ミニレビュー

1kmを15秒短縮! ランニングシューズを変えてみた

ミズノのランニングシューズ「WAVE REBELLION FLASH」

ここ3年、ほとんど毎日室内サイクリングをしてきましたが、近頃はガッツリ自転車をこいでも体重が減りにくくなってきました。その分めちゃくちゃ飲み食いしているから、というのもあるかもしれませんが、おそらく身体がサイクリングの負荷に順応してしまい、エネルギー消費が以前より少なくなっていることも原因と思われます。

そこで、これまで週1程度しかできていなかったランニングを、もう少し頻度高くやってみようと考えました。異なる運動を組み合わせることで、身体に違う刺激を与えてカロリー消費を増やす狙いです(本当なら有酸素運動と無酸素運動を組み合わせるのが良いのかもしれませんが、こればかりは自分の好みもあり……)。

というわけで、気分を一新する意味でも、ランニングシューズをミズノの「WAVE REBELLION FLASH」に変えてみることにしました。その結果、驚くべきタイムが!?

なぜミズノの「WAVE REBELLION FLASH」にしたのか

以前から使用してきたランニングシューズは2019年に購入したアシックスの「GlideRide」(初代)。ランニング初心者向けのシューズで、楽に長い距離を走れるようにすることに主眼が置かれた設計です。

累計の使用距離は700km近く。見た目ではまだまだ使えそうですし、実際に問題なく走ることはできますが、へたりを感じるところもあったので新調してみることにしたわけです。

アシックスの「GlideRide」
「GlideRide」(上)の使用距離は700km近く。3年も使っているわりには距離はあまり伸びず……

新しいシューズを選ぶにあたっては「GlideRideの1段上のもの」を条件にしました。ここで言う「一段上」とは、シンプルに「ターゲットタイム」の意味です。普段、一度に走る距離は15km前後か、21km前後のだいたい2パターンで、従来の1kmタイムは平均4分40秒あたり。ハーフマラソンの距離だと1時間40分前後、フルマラソンの距離はまだ走ったことはありませんが、おそらく3時間半~4時間で走れるだろうというレベル感です。

「GlideRide」はすでに世代が変わり、「GlideRide 3」(17,600円)が登場しています。初代より性能面で進化しているかもしれないことを考えれば十分に選択肢の1つになり得ますが、なんとなく違うものを試してみたいと思っていましたし、長く走りたいというよりも、どちらかといえば速く走りたい気持ちの方が強かったりもします。

「GlideRide」は世代が変わり「3」になっている

となると、何を選ぶべきか。ランニングシューズに絞っても種類はたくさんあり、同じメーカーのなかでも選びきれないほど。そういうこともあってか、アシックスでは「SHOE FINDER」という機能がオンラインストアに用意されています。目的や走り方、好みを回答していくだけで、それにマッチするランニングシューズの候補をピックアップしてくれるものです。

ランニングシューズ選びの参考になる「SHOE FINDER」
自分に合いそうなシューズの候補をピックアップしてくれる

ただ、「SHOE FINDER」を試してはみたものの、モデルごとの違いが筆者にはいまいちピンと来ませんでした。せっかくなので他メーカーのシューズがどういうものかも知っておきたいなと考え、ミズノのサイトへ。そうすると、アシックスのサイトにはなかった「フルマラソンの目標タイム」別にシューズを探せるリンクが。これは非常にわかりやすく、目的に合ったものをすぐに見つけられます。

ミズノのサイトでは、ページ頭に「フルマラソンの目標タイム」別で探せるリンクがある

現状の自分の「1段上」のターゲットタイムは「サブ3」(3時間以内)なので、そのなかから「WAVE REBELLION FLASH」(17,600円)をチョイスしてみました(7月中旬からは新型が登場し、価格は18,480円となるようです)。

でもって、ミズノでは足サイズの決め方・測り方の案内も親切です。サポートページに「足サイズ計測シート」のPDFファイルが用意されており、これをプリントアウトして自分の足に合わせるだけで、大きさや足囲を把握できます。

