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3度目の「緊急事態宣言」。商業施設休業や酒類提供禁止など厳しく

3度目の「緊急事態宣言」が発出されました。対象は、東京都、京都府、大阪府、兵庫県で、期限は4月25日から5月11日までの17日間。対象となる都府県では飲食店の営業が午後8時までに制限されるだけでなく、酒類の提供を終日停止。さらに、百貨店や大型商業施設、映画館などには休業要請を行なうなど、1月の緊急事態宣言よりも強い制限をかけるものとなっています。

緊急事態宣言(4月25日発出)の概要

・飲食店は、午後8時までの時短営業。酒類提供は終日停止
・大型商業施設など休業要請(生活必需品売り場を除く)
・イベントやスポーツの開催を制限。原則無観客
・日中も含めた不要不急の外出・移動の自粛要請

昨年4月と今年1月にも続き、3度目となる緊急事態宣言。2回目の宣言が「飲食店」を中心としたものでしたが、今回は飲食店の対応を強化しながら、さらに商業施設や映画館などの“人が集まる場所”の休業など、より強い措置を取り、「人の流れ(人流)を抑制する」ことが大きな違いとなります。

緊急事態宣言、飲食時短や外出自粛など暮らしへの影響。前回との違いは?

また、緊急事態宣言は東京都、京都府、大阪府、兵庫県の4都府県ですが、東京に隣接する、埼玉県神奈川県千葉県でも「まん延防止等重点措置等」の協力が出ている地域については、同様の要望が行なわれています。つまり、重点措置地域については、緊急事態宣言の都府県と同様に、酒類提供の終日停止や、大規模施設・劇場の営業自粛が求められています。

3回目の緊急事態宣言下での制限などについてまとめました。

緊急事態宣言の概要

飲食店についての制限は、今回の対象地域はいずれも「まん延防止等重点措置」の適用地域で、25日以前も多くの場所で、酒類を提供する飲食店の営業時間は午後8時まで、酒類の提供は午後7時までとなっていました。加えて、25日以降は、酒類の提供が終日禁止されました。「お酒を伴う飲食の機会は、大声、長時間となり、感染リスクが高い」ということから、感染拡大局面で、さらに制限を強化します。

なお、テイクアウトやデリバリーは、時短要請の対象外となります。

さらに今回の緊急事態宣言では、商業施設や劇場などが、休業要請の対象になります。デパート、テーマパークに加え、1,000m2以上の商業施設や遊興施設などに「休業要請」が行なわれます。

つまり、対象地域のデパートやテーマパーク、映画館などは休業となります。別段クラスターなどが報告されているわけでもないですが、これら商業施設等への休業要請は、「人と人の接触の機会をできるだけ避けるための環境づくり」(政府分科会の尾身茂会長)とされています。つまり、大規模な施設が開いていると、人の交流が生まれてしまうため、ゴールデンウィーク期間中の人の流れを止めるための休業要請となります。

写真はイメージです

テーマーパークでは、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)などが期間中の休業を発表しています。

デパートや大型スーパーも、三越伊勢丹ホールディングス高島屋などが食品など一部サービス関連を除き休業となります。イオンモールも、東京都、大阪府、兵庫県、京都府の合計28施設の専門店で、期間中は、生活必需品以外の売場を休業しています

映画館についても、多くのシネコンが臨時休業を発表しています。なお、一部のミニシアターなどでは、感染対策強化の上、上映する場所もあります。

TOHOシネマズやイオンシネマなど、4都府県の映画館が営業休止

家電量販店でも、臨時休業や一部フロアの閉鎖して営業しています。

ビックカメラなど家電量販、緊急事態宣言で臨時休業など発表

イベントやスポーツも原則無観客を発表しており、サッカー(Jリーグ)、野球(NPB)などのプロリーグも要請に応じています。

企業にはテレワークへの協力を要請し、出勤者の7割削減が目標となります。また、ゴールデンウィークが緊急事態宣言期間となるため、長めの休暇取得なども呼びかけています。

また、鉄道、バス等の交通事業者に対して、平日の終電繰上げや。週末休日における減便等の協力も要請されています。

学校の臨時休業などは行ないません。ただし、オンラインの活用のほか、部活動の自粛などを呼びかけられています。

緊急事態宣言解除の条件は?

緊急事態宣言の期限は、5月11日まで。感染拡大の抑制が確認できたら、解除となりますが、解除の基準は、厚生労働省が定める感染状況を示す4つの段階で、「ステージ3」相当と判断される必要があります。

ステージの説明(出典:内閣官房)

ステージとは、厚生労働省が定める感染状況を示す4つの段階で、ステージ1が「散発的」ステージ2が「漸増」、ステージ3が「急増」、ステージ4が「爆発的」となります。ステージは、病床の逼迫具合、療養者数、陽性率、新規報告数、直近一週間との比較などで決められますが、緊急事態宣言が発出の対象地域は、いずれもステージ4。これをステージ3レベルまで落とすことが、最低ラインとなります。

政府分科会の尾身会長は「最低、ステージ3に入ることと、それからステージ2への安定的な下方」が緊急事態宣言解除の条件としています。

ステージ4の基準は、新規報告数が25人/10万人/週、病床逼迫は最大確保数の1/2など。ステージ3は、同15人/10万人/週、最大確保数の1/5などとなります。東京で言えば、新規報告数が500人以下でステージ3で、そこから更に下げる必要があります。

大阪では、4月22日時点の人口10万人あたりの陽性者数が89.35人とステージ4(25人)の基準に対して高く、病床使用率(4月20日)も82.3%です(ステージ4は50%、ステージ3は20%)。新規報告数だけでなく、病床逼迫具合も重視されるため、解除のハードルは高くなっています。

厚労省 都道府県の医療提供体制等の状況(4月23日)より