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緊急事態宣言、5月31日まで延長。商業施設の休業は緩和

会見する菅総理(首相官邸ホームページから)

政府は7日、4都府県に発出している緊急事態宣言の5月31日までの延長を決定。また、12日から愛知、福岡の両県を加える。これで、緊急事態宣言の対象は東京、愛知、大阪、京都、兵庫、福岡の6都府県となる。

当初は、4月25日から5月11日までを緊急事態宣言の期間としていたが、感染状況の改善が進まず、期間を延長。また、緊急事態宣言に準ずる措置をとる「まんえん防止等重点措置」に北海道と岐阜、三重を9日から追加。宮城県は12日から措置対象から外す。埼玉、千葉、神奈川と、愛媛、沖縄の重点措置は、5月31日まで延長する。

5月11日までの当初期間と、12日以降で変わるのが「休業要請」の範囲と、大規模イベントやスポーツの緩和。

宣言地域では、デパート、テーマパークに加え、1,000m2以上の商業施設や遊興施設などへの休業要請を緩和し、20時までの営業を認める。なお東京都は、商業施設の休業要請を継続するなど、自治体によって国と違う対策を取る場合もある。

また、スポーツやイベントについては、無観客開催を要請していたが、参加者5,000人もしくは定員の50%の少ない方までとし、21時までの開催が認められる。

飲食店の午後8時までの時短営業と酒類提供終日停止は継続する。

菅総理会見全文

先ほど新型コロナ対策本部を開催し、緊急事態宣言の対象地域に愛知県、福岡県を追加するとともに、5月31日まで延長することを決定いたしました。また、まん延防止等重点措置について、北海道、岐阜県、三重県を追加し5月31日まで延長すること、また、宮城県については5月11日に終了することを決定いたしました。

今回、ゴールデンウィークという大型連休に合わせ、国民の皆様に短期集中の措置をお願いしました。家族での旅行や帰省、友人同士の買い物や行楽などの外出が一斉に増える大型連休という特別の時期には、人流を抑える強い措置が必要と考え、幅広い要請を行いました。皆様の御協力によって、東京や大阪の人流は、4月初めと比較し、夜間は6~7割、昼間は4~5割程度減少しております。

しかしながら、新規感染者数は東京、大阪共にステージ4を大きく超える水準にあり、それぞれの圏域の中心である愛知や福岡においてもステージ4を超えております。大阪では病床のひっ迫状況を改善するために一定の期間を要すると考えられます。感染力が強いとされる変異株も拡大を続けています。このため、今般、緊急事態宣言を延長し、ウイルスに対する強い警戒を維持し、改めて対策が必要である。そのように判断いたしました。

これまで、外出を控えるなど御協力いただいた国民の皆様、休業要請などに応じていただいた事業者の皆さん、医療、介護の現場で懸命の御尽力を頂いております関係者の皆様に心から感謝を申し上げます。また、今回の延長により、引き続き御負担をおかけします皆様に深くおわびを申し上げます。

この1年、新型コロナの感染が拡大する中で、実に多くの業種の方々に影響が生じております。飲食業を始め、観光業、商業施設、イベントや演劇、スポーツなどの業種において特に大きな影響となっております。そうした中でも、これらの業種の方々が御努力と工夫を重ね、効果的な感染対策を進めてきていただいたことに、重ねて御礼を申し上げます。

大型連休という一つの山を越えた今後は、通常の時期に合わせた、高い効果の見込まれる措置を徹底して対策を講じてまいります。

飲食やお酒を伴う機会の感染リスクを減らすことは、かねてより専門家から極めて効果が高いと指摘されております。飲食店におけるお酒やカラオケの提供の停止を続けるとともに、新たにお酒の持込みを制限することを対策に加えさせていただきます。飲食店以外でのお酒が感染につながることのないよう、十分な注意をお願いいたします。

今後も夜の人流を抑えることは重要です。デパートなどの大規模施設は20時まで、スポーツや音楽などのイベントは21時までの、それぞれの時間短縮をお願いいたします。
職場での感染も増えています。これまで以上にテレワークを徹底し、出勤者の7割減を目指してまいります。

