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freee上場。「クラウド会計は拡大する」

freeeは12月17日、東証マザーズ市場に上場した。

佐々木大輔CEOが今後の戦略について説明し、将来的なビジョンとしてクラウド会計ソフト freeeを「アイデアやスキルがあれば誰でもビジネスを強くスマートにできるプラットフォーム」にすること目指すとし、そのための3段階の戦略を述べた。

1段階目が、現在の会計ソフト人事労務ソフトによる社内の業務効率化。2段階目を社外との取引の効率化。3段階目は、freeeのデータを活用したサービスを今後展開し、経営の課題を業務アプリケーションで解決するとしている。

提供中の、経理や給与計算等の自動化が1段階目。アプリストアや会計事務所とのやりとりなどをアプリ上で行なえることが2段階目。銀行に融資を受ける際に、freeeのデータから受けられる融資の目安を提示する「資金繰り改善ナビ」が3段階目のサービスの1つとしている。今後はこれらを発展させ、経営の可視化だけではなく、freeeに蓄積されたデータを活用した経営課題の解決などにより、「本業さえ取り組んでいれば誰でもビジネスを成長させられるプラットフォーム」を目指す。

freeeは、サブスクリプション型のサービスのため、解約を防ぐため、常にサービスの改善しつづけることがビジネスの肝という。ユーザーがどのようにfreeeを活用しているかを徹底的にモニタリングし、手作業の削減に注力し、サービスを開発。結果、手作業の割合が減ると共に、ユーザーの満足度上昇と、口コミによるユーザー獲得に繋がるとしている。

なお、プランの価格や内容の改定においても、モニタリング等による判断の結果、実施を決定したという。

クラウド会計ソフト市場は、さらなる成長が見込めるとしている。労働人口の減少、最低賃金の上昇、働き方改革により残業ができないといった環境により、業務の自動化が求められていることや、副業の増加などにより、会計ソフトへの需要は高まっている。

今後の税制改正での適格請求書等保存方式(インボイス制度)などにより、請求書等のフォーマットの変更や、保存方法の変更、消費税の計算方法の変更などが実施される。一方で電子化すれば紙での保存が不要になるなど、政府側による会計ソフト等のクラウド化の支援があることから、数多くの追い風が吹いているとした。

現在、国内の企業の約半数が会計ソフトを利用しているのに対し、クラウド会計ソフトはそのうちの14.5%に過ぎない。一方で、設立1年以内の企業に限定すると、約半数以上がクラウド会計ソフトを導入。こういった状況から、国内クラウド会計ソフトには今後拡大の余地があるとしている。

上場の際に国内だけでなく、海外からも売り出し等を行なうグローバルIPOを行なった理由は、北米を中心にSaaS業界に関心のある投資家が多く、ディスカッションを重ねる中で、良いパートナーシップ関係を築けるという判断したためとしている。なお、調達した資金はサービスの改善等に投資し、当面は安定した軌道に乗せることを第一に考えているとした。