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緊急事態宣言、首都圏も解除へ。飲食店営業は21時まで

政府は、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県の1都3県に発出されている緊急事態宣言を、3月21日をもって解除する。1月8日の発出から約2カ月半での解除となるが、小康状態ではあるものの感染は収まっていないため、会食の抑制など引き続きの注意を呼びかけている。

東京では1月のピークの2,500人超えから、3月18日時点では323人で、目標としていた500人を下回っている。また、病床が逼迫していた千葉県においても逼迫が改善傾向であることから解除を決定した。ただし、感染者数が横ばい、微増傾向で、リバウンドも懸念されることから、対策を強化しながらの緊急事態解除となる。

具体的には、「飲食を通じた感染防止対策」「変異株の監視体制強化」「拡大の予兆を掴むための戦略的な検査の実施」「安全なワクチン接種の実施」「医療体制の拡充」などを進める。

飲食店での感染抑制は、引き続き最重視しており、首都圏では宣言解除後も、飲食店の営業時間は21時までとするよう要請。協力金も1日4万円支給する(宣言中は20時まで、1日6万円)。また、卒業式、入学式、歓送迎会などの大人数の会食を控えるよう呼びかけ、テレビCMやSNS、動画など様々な媒体で協力を呼びかけていく。

変異株については、監視体制を強化。抽出する割合を現在の10%から40%程度まで拡大し、変異株を割り出し、感染源をたどることで拡大を食い止める。また入国者数の制限などの水際対策も強化する。

菅総理冒頭発言

先ほど新型コロナ対策本部を開催し、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県について、3月21日をもって緊急事態宣言を解除することを決定いたしました。

これまで、飲食店の時間短縮を中心に、ピンポイントで行った対策は、大きな成果を上げています。1都3県の感染者数は、1月7日の4,277人から、昨日の725人まで、8割以上減少しています。東京では、2,520人から、本日は323人となり、解除の目安としていた1日当たり500人を40日連続で下回っております。病床のひっ迫が続いた千葉県などにおいても、日を追って入院者が減少し、病床の使用率50パーセントという解除の目安を下回り、40パーセント以下となっております。2週間宣言を延長し、病床の状況などを慎重に見極め、判断すると申し上げてきましたが、目安とした基準を安定して満たしており、本日、解除の判断をいたしました。

これまでの医療、介護などの関係者の皆様の御尽力、国民や事業者の方の御協力に心から感謝申し上げます。

しかしながら、感染者数には横ばい、あるいは微増の傾向が見られ、人出が増加している地域もあることから、リバウンドが懸念されております。変異株の広がりにも警戒する必要があります。このため、宣言が解除される今が大事な時期であり、それぞれの地域の状況を踏まえ、国と自治体が一層協力しながら、しっかりと対策を続けてまいります。

これまで踏ん張ってきていただいた皆様へのお願いだけでなく、自治体との協力、役所間の連携については、私の下で総合的に調整し、実効性のある対策を打っていきます。

皆様におかれては、これまでの経験から学んだマスク、手洗い、3密の回避などの基本的な予防策を社会全体で共有し、続けていただくよう、心よりお願い申し上げます。

そして、飲食や恒例行事などのリスクの高い場面に着目した対策を徹底していきます。政府としては、情報発信を強化し、感染防止に必要なことを分かりやすく伝えていきます。また同時に、偏見、差別などの防止に向けた取組を進めていきます。

宣言の解除に当たり、感染の再拡大を防ぐための5本の柱からなる総合的な対策を決定いたしました。国と自治体が連携して、これらを着実に実施してまいります。

第1の対策の柱は、飲食の感染防止です。これまでの経験からも、マスクを外した会話が多くなる飲食が対策の中心です。1都3県では、それぞれの都県の要請により、21時までの飲食店の時間短縮を継続することとし、これに対し1日4万円の支援を行います。また、席と席の間隔や店内の換気に関してガイドラインを守っていただくことも重要です。1都3県合わせて1日1万件前後の見回りを行っておりますが、更に対策を徹底していきます。

