ミニレビュー

音楽好きのためのスマートスピーカー「Google Nest Audio」

Google Nest AudioとPixel 5

Googleが10月に発売した「Google Nest Audio」は、“Audio”の名を関していることからもわかるように「音楽好きのためのスマートスピーカー」として発売された。

最近のGoogleのスマートデバイスは、Nest HubやNest Hub Maxxなど、ディスプレイ付きの製品が多く、画面が無い“スピーカー”は久しぶりの新製品となる。10月にはAmazonもEchoシリーズを球体デザインに一新したほか、Appleも11月16日にHomePod miniを発売するなど、この秋各社のスマートスピーカーが歩を合わせるように一新されている。久しぶりのGoogle スマートスピーカー「Nest Audio」を使ってみた。

パッケージ

“薄さ”が特徴のスマートスピーカー

カラーはChalkとCharcoalの2色展開。価格は11,550円(税込)。今回はCharcoalを選択している。同梱品は、充電器と説明書だけとシンプルなもの。

ハウジング、ベースなどの筐体は、70%使用済み再生プラスチックを採用。同様に再生プラスチックを採用したGoogleのPixelシリーズのケースなどにかなり近い印象で、Googleデバイスの中で統一感がある。外形寸法は124×78×175mm(幅×奥行き×高さ)、重量は1.2kg。

ひと目でわかるデザイン上の特長は、“奥行き”が78mmと短いこと。新Echoは133mmと従来よりかなり奥行きが長くなり、AppleのHomePod miniも本体は小さめだが奥行きは97.9mmある。机の上に置くには場合、Nest Audioの奥行きの短さはメリットと言えそうだ。

本体
底面には滑り止めのラバー
Echoと比べると奥行きが短い
Nest AudioとHomePod miniとEcho

上部をタッチするとボリュームや停止などのコントロールが可能。前面の真ん中あたりには、4つのLEDインジケータ、背面にはマイクのON/OFFスイッチを装備している。それ以外はグリルで覆われたスピーカーらしいデザインだ。

また、Echoは3m離して使うことを推奨しているので、それよりは使いやすい。

背面にはマイクON/OFFスイッチや電源など

バッテリは内蔵せず、電源アダプターの接続が必要。無線LANはIEEE 802.11b/g/n/acに対応する。設定もシンプルで、Google Homeアプリの画面に沿って操作するだけで終了。

“薄さ”が特徴のスマートスピーカー

設定が終われば、「OK,Google、〇〇して」と呼びかけて、天気や時刻、今日の予定などが音声で確認できる。基本的な音声操作は、従来のGoogle スマートスピーカーとほぼ同じだ。

また、Google Nest Audioではタッチ操作にも対応。本体上部がセンサーになっており、左側をタップするとボリューム下げ、右で上げ、中央のタッチで音楽再生時の一時停止/再生となる。たまに一時停止のつもりがボリュームを上げてしまう、ということもあるがシンプルな操作体系だ。ボリュームは、前面の4つのLEDで大体把握できる。

また、音楽再生中に「OK,Google、次の曲」と話しかけて曲スキップするなど、音声での操作も可能だ。ただ、楽曲の検索やプレイリストの選択などは連携する音楽配信サービスのアプリのほうがやりやすい。

前面のLEDで音量を確認

音楽配信サービスはYouTube MusicやSpotifyやAmazon Musicなどに対応している。今回はSpotify(有料のPremium)を中心に利用したが、曲を選んで、出力デバイスでGoogle Nest Audioを選ぶだけのシンプルな操作。基本的にどのサービスでもあまり大きな違いなく利用できるはずだ。

Google Nest Audioが旧モデルのGoogle Homeより強化された点が「音質」。19mmツイーターと、低音を再現する75mmミッドウーファーを搭載し、Googleによれば、「Google Homeより75%音量が大きく、低音は50%強化」したという。

実際に音楽を再生してみても、バランス良く歪み感が少ない。音の立ち上がりがよく、低音もかなりの音量が出ているため、ダンスミュージックからポップスまで幅広いサウンドに対応できる。また、ボリュームを最大近くまで上げても筐体がビビらず、8畳程度の部屋であれば、かなりの音量で鳴らせる。

ただ、Echo(第4世代)のほうが出力に余裕がある印象で、低音が強く、迫力があるサウンド。一方、AppleのHomePod miniは、奥行きは長いもののNest Audioより小さく設置性は甲乙つけがたい。音質も良いが、他の2製品と比べると出力は小さめに感じられる。

Google Nest Audioで「使いやすい」と感じたのが、小さい音量時の音質の良さ。かなり音量を絞ったときでも、バランスよく再生してくれる。旧機種のGoogle Homeはそもそも最小音量がかなり大きく、かなり低域よりのバランスだったが、Google Nest Audioは小音量でもバランスが崩れず、音楽もラジオも聞きやすく、使いやすさは大幅に向上している。

Podcastやradikoなど“声”の聞きやすさも印象的だ。

なお、Googleによれば「音楽、ポッドキャスト、オーディオブック、Google アシスタントからの応答など、聴いているものに応じて自動的にイコライザーを調整するMedia EQ」と「室内の環境音に基づいて音量を調整するAmbient IQ」を搭載しているとのこと。

ただし、使っていて認識できるような、大きな音質・音量の変化は感じられなかった。自然に感じられる範囲で音質を調整しているということのようだ。また、今回は試せていないが、2台のGoogle Nest Audioを組み合わせれば、ステレオ再生も可能となる。

デスクトップ向けのちょうどいいスピーカー

Google Nest Audioの価格は11,500円(税込)で、2台同時購入で2,500円引き。AppleのHomePod miniが11,880円(税込)、Amazon Echo(第4世代)が11,980円(税込)とほぼ同価格なので、設置性や音質のほか、音声アシスタントや機器連携のしやすさあたりが選択のポイントになりそうだ。

Nest Audioは、デスクトップに置くスマートスピーカーとしてサイズ感がよく、仕事をしながら使うスピーカーにはちょうどよい選択肢だ。Echo(第4世代)はもう少し広い部屋向けで、よりリラックスして使うほうが良いと感じる。HomePod miniも設置性も音質も良く、Apple Musicにはおすすめできるが、音声アシスタント(Google アシスタント、Alexa)や機器連携などを活用するには、AppleのSiriはやや広がりにかけるかもしれない。

Google Nest Audio チャコール
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臼田勤哉