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乗って走れる「電動スーツケース」は違法? 空港で利用禁止広がる【Watch+】
2026年1月9日 09:00
乗って移動ができる「電動スーツケース」。旅行の荷物を入れながら、広い空港でも乗って移動ができる便利さから、主に外国人旅行者に人気です。日本でも販売はされているものの、まだそれほど普及はしていない状況ですが、ここに来て国内の空港では使用禁止の動きが広がっています。
実はこの電動スーツケース、モーターで自走することから、国内での扱いはあくまで「原付」になります。電動スーツケースには他にも種類があり、自動追尾タイプやリモコン操作タイプなどもありますが、これらは自走機能がありますので等しく「原付」です。なお、押して移動する際にアシストしてくれる電動アシストタイプのスーツケースは自走しないため、この限りではありません。
公道を走行するにはナンバープレートやサイドミラーなど、原付に要求される一通りの保安装置が必要で、型式認定の取得も必要になります。運転免許やヘルメットも必要です。しかし、現時点でそのような電動スーツケースは存在しません。いわば、法整備前の電動キックボードのような状況です。
このため電動スーツケースは公道走行不可で、私有地内や、許可された施設のみで走行が可能、ということになります。実際に2024年に電動スーツケースで公道走行をしていた人が摘発された事例もあります。
走行できるのは私有地や許可された施設内だけですが、これまでは空港内では明確に禁止されていないことも多かったことから、乗車して空港内を移動する旅行者も存在しました。また、観光地の公道で電動スーツケースに乗って移動する旅行者もみられ、ルールの周知が追いついていない状況です。
しかし、外国人旅行者による電動スーツケース利用の増加に伴い、歩行者への衝突などの危険性があることから、最近になって空港運営会社が禁止の方針を表明しています。
例えば、羽田空港では「他のお客さまとの接触事故を防止するため、羽田空港ターミナル内における電動スーツケースによる走行はご遠慮いただきますようお願い申し上げます。」と告知を出していて、やんわりとした表現ながら、事実上禁止とされています。
成田空港や福岡空港も羽田空港と同様の表現の告知をしていますが、関西国際空港や中部国際空港では明確に「乗って移動は禁止」と表明。新千歳空港でも1月1日付けで電動スーツケースに乗っての移動を禁止しました。地方空港においても同様の動きが広がっています。
このように、国内空港では電動スーツケースによる移動は禁止という流れが主流で、電動スーツケースは実質的に走行可能な場所がほとんどないということになります。現在は法整備が追いつかず、施設毎に個別の対応がされていますが、いずれは電動キックボードのように法整備が必要でしょう。
現状の電動スーツケースには保安装置がないのも勿論ですが、時速10km程度の速度が出るにもかかわらず、車輪は非常に小さく、乗物としてはリスクが高いです。ただ、機内持ち込みについては、バッテリーを取り外し可能で160Wh以下の容量なら問題無く機内持ち込みはできます。バッテリーごとスーツケースを預けることはできません。つまり持ち込み自体は禁止されていませんので、利用が禁止されていない海外に持ち込んで利用することは可能です。
筆者個人としては、広い空港内で自走するスーツケースは便利だろうなとは思うのですが、現状、人で混雑する中を無秩序に電動スーツケースが走行するリスクは理解できます。法整備が追いついていないことから、当面は禁止する以外に方法はないでしょう。
しかし、公道走行はできないまでも、例えば空港内に電動スーツケース用のレーンを設ける、最大速度を制限するなど、正しく扱えるよう法整備とインフラ整備が行なえるのなら、快適に利用できる乗物になり得るのではないかとも思います。空港内で自動運転化されて、搭乗ゲート前まで移動してくれる、などができれば素晴らしいのですが……。今後の動向に注視したいところです。
