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緊急事態宣言、東京・大阪など9都道府県で解除

政府は17日、北海道、東京都、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、岡山県、広島県、福岡県の9都道府県に出している緊急事態宣言を6月20日を持って解除する。ただし、感染状況が厳しい沖縄県は7月11日まで延長する。

また、緊急事態を解除する北海道、東京都、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、福岡県の7都道府県は、21日以降はまん延防止等重点措置(重点措置)の対象となり、飲食店の20時までの時短営業などを継続。ただし、緊急事態期間中は停止されていた酒類提供は、19時までは可能になる。埼玉県、千葉県、神奈川県の3県の重点措置も7月11日まで継続する。

飲食店の酒類提供については、都道府県の判断により停止となる場合もある。

スポーツイベントは、重点措置地域では、5,000人もしくは定員の50%の少ない方まで、という従来の方針を継続。重点措置の解除後1カ月程度は、1万人を上限とする経過措置を設ける。

菅総理は、「全国の感染者数は5月下旬以降減少し、ステージ4を全国で下回ってきている。病床の状況も確実に改善してきている」とし、緊急事態宣言の解除について言及。一方で、感染者減少スピードが下げ止まっており、変異株によって感染のスピードが早くなると危惧されていることから、「何より警戒するのはリバウンドを起こさないこと。感染者数の上昇をできるだけ抑えるとともに、ワクチンを一日も早く行ない、医療崩壊を起こさないことが重要」と語った。

また、再拡大で医療の逼迫が見られた場合は、酒類の一律停止や、イベントの制限なども機動的に対処する方針。菅総理は「マスク、手洗い、三密回避など、基本的な感染対策を徹底し、会話の際にはマスクを着用を」と呼びかけた。

【菅総理冒頭発言】

先ほど新型コロナ対策本部を開催し、北海道、東京都、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、岡山県、広島県、福岡県について、6月20日をもって緊急事態宣言を解除することとし、沖縄県については、7月11日まで延長することを決定いたしました。あわせて、まん延防止等重点措置について、北海道、東京都、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、福岡県を新たに対象とし、期間は7月11日までとすること、埼玉県、千葉県、神奈川県については、7月11日まで延長すること、岐阜県、三重県については、6月20日をもって終了することを決定いたしました。

全国の感染者数は、5月中旬以降、減少が続いています。ほとんどの都道府県において新規感染者数はステージ4を下回っています。全国の重症者数も減少が続き、病床の状況も確実に改善されてきております。しかしながら、地域によっては感染者数に下げ止まりが見られるほか、変異株により感染の拡大が従来よりも速いスピードで進む可能性が指摘されております。

こうした状況の下に、今後何よりも警戒すべきことは、大きなリバウンドを起こさないことです。大事なことは、緊張感を持って対策を継続し、感染者数の上昇をできるだけ抑えることであり、同時に、一日も早く希望する方へのワクチン接種を進め、医療崩壊を起こさないことです。

このため、東京、大阪など7つの都道府県については、3週間のまん延防止等重点措置を実施し、依然として感染者数がステージ4を上回る沖縄県については、緊急事態宣言を延長することといたします。

多くの皆様に引き続き制限をお願いすることは大変心苦しい限りですが、安心できる日常を取り戻すため、御理解と御協力を心からお願い申し上げます。

今回、緊急事態宣言を延長した地域では、これまでの対策を継続します。重点措置の地域でも、引き続き飲食を中心とした対策を講じることとし、飲食店の20時までの時間短縮をお願いいたします。酒類についてでありますが、感染防止策の徹底などの要件を満たす店舗では、19時まで提供できることとします。ただしその上で、都道府県の判断により、感染状況に応じ、酒類の停止を要請することも可能とし、飲食の制限が長引く中にあっても、実効的な対策を進めてまいります。

また、スポーツなどのイベントの人数制限については、重点措置の期間は、これまでと同様に5,000人の上限を設けた上で、その後、一月間についても厳しい制限をお願いすることとし、1万人を上限とする経過措置を設けることとします。

今後とも高い警戒感を持って対策を続けてまいります。再拡大により医療のひっ迫の兆しが見られた場合には、酒類提供の一律停止や、より厳格なイベントの開催制限など、対策の強化も含め、機動的に対処いたします。

皆様には、マスク、手洗い、3密の回避という基本的な感染対策を徹底すること。取り分け、会話の際にはマスクを着用するという感染防止への御協力を、心からお願い申し上げます。

ワクチンの接種は、この1週間で合計730万回、1日平均100万回を超えるペースで増加しています。累計の接種回数は2,700万回を超え、1度でも接種した人の数は2,000万人を超えました。自治体や医療関係者などの御協力に、心から感謝いたします。

今回のG7で首脳たちと様々なことを語り合いました。新型コロナについては、いずれの首脳たちも経済との両立などに思い悩みながら、試行錯誤を繰り返し、結局はワクチンの接種が進むことで状況は大きく改善したとのことでした。

今月末には4,000万回を超える見込みであり、全ての市町村で、7月末には希望する高齢者への2回の接種が完了する見込みとの報告を受けております。これにより、高齢者を中心とした重症者の発生が大幅に減り、医療への負荷も大きく軽減されることが期待されます。

