ニュース

獣害対策「リモワーナ」。罠を遠隔でリアルタイム監視

凸版印刷は、次世代LPWA(低消費電力広域ネットワーク)規格ZETAを活用した、罠センサーおよび罠のリアルタイム監視システムを開発。獣害対策支援サービス「リモワーナ」として4月1日より販売開始する。罠センサー1台あたり月額550円から。

開発の背景にあるのは、全国で問題となっている野生の鳥獣による農作物被害や人間の居住地域への出没被害。農作物被害は全国で年間約158億円にのぼるという。また、有害鳥獣対策を担う地元狩猟者の高齢化が進んでいることから、設置した罠の見回り作業の負荷も課題に挙げる。

このような中で凸版印刷は、遠隔地にいながら罠の状況をセンシングできるリモワーナによる、獣害対策への貢献を目指す。

リモワーナでは、ZETAの特長である中継器によるマルチホップ(メッシュアクセス)を活用。イノシシや鹿が生息する山間部など電波が届きにくい場所に対しても、中継器の活用で安定的に通信できるという。

サービスイメージ

また、「くくり罠」や「はこ罠」など既存の罠にセンサーの後付けが可能。罠センサーにはGPS機能が備わっており、PCやスマートフォンから、設置した罠の位置情報や罠センサーの作動状況を閲覧できる。自治体職員や狩猟者など複数メンバーでの情報共有も可能で、効率的に有害獣対策ができるとしている。

センサーを付けた罠

価格は罠のリアルタイム監視システム利用料として、罠センサー1台あたり月額550円から。ただし、罠センサーの数などによって価格は変動するほか、罠センサーなどの各種デバイス代は別途見積もり。

凸版印刷は、リモワーナを含むZETA関連事業で、2025年度までに約50億円の売上げを目指す。また、リモワーナの活用により、スマートシティ実現に向けた社会課題の解決を推進する。

なお、リモワーナ販売開始に先立ち、ZETAを活用した遠隔獣害対策の実証実験を2020年11月17日より福島県大熊町で実施。実証ではZETAを活用した罠センサー・罠の遠隔リアルタイム監視システムを、ALSOK福島が提供する罠の設置・見廻り・有害鳥獣の捕獲業務までをワンストップで受託する鳥獣被害対策事業に取り入れ、罠の見廻りから捕獲作業における効率化の有用性を検証している。