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好調「Olive」は本当に使われるサービスを目指す スーパーでの還元は?【Watch+】
2025年7月19日 09:00
三井住友銀行や三井住友カードなど、SMBCグループの金融サービス「Olive」が好調です。23年3月のサービス開始から約2年で、口座数は600万口座を超え、ユーザーも20代~30代が多く、メガバンクのデジタルサービスとしては異例のヒットと言えそうです。
Olive自体は店舗(銀行支店)に依存しないデジタルサービスですが、「Olive Lounge」のようなリアル店舗提案にも積極的で、銀行・金融サービスのトレンドをリードしている印象です。加えて、銀行・証券などの金融サービスだけでなく、旅行やヘルスケア、ふるさと納税など非金融サービスにも領域を広げている点も面白い動きです。
23年のOlive登場時にインパクトが大きかったのが「ポイント還元」です。Olive(と対象の三井住友カード)のポイント還元率は、基本0.5%なので他のクレジットカードと比較して高いわけではないのですが、コンビニや飲食店の協力店舗で、スマホのタッチ決済すると7%還元になるなど「メリハリ」のあるポイント付与が当時は新しく感じましたし、還元率の高さは、今もOliveの大きな魅力と言えるでしょう。
対象店舗はセブン-イレブン、ローソン、ミニストップ、セイコーマートなどのコンビニやマクドナルドやモスバーガー、ケンタッキーフライドチキンなどのファストフード、サイゼリヤ、ジョナサン、バーミヤン、ガストなどのファミレスなど、「多くの人がよく行く場所」をかなり網羅しているので、「お得感」が感じられます。
生活に密着した店舗をカバーしているため、普段使いで便利なOliveですが、ここも支持を得ている理由の一つでしょう。ただ、少し気になっていたのは「スーパーマーケット」が無いことでした。
例えば、Oliveによく似たサービス「エムット」を発表した三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)では、「三菱UFJカード」の「新ポイントアッププログラム」でスーパーの対応を強化しています。オーケー、オオゼキ、東武ストアなどでの7%還元に加え、6月からはアオキスーパー、東急ストア、近商ストアなどにも対応しました。
普段使いにこだわるOliveが、なぜスーパーではポイント還元を強化しないのでしょうか? 三井住友カード マーケティング本部長の伊藤亮佑氏によれば、「Oliveでは、全国で偏りなく使えることを意識しています。全国で広く展開しているスーパーが少ないので、そこが難しいところです」とのことです。
確かにスーパーは、電鉄系なども含めて地域性が高く、全国で幅広く展開している企業は多くありません。強いて言えばイオンですが、イオンは独自にWAONやイオンペイを展開しているので対応は難しいのかもしれません。なお、日常で使いやすいOliveならではのスーパーでの対応は検討していくとのことです。
20代の悩みへの回答が「マネーアシスト」 上位Oliveなど新展開
普段使いしやすいという「Oliveらしさ」を意識したサービスが、15日にスタートした「マネーアシスト」です。Oliveに統合された個人向けのスマホローンで、スマホだけで月5万円までは手数料なし、無金利で借りれられるというサービスです。
Oliveは、20代のユーザーが多いのですが、給料日前にお金が足りずに、支出を我慢したり、積立投資を止めたり、貯蓄を崩すのはもったいない。特にOliveはSBI証券など資産運用サービスとも連携しており、少し「余裕」を作れるようにするため始めたサービスです。マネーアシスト自体は無金利で手数料もないので、収益にはならないのですが、ニーズの高さはユーザー調査からもわかっており、お金のやりとりをストレスなく行なうサービスとしてOliveを強化していくそうです。
一方、40代以上のOliveユーザーからは、「Oliveに資産を預けたいけれどもメリットが少ない」という声もあったそうです。そこで、特典を充実させ、資産運用でのメリットが多い「Olive Infinite」も26年春から展開予定。Oliveのブランドを使いながら、様々な顧客にあわせたサービス展開を予定していきます。
なお、26年春にはPayPayとの連携やマネーフォワード連携なども予定。詳細はサービス開始時に公表される予定ですが、「Oliveを通じてお金が行き来する『粘着性』のあるサービスを目指している(伊藤氏)」とのこと。その一環として、Oliveで契約できる住宅ローンなども検討しているそうです。










