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日本のテレビが変わる。「リアルタイム同時配信」スタート

4月11日から、フジテレビやテレビ東京などの在京民放キー局が、テレビ番組を放送と同時にインターネットでも見られるようにする「リアルタイム同時配信」をスタートします。

テレビ放送は、放送波をアンテナで受信し、テレビで見るものです。特別な機器を使って録画や転送をしない限り、テレビ以外でリアルタイムに視聴することはできませんでした。しかし、これからは「TVer」アプリから、ドラマやバラエティ番組を、スマホやパソコンでリアルタイムで楽しめるようになります。

民放キー局が放送番組のインターネット配信を本格的に始めることで、番組の楽しみ方が“放送時間にテレビの前で”から、“放送時間にどこでも、どのデバイスでも”というスタイルに大きく変わります。詳細はAV Watchでまとめていますが、ここでは簡単にその内容を紹介します。

11日夜から、TVerでの同時配信を行なうのは、TBS、テレビ朝日、テレビ東京、フジテレビ。日本テレビは、昨年10月から同時配信を先行実施しているため、11日からは5系列横並びでの、本格的な同時配信がスタートすることとなります。

ただし、すべての番組がいきなり同時配信されるわけではありません。当面は、夜6~7時以降に放送される“ゴールデンタイム”“プライムタイム”と呼ばれる時間帯の番組が対象です。具体的には、11日夜6時25分からテレ東で放送する「YOUは何しに日本へ?」を皮切りに、各系列が夜7時枠から順次同時配信を行ないます。

同時配信の視聴のためのサービスは、民放公式テレビ配信サービスの「TVer」です。TVerはこれまで、テレビ番組放送終了から約7日間見放題配信する“見逃し配信”のサービスを展開してきましたが、11日からは、ゴールデン番組がどこでもリアルタイムに楽しめる「同時配信」にも対応することとなります。見逃しも同時配信も、利用は無料です。

対応デバイスは、パソコン(Windows/macOS)のブラウザと、スマホ・タブレット(iOS/Android)のTVerアプリ。TVerにはテレビ用アプリもありますが、テレビアプリは同時配信の対象外となります。

また、同時配信と同じぐらい大きな変化と言えるのが、「“全国”で番組が配信される」ということです。これまでの放送では、住んでいるエリアによっては、キー局のネットワーク外となり、関東圏の番組をリアルタイムに楽しめないケースがありました。キー局が5局ですが、例えば、宮崎県の場合は2局だけのため、リアルタイムで楽しめる番組が少ないという事情がありました。今回の同時配信により、国内であれば居住エリアに依らず、好きな番組をリアルタイムで楽しめるようになります。

この「地方で見られなかった問題」について、テレビ東京では4月10日の日経新聞に「全国放送っぽくふるまっていた件に関してのお詫び」という広告を掲載しました。一部地域では放送していなかったのに、「他の全国放送と同じような雰囲気を醸し出し、『背伸びをしていた』」と謝罪しています。

広告には、「な~んで長崎はテレ東映らないのかな」「はあ~東京住みたい(テレ東映らない地方民の嘆き)」といったツイートも紹介されています。つまり、これからは同時配信で全国で楽しめるというアピールの広告ですが、国内であれば「どこでも見られる」ことも同時配信による大きな変化です。

11日から同時配信スタート

また新たに「追っかけ再生」に対応するなど、同時配信のスタートにあわせて、新たなサービスも追加されています。詳細や放送番組などについては、AV Watchで紹介していますが、2022年4月11日をきっかけに、日本のテレビは大きな変化を迎えたと言えそうです。

夜番組がついにリアルタイム配信開始。11日から変わる“テレビ視聴”