レビュー

HomePod miniが便利! iPhone連携で声でメモやリマインダー

HomePod mini

初登場のminiも含めて4ラインアップとなったiPhone 12シリーズ、見た目は従来と変わらないのにパフォーマンスが劇的に向上したと話題のMacBookシリーズなど、アップルの新製品が多数話題に上った2020年。これらの製品と比べると目立たないかもしれませんが、新モデルが発売されたアップルのスマートスピーカー「HomePod mini」を購入しました。

HomePodの初代モデルは2018年2月に海外で発売され、約1年半後の2019年8月に日本でも購入できるようになりました。

スマートスピーカー好きとして「Hey Siri」での家電コントロールに興味はあったのですが、本体が大きく、価格も3万円近くと高額。さらにメイン利用のスマートフォンがAndroidということもあって購入を見送っていました。

とはいえHomePodの動作自体には非常に興味があり、いつか廉価モデルが出たら欲しいな……と思っていた筆者にとって、約1万円(10,800円)で手に入るHomePod miniは「待ってました」の存在。ただ、11月6日の発売日にはECサイトは軒並み品切れで、これはいかんとApple Storeで予約。コロナ対策で入店も厳しい状況の中、定められた15分の受取時間でなんとか入手しました。

本体サイズは林檎くらい。iPhoneをかざすだけの簡単設定

本体のサイズは林檎くらいのサイズ感。普段利用しているGoogle Next Miniに比べると本体自体は大きいものの、横幅は同じくらいなので、机に置いた時の面積はさほど変わりません。また、本体上部に音量ボタンが配置されているので、側面で音量をコントロールするGoogle Nest Miniよりは操作しやすいです。

林檎とサイズ比較
Google Nest Miniとサイズ比較

電源はUSB-Cですが、ケーブルは本体とつながっているためケーブルだけを交換することはできません。ただし、充電自体は20W出力が可能であれば、同梱の電源アダプタではない市販のUSB-C充電アダプタを利用することも可能です。

本体上部に音量ボタン、中央は再生/一時停止
底面はアップルのロゴや認証情報など。設定関連の情報はなし
電源ケーブルは本体とつながっている

初期設定は自分のiPhoneをHomePod miniにかざすだけで接続設定が完了し、あとは位置情報や利用する部屋、Siriの設定などを選ぶだけ。スマートスピーカーも含めこれまでいくつもの無線LAN機器を設定してきましたが、HomePod miniの手軽さはトップクラスでした。

一方であまりに簡単に設定できてしまうため、Wi-Fiがどのアクセスポイントに接続しているのかもわからないほど。Webサイトには「802.11n Wi-Fi」という表記しかないためわからなかったのですが、自宅の2.4GHzをオフにしてもインターネットに接続できていたので、5GHz帯にも対応しているようです。

HomePod miniにiPhoneをかざすだけで接続設定が完了

お手頃でも高音質。iPhoneをかざして再生を

スマートスピーカーの代表的な機能とも言える音楽機能は、iPhoneやiPad内の音楽をAirPlayで再生できるほか、アップルの音楽配信サービス「Apple Music」の楽曲を楽しむことができます。

Apple Music

前述の通り筆者はAndroidスマートフォンをメインに使っているため、Apple Musicは契約していなかったのですが、先日Apple MusicがGoogleのスマートスピーカーに対応し、Google Playでもアプリが提供されていてAndroidユーザーでも利用できる環境が整ったこともあって、Apple Musicを今回新たに契約してみました。

AirPlayでiPhoneの音楽をHomePod miniで再生

音質についてはいくつものレビューで高評価を受けていたとおり、小型のスピーカーとは思えない音質の高さ。筆者はあまり音にこだわりがないので、Google Nest Hubでも十分に音楽を楽しんでいたのですが、比べて使うとHomePod miniの音質の高さに圧倒されます。

iPhoneとの連携も凝っていて、iPhoneで聴いている曲をAirPlayで再生できるだけでなく、音楽を再生中のHomePod miniにiPhoneをタッチすると、音楽の再生をiPhoneに移すことができ、逆にHomePod miniで再生中にiPhoneをかざすとGoogle音楽の再生をiPhoneに移すことができます。ただかざすだけという手軽さはHomePod miniならではの面白さです。