企業や大学での接種も21日から本格的に始まる予定であります。既に新規感染者に占める高齢者や医療従事者の割合が低下しているとの指摘もあります。昨日の東京の新規感染者数は501人でした。そのうち65歳以上の感染者は33人に対し、20代、30代は240人と半分近くを占めております。若い世代での感染拡大に留意が必要だという指摘もあり、今後、若い方々も含め、希望する全ての対象者への接種に、政府を挙げて取り組んでまいります。

昨日、通常国会が閉会いたしました。この国会は、緊急事態宣言のさなかに始まり、新型コロナと闘い続けてきた150日間でした。

与野党の方々の御協力を得て、新型コロナの特措法を早期に成立させていただき、実効性が伴う感染対策を機動的に行うことが可能となりました。事業と雇用を守り、困難にある方々を支えるための第3次補正予算も成立しました。飲食店の協力金については手元に届くのが遅いとの多くの声を伺っており、政府としても自治体と緊密に連携し、速やかな支給をできるよう進めてまいります。こうした感染症への対応を最優先としながら、長年の課題に答えを出すべく、この国会においても様々な改革を実現してまいりました。

9月1日にはデジタル庁が始動いたします。行政の縦割りを打破し、大胆な規制改革を断行することで、地方にいても都会と同じサービスを受けられる社会を実現します。男性の育児休業の取得促進や、40年ぶりの大改革である35人学級が実現しました。不妊治療は助成額を大幅に拡充した上で、この1月からスタートさせました。来年4月には保険適用します。若者の負担上昇を抑え、一定以上の所得がある高齢者には、2割の負担をしていただくための健康保険法の改正が成立しました。全ての世代が安心できる社会保障制度に向けた大きな一歩であり、今後も改革を進めてまいります。また、長年の懸案でありました重要土地等調査法や国民投票法も成立しました。数多くの法案や予算の成立に向け御協力いただいた皆様に、心から感謝申し上げます。

外交面においては、新型コロナ、気候変動、経済回復、そして権威主義との競争など、国際社会が様々な課題に直面する中で、世界の結束を促し、ポストコロナの国際秩序づくりをリードしてまいります。インド太平洋について、我が国が先頭に立って「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた取組を戦略的に進めてまいりました。史上初となる3月の日米豪印首脳会議の開催に続き、4月にはバイデン政権発足後初の外国首脳として訪米し、日米同盟の固い絆(きずな)を国際社会に力強く示すことができました。今回の英国でのG7においても、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を共有するチームの一員として温かく迎え入れていただき、率直な意見交換を通じてリーダー同士の結束を確認できました。そして、その成果をしっかりと首脳宣言に反映できました。

東京オリンピック・パラリンピックについては、G7としての開催への支持が表明され、首脳宣言にも明記されました。世界のおよそ40億人がテレビなどを通じて大会を観戦すると言われています。東日本大震災から復興を遂げた姿を世界に発信し、子供たちに夢や感動を伝える機会になります。57年前の東京大会では、パラリンピックの名称が初めて使われ、障害者の方々が社会で活躍していこうという契機になったと思います。再びこの東京の地で、頑張ることによって壁を乗り越える、そのことができることの大切さや、障害のある方もない方も、お年寄りも若者も、みんなが助け合って共に生きるという共生社会の実現に向けた、心のバリアフリー精神を、しっかりと大会を通じて伝えたいと思います。人類が新型コロナという大きな困難に直面する今だからこそ、世界が団結し、人々の努力と英知でこの難局を乗り越えていくことを日本から世界に発信したいと考えています。そのためには、東京大会は安全・安心に開催すること、そして大会期間中、日本国内の感染拡大を抑え、大会終了後の感染拡大防止にもつなげていくことが不可欠であると考えています。皆様には、家でのテレビ観戦などを通じ、アスリートを応援していただきたいと思います。

明日には、私の内閣になって初めての骨太方針を決定いたします。ポストコロナにふさわしい、安心できる社会と強い経済を早急につくり上げていきます。国が主導して、病床や医療人材を迅速に確保し、治療薬やワクチンを早期に実用化するための法的措置を速やかに講じ、感染症によって揺らぐことのない強靱(きょうじん)な体制を整えます。グリーン、デジタル、活力ある地方づくり、少子化対策、この4つを成長の原動力として、スピード感を持って改革を進めてまいります。

尖閣(せんかく)諸島周辺を始め、日本の空と海は世界の中でも最も緊迫しており、過去の例にない状況にあります。必要な警備力、防衛力を強化し、我が国の領土、領海、領空を守り抜いていきます。

私は、この国会の冒頭、国民の皆さんの安心を取り戻し、希望を実現すると申し上げました。感染防止とワクチン接種の2正面作戦に全力を挙げ、一日も早い安心の日常を取り戻します。

そして、長年の課題に答えを出し、ポストコロナの強い経済をつくり上げていくことで、希望をお届けいたします。これが、国民のために働く内閣の使命であり、誠心誠意取り組んでまいります。皆様の御理解と御協力をお願い申し上げます。