まん延防止等重点措置の地域では、飲食店の時間短縮や見回り、高齢者施設の検査などの集中的な対策により、感染を抑え込んでまいります。

全国で重症者、死亡者数も急速な増加が続いており、東京や大阪では重症者に占める20代から50代の若年層の割合が高くなっております。若い世代での感染を抑制することで、リスクの高い高齢者への波及を防ぐことが重要です。一人一人が意識を持って行動し、マスク、手洗い、3密の回避という基本的な予防策を徹底するよう、改めてお願い申し上げます。

長引く感染対策の決め手となるのがワクチンです。昨年来、世界の国々では、いわゆるロックダウンを含めた強力な対策が講じられてきましたが、ワクチン接種が進むことで大幅な感染者数の減少がもたらされ、結果的には、かつての日常の活動を再開する国も出てきております。英国では、国民の約半数に1回接種を行ったところですが、一時、1日6万人を超えていた新規感染者数が約2,000人まで減少しております。

私たちが安心した日常を取り戻すことができるかどうか。それは、いかに多くの方にワクチン接種ができるかどうかに懸かっている、こう言っても過言ではありません。私自身が先頭に立って、ワクチン接種の加速化を実行に移します。

来週より、順次、全国の自治体で本格的な接種が始まります。この24日からは、東京、大阪の大規模接種センターでも始まります。その後、1日100万回の接種を目標とし、7月末を念頭に、希望する全ての高齢者に2回の接種を終わらせるよう、政府としてはあらゆる手段を尽くし、自治体をサポートしてまいります。

そのために必要なのは、確実なワクチンの供給とスタッフの確保です。既に全国の市町村に対し、来月末までの供給量を示しており、月初めまでに約4,000万回分をお届けいたします。医師、看護師などの確保についても、個別の市町村の状況に応じて、しっかりと対応していきます。先日、日本医師会の中川会長、また、福井日本看護協会会長にお会いし、直接協力要請を行うとともに、休日・夜間の体制拡充への支援を決定いたしました。また、医療機関に勤務している医師や看護師の方々が兼業して接種を手伝うこと、さらに歯科医師の協力を得ることも進めてまいります。

先日、訪米の際に私がファイザー社のCEOと協議した結果、新たに9月末までに5,000万回分のワクチンが追加されることとなりました。さらに来年分として、モデルナ社やノババックス社と合計2億回分の供給を受けることを前提に協議を進めております。そうした中で、来月中をめどに高齢者の接種の見通しがついた市町村から、基礎疾患がある方々を含めて、広く一般の方々にも接種を開始したい。このように考えております。

また、ファイザー社との協議においては、東京大会に参加する各国の選手団に対し、ワクチンを無償で供与したいという申出がありました。IOC(国際オリンピック委員会)と協議の結果、各国選手への供与が実現し、安全・安心の大会に大きく貢献することになると思います。

また、皆さんの御地元では接種の予約などで御不便が生じていると伺っています。自治体の業務が円滑に進むよう、政府としても必要な支援を行ってまいります。

感染の急拡大の要因とされる変異株について、国内の監視体制を強化し、新たな変異にも常に警戒を行ってまいります。インドにおいて感染者が急速に増大し、新たな変異株も確認されております。当分の間、インド、パキスタン及びネパールからの入国者に3回の検査と入国後6日間のホテルでの待機を求め、水際対策を強化してまいります。

感染が続く中、深刻な影響を受けている事業者、個人の方々への支援は、引き続きしっかり行ってまいります。資金繰りの支援、雇用調整助成金による人件費の支援、事業規模に応じた飲食店の協力金、緊急小口資金などによる暮らしの支援、こうした支援を必要な方々に届けてまいりたいと思います。大規模施設などには、事業規模に応じた協力金で支援してまいります。ウイルスとの闘いは一進一退が続いています。

また緊急事態宣言の延長かと失望される方も多いかと思います。しかし、私たちは必ず近い将来、この局面を乗り越えていきます。国民の皆さんに安心できる日々を取り戻していただくために、ワクチン接種の加速化を実行すること、そして、それまでの間に感染拡大を何としても食い止めること、この2つの作戦に、私自身、先頭に立って取り組んでまいります。政府はもとより、医療、介護従事者、地方自治体を始め、関係する皆さんの力を結集し、一日も早く安心を取り戻すために全力を尽くしてまいります。国民の皆さんの御理解と御協力を心からお願い申し上げます。