HomePod miniにかざすと音楽の再生端末を入れ替えられる

小型・低価格、カジュアルになった「HomePod mini」。2台“オーディオ的”に

スマートリモコンで家電も「Hey Siri」でコントロール

個人的に興味があった家電連携については、HomeKit対応の家電を使う、Siriショートカット対応のスマートリモコンを使う、IFTTT対応のスマートリモコンを使う、と、大きく3つの方法が用意されています。

このうちHomeKit対応家電についてはアップルのWebサイトに紹介されていますが、国内ではあまり対応機器が多くはありません。また、IFTTTについては設定に手間がかかることに加えて、最近は無料アカウントで設定できるのが3つまでに制限されたため、宅内の家電をコントロールするには少々力不足です。

HomeKit - すべてのアクセサリ - Apple(日本)

残るSiriショートカットも、対応するスマートリモコンが必要ではあるものの、iPhoneから非常に簡単に設定できます。筆者宅にはSiriショートカット対応のスマートリモコン「Nature Remo」があったので、これまで使っていたスマートリモコンと入れ替えてHomePod miniからの家電操作を試してみました。

Siriショートカットで家電を操作する場合は、まずNature Remoで登録したい家電操作を行なってから、Siriショートカットの画面右上にある「+」で新規ショートカットの作成画面+を表示。「アクションを追加」の「App」から「Nature Remo」を選択すると、これまでにNature Remoで操作した一覧が表示されるので、登録したい操作を選択し、「どんなフレーズで操作したいか」をショートカット名として登録すれば設定は完了。

Nature Remoで家電を操作
Siriショートカットアプリを起動
「+」の新規作成から「App」を選択

あとは「Hey Siri ショートカット名」でNature Remoを操作できます。

対応アプリ一覧から「Nature Remo」を選択。操作履歴から登録したい内容を選択
発声したい名前を設定する

Google Home/NestやEchoシリーズの場合、スマートリモコンの設定を行なった上で、Google HomeやAlexaといったアプリでの紐付けも必要になりますが、HomePodはスマートリモコンを設定さえすればあとは「Home」アプリで追加するだけなので設定がとても簡単でした。

音声でメモやリマインダーを登録。音声の「ながらToDo管理」が便利

家電連携がメインの目的で購入したHomePod miniでしたが、メモやリマインダー、スケジュール、メッセージ送受信といったiPhoneとの連携も意外に便利でした。

ただし、これらの機能はGoogle Home/NestやAmazon Echoとはかなり異なる仕様です。端的に言うと、GoogleやAmazonはスマートスピーカー単体で動作するのに対し、HomePod miniは登録済みのiPhoneを通じて上記の動作を行なう仕組みになっています。

天気や音楽の再生などはHomePod mini単体で動作するためiPhoneは必要ありませんが、上記のようなiPhone連携の操作をする場合は、HomePod miniと同じネットワークにiPhoneが接続している必要があります。また、メッセージの送受信もiPhoneの「メッセージ」アプリとして履歴が残る仕組みになっています。

ハードウェアとしてはiPhoneとは別の存在ですが、仕組みとしては、iPhoneの機能を切り出した拡張機能と理解した方が良さそうです。

iPhone連携で便利な機能が、メモやリマインダーとの連携。「Hey Siri ◯◯をリマインドして」「Hey Siri ◯◯をメモして」と発声すると、「◯◯」の部分をメモやリマインダーに登録してくれます。リマインダーの場合は「来週の金曜日に◯◯をリマインドして」というように発声すればリマインドの日付も設定可能です。

