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「ランニングを始めよう」と思い立ったら揃えるべきアイテムは?

秋風が心地よく感じる季節になり、ランニングを始めてみようと思っている人もいるのではないでしょうか。コロナ禍のテレワークなどにより運動不足の人も、ランニングを始めるにはいい季節です。そこで今回は、ランニング初心者が揃えるべき最低限のアイテムをご紹介します。

おすすめ商品や選びのポイントなどを聞くために、スーパースポーツゼビオ東京御茶ノ水本店へ向かいました。対応してくれたのはランニングアイテムに精通したウェルネス担当の山賀理恵さんです。

スーパースポーツゼビオ東京御茶ノ水本店 ウェルネス担当 山賀理恵さん

「ランニングアイテムは何も持っていない、という方でも、シューズ、ソックス、ウエアがあれば走り出すことができます。なかでもシューズは地面に接する道具なので、こだわって選びたいところです。そのほかにもより快適に、楽しく走ることができるアイテムもあるので、順を追って説明していきたいと思います」

快適にケガなく走るためにもシューズ選びは重要

まずは、一番重要というシューズから案内してもらいました。この店ではランニングシューズだけで1,000足以上も揃えているそうです。

スーパースポーツゼビオ東京御茶ノ水本店 シューズコーナー

「初心者であれば、より快適に走ることができ、体への負担を軽減できるクッション性の高いものがおすすめです。ブルックスの『ゴースト14』はクッション性が高く、滑らかな走り心地が特徴。アッパーは伸縮性に優れているため足の動きにぴったりフィットします。アシックスの『GEL-KAYANO 28』は商品名通り28代目と進化を続けているモデルです。クッション部分が衝撃を吸収し、かかとはしっかりと安定。地面につくと自然と足が前に出るようになっている、初心者ランナーには定番のシューズです」

ブルックス ゴースト14(14,300円)
アシックス GEL-KAYANO 28(17,600円)

このほか、ハイクッションで正しい軌道で前に進むように設計された、ニューバランスの「FRESH FOME 1080」もおすすめの人気シューズだと教えてくれました。

ニューバランス FRESH FOAM 1080(17,600円)

と、おすすめ商品を紹介してもらいましたが、山賀さんとしてはシューズを選ぶ前にやって欲しいことがあると言います。それは自分の足の正しいサイズを計測することです。

「スーパースポーツゼビオでは無料で足のサイズを計測することができます。足形測定器『safesize』は足の裏の長さ、幅、甲高のサイズを手軽に測定できる機械です。たいていの人は自分の正しい足のサイズを知らず、ずっとはき続けてきたサイズを買い続けていると思います。でも実は適切なサイズではなかったりしますので、ランニングシューズを購入の際はぜひ測定してください」

足形測定器「safesize」
足形に合わせて機械に乗るだけで測定できる
足をスキャンすることで長さや幅などのサイズがわかる

足形測定器のほかに、足にかかる圧力を測る機械も。プレートの上を歩くだけで体重のかかり方や足の向き、左右差、足運びのクセなどがわかります。それによりケガをしやすい場所もわかるそうです。

圧力の測定はプレートの上を何往復か歩くだけ
足にかかる圧力を画面に表示

「そこで得られたデータを基に機械がおすすめのシューズをカタログ形式で案内してくれるので、何を買えばいいのか迷っている方は選びの参考にもなります。どちらも靴下をはいたまま短時間で測定できますよ」

データ結果を踏まえておすすめのシューズを表示

ソックスにも足をサポートする機能が満載

意外と「何でもいいのでは?」と思いがちなソックスも、ランニングに最適なものを選ぶべきだと山賀さん。走り慣れていない初心者こそ、足をサポートする機能がある専用ソックスを選んで欲しいそうです。

「100均などのソックスでは靴の中が蒸れたりするので、走ると不快に感じてしまいます。スポーツ全般に向けたソックスは吸水速乾性のある素材を使っていますが、足をサポートする機能やグリップ機能など、ランニングに必要な機能がありません。機能性の高いランニングソックスはやや高価ですが、できれば1,500円くらいの商品を選んで欲しいところです」

最近は、多くのブランドで土踏まずのアーチ下がりをサポートする機能を搭載。ゼビオでもその機能があるソックスが人気です。

「Tabioの『レーシングラン』はアーチサポートのほか、シリコンラバーによる滑り止め、足の形にフィットする立体製法など、楽に走るための機能が満載です。Zamstの『HA-1』も独自の編み方で足底のアーチをサポート。かかとのぐらつきを抑えるヒールコントロール機能もあるので、より安定した走りができます」

Tabio レーシングラン 5本指(1,760円)
Zamst HA-1 5本指(2,640円)

売場を見るとランニングソックスだけでも多くの種類があるゼビオ。5本指のソックスが多く見られますが、やはり5本指が人気なのでしょうか?