「サブ3」のレベルの人に合うシューズ一覧
足のサイズの測り方や、適正サイズの選択方法などを説明しているページ。「足サイズ計測シート」をダウンロードできる
「足サイズ計測シート」を印刷して自分の足のサイズを簡単に把握

細かいことではありますが、こういった誰にとってもわかりやすいコンテンツがあるのは、購入の動機付けになるようにも思います。アシックスの方では実店舗で無料で足を3Dスキャンしてくれるサービスも提供しているので、その意味では手厚いと言えるものの、利用できる店舗が限られています。筆者としてはそのためだけに遠くの店舗まで行くのはちょっと……というのが正直なところでした。

新旧シューズの違いはどんなところにある?

果たして「WAVE REBELLION FLASH」で走ってみた感触はどうだったか。当然かもしれませんが、「GlideRide」とは全くフィーリングが異なりました。本格的なランニングシューズはこの2種類しか使用したことがないので、その範囲での個人的な感想となってしまいますが、まず「跳ねない」のが一番の違いでしょうか。

「WAVE REBELLION FLASH」で実走!

「GlideRide」は初心者向けのシューズ、かつ「長い距離を楽に走る」ことを目的に作られているせいか、クッション性が高く(反発が大きく)、一歩一歩がフワフワした感じ。対して「WAVE REBELLION FLASH」は、クッション性は十分に感じられるものの反発は少なめ。「GlideRide」の感覚のまま走ってしまうと、ちょっとした路面の起伏に靴底を引きずってしまうことがあり、しっかり足を上げて走るべし、というランニングの(おそらく)基本に立ち返る必要がありました。

ところで「GlideRide」は「転がりやすさ」も特徴の1つでした。おおざっぱに説明すると、シューズのつま先付近が大きく立ち上がった(横から見たときに地面から離れた)形状で、これにより自然と足が前に出やすくなっているのです。この反発力の高さと転がりやすさによって、極端なことを言えば、足が疲労していても勝手に前に進んでくれるような印象を受けます。

「GlideRide」(右)はつま先のかなり手前のところから大きく立ち上がっている

これはほとんどの場合メリットに感じられますが、デメリットになる場合もあります。一番わかりやすいのが下り坂や下り階段。前に転がりやすいせいで自分が思っている以上に勢いづくため、恐怖感を覚えることもしばしばでした。どうしても慎重に走ることになってしまい、本来ならスピードアップする下り坂で思い切れません。フラットな平地を走っているときも、この転がりやすさが裏目に出て想定以上のハイペースになってしまいがちなので、ブレーキをかけながら走っているような状況でした。

一方の「WAVE REBELLION FLASH」は、それに比べれば「全然転がらない」シューズです。むしろ能動的に転がすために、蹴るようにして走ることを意識させる作りになっているように思います。ここでもランニングの基本を教えてくれるかのよう。そして、足を運ぶときに明らかに軽快さを感じるほど軽量です。その軽さとあいまって、しっかり蹴れば蹴るだけ足は回りますし、タイムも上げられる。下り坂でもスピードをコントロールしやすく、恐怖を感じることがなくなったのもうれしい点でした。

ソールは横方向に溝が切られた蛇腹状のパターンで、蹴り出すときに踏ん張りやすい

気になるところがあるとすれば、蹴るようにして走るためのソールの構造・パターンになっているためか、「ぐいぺた、ぐいぺた」という足音が目立つこと。背後からそれが聞こえてくるので、走っている途中で後ろから誰かに追いかけられているのかと思い、最初の頃は何度か振り返ってしまいました。

あとは付属の靴紐が頼りなく、走っているときにほどけやすいこと。しっかり力を入れて結び、余った部分をしまい込んで走るのがおすすめです。ただ、あまり強く締めるとベロ部分が薄いこともあり、足の甲が痛くなることもあります。このあたりは筆者の足の甲部分が高いせいもあるかもしれません。靴紐を交換するなり、締め付け方を工夫するなりして試行錯誤していこうと思っています。