「Hey Siri ニンニクを買う をメモして」で「ニンニクを買う」をメモ登録
「今週の金曜日に書類を提出をリマインド」で日程ごとリマインダーに登録

ただし、メモの場合は日付を省略するようで、「来週山田さんにメールをメモして」と発声しても「来週」の部分がカットされ「山田さんにメール」だけが登録されました。

仕事やプライベートのメモをiOSの「メモ」アプリで管理している人は多いと思いますが、スマートフォンをさっと出せないけれどメモを取りたい、という時に、音声だけでメモが取れるのはとても便利。在宅ワークの際に仕事のメールをいつまでに送りたい、今日の買い物メモを登録しておきたい、という時に、声を出すだけで記録できる「ながらToDo管理」に重宝します。

同様にスケジュールの追加も「Hey Siri ◯◯という予定を追加」登録することも可能。フレーズ内に日時や時間を含めることで、1回の発声でスケジュールを登録することもできます。また、登録済みのスケジュールを「Hey Siri ◯◯はいつ」と発声して音声で確認することもできます。

スケジュールも音声で登録

音声でのメッセージ送受信は、「Hey Siri ◯◯にメッセージを送信」と、連絡先に登録された名前を発声すると、相手にメッセージを送ることができます。どんな内容を送りたいかはSiriが聞き返してくれますが、1フレーズの中に送りたい内容を入れることでやり取りを短くすることも可能です。また、「Hey Siri、未開封のメッセージを読んで」と発声して受信メッセージを音声で聞くことも可能です。

筆者はiPhoneでLINEを利用していないためテストできませんでしたが、HomePod miniからLINEを送ることもできます。こちらもメッセージと同様、音声の内容をLINEアプリを通じて送信していると思われます。

なお、これらの設定を利用する場合、iOSの「パーソナルリクエスト」をオンにする必要があります。これらをオンにした場合、自分以外の家族でも音声で上記の操作が可能になります。英語では音声識別機能があるため自分以外の声で操作できないようにすることも可能なのですが、日本語ではまだこの機能が提供されていません。

パーソナルリクエストをオンにしないとメモやリマインダー、スケジュール連携は利用できない

パーソナルリクエストに関係する機能を使う場合はiPhoneで承認が必要、という設定も可能ですが、その場合はせっかく音声で操作しているのに毎回iPhoneを取り出す必要があり、HomePodの意味が薄れてしまいます。今後日本語でも音声識別が可能になることを期待しつつ、現状は上記のようなプライバシーの課題があることを理解して使うことをお勧めします。

お手頃ながら高音質で多機能。iPhoneユーザーはおすすめ

興味本位で購入したHomePod miniですが、設定の手軽さに加えて小型ながら高音質なミュージック機能、操作登録の簡単な家電連携、音声で手軽に記録できるメモやリマインダーなど、予想以上に便利で使いやすいスマートスピーカーでした。

iOSのメモやリマインダーを活用しているiPhoneユーザーにとって、音声でメモやリマインダーが登録できるHomePod miniは唯一無二の存在でしょう。仕事机に置いておき、手を動かす余裕はないけど記録しておきたいという時に、「あとで◯◯にメールすること」といったTodoを音声でさっと記録できるのはとても便利です。

SpotifyやAmazon Musicなどの音楽配信サービスもスマホからの操作で出力(AirPlay)できますが、声で操作できるのはApple Musicだけ。Apple Musicは、Google Home/NestやAndroidにも対応しており、筆者のようなAndroidユーザーでも使える環境が広がりました。

基本的にはiPhoneやiPadユーザー向けのスマートスピーカーではあるものの、家族にiPhoneユーザーとAndroidユーザーの両方がいる場合、HomePod miniのために音楽をApple Musicにする、というのもいいかもしれません。

甲斐祐樹

Impress Watch記者から現在はフリーライターに。Watch時代にネットワーク関連を担当していたこともあり、動画配信サービスやスマートスピーカーなどが興味分野。個人ブログは「カイ士伝