からではなく、ユーザーから徴収する形となる。訪日観光客が免税店で手続きした際に、消費税相当額などをPieVATアプリに払い戻す。その際に一部手数料を徴収する。