会食はできるだけ家族、又は4人以内でお願いします。正にこれから卒業式、入学式、歓送迎会などの季節となりますが、大人数の会食についてはお控えいただくよう、お願いいたします。こうしたメッセージが広い世代の方々に届くように、テレビのコマーシャルのほか、SNS、ネット、動画など、あらゆる媒体を活用し、これまでにない規模で、集中的な発信を行います。

第2の柱は、変異株への対応です。国内の監視体制を強化するために、全都道府県で陽性者の検査を行っておりますが、今後抽出する割合を、現在の10パーセントから40パーセント程度に引き上げて、変異株を割り出すとともに、感染源をきめ細かくたどることで、拡大を食い止めていきます。航空便の搭乗者数の抑制により、入国者の総数を管理するなど、水際措置も強化します。

第3の柱は、感染拡大の予兆をつかむための戦略的な検査の実施です。繁華街や駅などで既に実施している無症状者のモニタリング検査を順次、主要な大都市で大幅に拡大し、来月には1日5,000件の規模といたします。さらに高齢者施設などについて、今月末までに3万か所の施設を対象に検査を行い、来月からは更に集中的、定期的な検査を実施します。

第4の柱は、安全、迅速なワクチン接種です。変異株を含めて感染対策の決め手となるのがワクチンであり、一日も早く、全ての国民の皆さんにお届けしなければならない、そうした思いで準備を進めております。これまでに副反応も報告されておりますが、専門家の評価によれば、いずれも比較的軽度であり、適切に治療され、改善しているということであります。医療関係者への優先接種は順調に進んでおり、現在は1日8万人の規模で接種が行われております。

4月12日からは、高齢者への優先接種が始まります。そして、6月末までに少なくとも1億回分が確保できる見通しです。医療従事者、高齢者に行き渡る十分な量であり、皆さんに安心して接種いただけるように、丁寧な情報発信を行ってまいります。

そして、第5の柱が、次の感染拡大に備えた医療体制の強化です。今回は、急速な感染拡大に十分に対応できず、各地でコロナ病床や医療スタッフが不足する事態となりました。各都道府県において、今回のような感染の急拡大に対応できるように準備を進めています。コロナ病床、回復者を受け入れる病床、軽症用のホテル、自宅療養が役割を分担して、感染者を効果的に療養できる体制をつくります。

こうした総合的な対策と併せ、宣言が解除されても資金繰り、雇用調整助成金など、できるだけの支援をきめ細かく行っていきます。一昨日には、生活や雇用に深刻な影響が及んでいる方々への緊急支援策を取りまとめました。厳しい状況の中でも、未来を担う子供たちを第一に考え、ひとり親や低所得の子育て世帯に対し、子供1人当たり5万円を給付します。一定の所得を下回る方々について、月々10万円の給付金付き職業訓練の対象を拡大し、中でもデジタル分野の訓練の人数を倍増させて5,000人とします。緊急小口などについて、新規の貸付を4月以降も継続し、住民税非課税世帯については、来年以降、返済を免除いたします。自殺防止、子ども食堂、子ども見守りなど、政策のはざまにあって現場で活動を行うNPO(特定非営利活動法人)などに新たに60億円の支援を行います。さらに、これまで多くの雇用を担ってきた飲食業などの事業の継続を支援するために、金融面の対応策を早急に取りまとめます。

感染拡大を二度と起こしてはいけない、その決意を今回の宣言解除に当たり、改めて私自身、自らにも言い聞かせております。お一人お一人が意識を持って行動していただく中で検査を拡大し、意識を持って行動していただく中で早期にリバウンドの端緒をつかみ、ワクチンの接種により発症と重症化を抑えながら医療体制を強化していく、命と健康を守っていく、そうした対策を徹底してまいります。皆様に制約をお願いする以上、国も自治体と一丸となって、できることは全てやり抜きます。

世界でもまだ闘いは続いています。その中でも1年間という時間で分かってきたこともあります。そして、何よりもワクチンという武器があります。一進一退があっても、必ず先には明かりが見えてきます。そうした思いで私自らが先頭に立ち、国民の命と暮らしを守り抜く覚悟を持って全力で取り組みます。皆さんの御理解と御協力を、心からお願い申し上げます。

私からは以上です。