「それぞれの指が分かれている5本指ソックスの方が、しっかり指を使っている感覚が得やすいと感じる人が多いようです。そのため5本指ソックスを使っているランナーが多いのはたしかですね。ただ5本指をはき慣れていない人には違和感があるかもしれません。ゼビオではソックスの試着もできますので、まずははいてみてください。どのメーカーも5本指のほかに通常のラウンドタイプも用意していますので、快適に走れそうなタイプを選ぶといいですよ」

ウエアはお気に入りのデザインを選ぶのが一番!

「秋からはTシャツ、ショートパンツのほかにランニングジャケットが必要になりますが、ウエアは気持ちが上がるデザインや色ですべてを揃える方がいいと思います。いろいろなブランドの商品がありますが、スポーツブランドであればTシャツは吸水速乾タイプになっていますし、パンツも汗でベトつかないように考えてつくられていますから。好きなブランド、好きなデザインで、走るのが楽しくなるようなものを選ぶのが一番です」

店舗の展示は季節ごとに必要なアイテム一式の例になっていますので、何を揃えればよいかの参考にもなりますね。

店舗で展示されているナイキのコーディネート。Tシャツ:Dri-FIT マイラー ワイルド ラン(4,400円)、ランニングジャケット:レベル ワイルド ラン ウィンドランナー(15,950円)、ショートパンツ:Dri-FITワイルド ラン フレックス ストライド(7,700円)、キャップ(3,300円)

より寒くなると、ボトムスはショートパンツにロングタイツを合わせるのがランニングウエアの主流。ワコールの「CW-X」はサポート力抜群で、多くのランナーから支持を集めている商品です。

「初心者の場合は筋肉が少ないため膝を痛めてしまう人も多いんです。でも『CW-X』は独自のテーピングサポートで着地の衝撃から膝を守ってくれます。下半身をフルサポートするものなど、好みに応じてサポートする部位を選べるのでご自身に合ったものを選んでください。正直、ちょっとお高いので余裕があればタイツでのサポートも視野に入れてもらえればと思います」

ワコール CW-Xのロングタイツ。下半身フルサポートのジェネレーターモデル(20,900円)、股関節・ひざをサポートするエキスパートモデル(13,200円)などの種類がある

ポーチは体にフィットして動きやすいものを

短時間のランニングといえども、手放せないのがスマートフォン。ランニングアプリで走った距離やコースを計測・記録できるほか、電子マネーでの支払いもできるのでお金を持っていかなくてもスマホさえあれば、という感じですよね。ただ、最近のスマホは以前より大きくなっていて、昔ながらの腕に固定するタイプのスマホケースだとジャマに感じる人もいるでしょう。

「身につけて走っても揺れず、体にフィットするタイプのものがおすすめです。また重いものが片方だけについていると左右のバランスが悪くなってしまうため、体の中央につけることができるベルトタイプがいいでしょう。『FLIPBELT』は腰にぴったりフィットして、スマホ以外にカギや財布なども収納可能。より集中してランニングが楽しめます。もうひとつのおすすめは『SPIBELT』です。何も入れていないととてもコンパクトですが、伸縮性があるためスマホをぴったり収納できます。ベルト部分はゴムになっているので、より体にフィットしますよ」

カラーもサイズも好みのままに選べるFLIPBELT。ファスナーポケットタイプなどもある
FLIPBELT クラシック(4,400円)。スマホをポケットに挿入して腰に装着する。写真はポケットの位置やサイズを示す例で、使用時には全体をスッポリと収める
SPIBELTはベーシック(3,300円)のほか、ペットボトルが入るラージ(3,520円)もある
SPIBELTベーシックにスマホを入れて装着。体にフィットするのでランニング中に揺れづらい