軽量化のためか、靴紐は細く、ベロがかなり薄い
最近は結ばずに済む靴紐に変えて様子見している

シューズ変更でタイム短縮、さらに意外な効果も

さて、シューズを変えることで走りのパフォーマンスに何か影響は出るでしょうか。感覚的には、両者の性格の違いから、主に使う脚の筋肉も少し違っているような気もします。「GlideRide」では先に太ももの方に疲労が出やすく、「WAVE REBELLION FLASH」はすねやふくらはぎが辛くなってくる感じ。

もう少し客観的な数字でも知りたいな、ということで、普段からランニング時に使用しているGarminのスマートウォッチのログを分析してみることにしました。「GlideRide」から「WAVE REBELLION FLASH」への切り替え期に、何度かシューズを入れ替えながら、15~21kmの距離を5回ずつ走った結果を元にデータ比較してみました。各回で気温・湿度は大きく変わっていないので、そうした環境要因のコンディション差はあまりないはずです。

1km平均タイム

データによると、1kmの平均タイムは、最大でなんと15秒も短縮しました。本人の「やる気」に左右されるところはあるとはいえ、5回ともタイムが上回っていることを考えると、少なからずパフォーマンスアップにつながっていることは間違いなさそうです。サブ3を目指すならまだまだタイム短縮が必要ですが、モチベーションを高める意味でこの結果は重要です。

平均接地時間・ピッチ・歩幅

より細かいデータ、接地時間(ミリ秒)とピッチ(1分間の歩数)、歩幅(cm)もチェックしてみます。歩幅については特に変化は見られませんが、接地時間は全体的に減少し、ピッチは反対にわずかながら上昇しているので、ランニングの方向性としてはたぶん良さそうな雰囲気です。

平均上下動比・GCTバランス(差)

上下動比とGCTバランスもグラフにしてみました。上下動比は、簡単に言うと歩幅に対して身体がどれくらい上下に動いているか、ということを表す値です。「WAVE REBELLION FLASH」では平均的に小さくなっているので、これも良い傾向のよう。シューズの反発力の強さ・弱さが可視化されただけかもしれませんが……。

GCTバランスは、左右の足の接地時間を元に身体の左右の偏りを示すものです。このグラフでは左右の差をプロットしているので、0に近いほど理想的ということになります。これについても、「WAVE REBELLION FLASH」は振れ幅が小さく0に近い値となっているため、ランニングフォームはある程度整ったように見えます。

パフォーマンスが上がらないならシューズを変えるのもアリ

シューズを変更するだけでデータ的にもここまで違いが出てきたのは、筆者としては予想外の結果でした。これからの日々のランニング継続や、フルマラソン参戦に向けて気持ちも上がるというもの。

みなさんのなかにも、ランニングを続けているけれど、なかなか思ったようにパフォーマンスが上がらない、と悩んでいる人がいるかもしれません。その場合は、今の自分の走り方にもっと合うシューズを選ぶことで、さらなる上を目指せる可能性もありそうです。近頃は暑くランニングがままならない日が続いていますが、熱中症には気を付けつつ、新しいシューズでモチベーションを高めて頑張っていきたいところです。

日沼諭史

Web媒体記者、IT系広告代理店などを経て、フリーランスのライターとして執筆・編集業を営む。AV機器、モバイル機器、IoT機器のほか、オンラインサービス、エンタープライズ向けソリューション、オートバイを含むオートモーティブ分野から旅行まで、幅広いジャンルで活動中。著書に「できるGoProスタート→活用 完全ガイド」(インプレス)、「はじめての今さら聞けないGoPro入門」(秀和システム)、「今すぐ使えるかんたんPLUS+Androidアプリ 完全大事典」シリーズ(技術評論社)など。Footprint Technologies株式会社 代表取締役。