できればプラスしたい小物いろいろ

ここでは「なくても走れるけど、あった方がより快適に走れる」アイテムをご紹介します。まずはキャップ。夏の日焼け防止以外に冬の防寒具としても活躍してくれます。

「キャップもウエアと同じで気に入った色やデザインのものを使うのがおすすめですが、最近は機能性が高いアイテムも登場しています。寒い時期でも走ると帽子の中は暑くなりますが、これは前、サイド、頭頂部に通気口があり、通気性が抜群。頭が蒸れずにランニングに集中できます」

AIRPEAK PRO スタンダードキャップ(5,720円)

そして、意外にも通年欠かせないのがサングラス。太陽が低くなる冬場は眩しさを感じやすく、紫外線で目が疲れてしまうこともある、と山賀さん。

「スポーツ仕様のものは紫外線のカット率が高く、レンズが傷ついてもカット率が落ちることはありません。安いものはレンズに紫外線防止フィルムを貼り付けただけのものが多いので、レンズに傷がつくとカット率が一気に落ちてしまいます。ですから、5,000~6,000円ほどしますが、スポーツ対応のサングラスを選ぶのがベストです」

せっかく買うならサングラスは安物で済ませず、スポーツで使えるものを選ぼう

初心者の足を守るために、もうひとつ大切なアイテムがインソールです。正直、1万円以上のシューズであれば足へのサポートは十分だと思ってしまうし、インソールを買うとなるとさらなる軍資金が必要になりますが、山賀さんは熱く語ります。

「足ができていない初心者にこそ、ぜひインソールを使ってほしいんです。シューズ自体にも素晴らしいサポート機能があるけれど、それだけでは100%自分の足に合っているとは言えません。でも、インソールがあれば100%に近づけることができますから」

スーパースポーツゼビオ東京御茶ノ水店では、自分の足に合わせたオリジナルのインソールをつくることができます。「なるべく体に負担なく走りたい」「長く続けるためにも最初にしっかりお金をかけたい」という方は、ぜひつくってみてください。

「足形を取ってから『カスタムバランス』のインソールを加工します。最初はただの板状ですが、走ることを前提に加工するので、足が安定し、体への負担も軽減できます」

硬さや厚みが違うバリエーションが揃うカスタムバランスのインソール(9,350円~)。加工前は平らな板状
加工すると足形に合わせて凹凸ができる

もちろん、自分の足形に合わせてオリジナルでつくるのがベストですが、既製のインソールを選択肢に入れるのもアリ。5,000円くらいのものであれば機能性も充実しています。

「SIDASの『RUN 3D』は衝撃吸収と安定性を図った、ランニングに特化したインソールです。かかと部分にはジェル状の素材を使って衝撃を吸収。前足部、蹴り出しの部分にはクッションがあり、推進力もアップします。オリジナルをつくるほどお金をかけられない、という方は、こちらもおすすめですよ」

SIDAS RUN 3D プロテクト(5,500円)
かかと部のジェルなど裏側に機能が詰め込まれている

短い時間でもいいので、まずは走り出そう!

必要最低限なアイテムを揃えるだけで、ランニングへのモチベーションは上がるものです。「走り出したい気持ちをそのままに、まずは走ってみて欲しい」と山賀さん。

「シューズさえしっかり選べば楽しく快適に走り続けることができると思いますので、まずは初心者向けの走りやすいシューズを選び、お気に入りのウエアを着て走り出していただければと思います。最初は5分でも10分でも構いませんし、歩きと走りを組み合わせてもいいんです。少しずつ走る時間を延ばしていけばいいのですから」

走り続けていれば、足していくべきアイテムも自ずとわかってきます。本格的な冬になれば手袋やネックウォーマーが必要になるかもしれませんし、やっぱりいいインソールが欲しいと思うかもしれません。走ってみなければそれもわかりませんから、無理のない程度に、不定期でも続けることが大切です。

「何か目標を持つこともモチベーションになると思います。最近はグルメや観光を絡めたマラソン大会もありますし、10kmなど短い距離にエントリーできるものもあります。いろいろ調べてみてお目当ての大会への出場を目指せば、長く続けることができるかもしれませんよ」

アイテムを揃えたのだから頑張らなければ、と気負わずに、お気に入りのアイテムを揃えてぐっと上がった気持ちをそのままに、まずは走り出しましょう!

スーパースポーツゼビオ 東京御茶ノ水本店(東京都千代田区神田小川町3-6)

なお、価格は10月1日の取材時点のものです。