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お盆に家族と話そう! トラブルを防ぐための遺言書・財産目録の書き方
2025年8月12日 09:00
遺言書・財産目録は遺産分割をスムーズに進め、相続手続きを軽減するためにもぜひ作っておきたいもの。また、生前からの相続税対策でも必須となります。家族への最後の思いやりとして、しっかりした遺言書・財産目録を作成しましょう。
お盆は実家への帰省で、両親や子どもと顔を合わせる機会が多いシーズン。遺言書・財産目録はうしろめたい話題ではありますが、しっかり話しておけば、後々のトラブルは減らせます。この機会に、確認してみませんか?
この記事はインプレス刊『いちからわかる! 相続・贈与 2025年最新版』(五十嵐明彦 監修)の一部を編集・転載しています(編集部)
遺言書を作成するメリットって何?
遺言書では、下図に挙げた「遺言事項」のように、相続分の指定・分割方法のほか、さまざまな決まり事を、被相続人自らが事前に指定することができます。
こうした遺言事項を通して、相続をめぐるトラブルを防ぐことができるほか、相続手続きの負担も低減できます。遺族のことを思えばぜひ、作成しておきたいもの。とくに、次のようなケースに当てはまる人には、遺言書の作成をおすすめします。
(1)法定相続人以外にも財産を残したい
家族や親族以外に財産をあげたい場合は、遺言書が必須となります。
(2)遺産分割を自分で決めたい
例えば配偶者に自宅、子どもに証券を残すなど、自分の財産の状況に応じて、どの財産を誰に引き継ぐかを遺言書で指定できます。
(3)子どもがいない
子どもがいないと、配偶者のほか故人の両親か兄弟姉妹が相続人になります。相続手続きの中には、例えば自宅の名義変更など相続人全員の同意が必要なものもあり、1人遺された配偶者がそれらを行なうのは負担が大きいものです。遺言書で指定しておけばその手続きは不要になります。
(4)財産のうち、不動産の占める割合が大きい
「うちには財産がない」という人でも、マイホームを持っている場合は少なくありません。不動産は物理的に分割できないため、どう分割するか、相続人同士が頭を悩ませることになりがちです。誰に引き継いでもらうかはしっかり指定しておきたいものです。
自筆証書遺言の作成例
遺言書にはその様式によっていくつかの種類がありますが、自筆で記す「自筆証書遺言」と、公証人に書いてもらう「公正証書遺言」の2つが主流となっています。
ここでは、手軽に作成できる「自筆証書遺言」の書き方について解説します。
「自筆証書遺言」は、手軽さが魅力ですが、法的な要件を満たしていないと無効になるケースもあります。
まず、その名の通り、すべて自筆で記さなければなりません。そのため、それなりに時間や手間がかかります。また、修正する場合は修正液などは使わず二重線で消して修正印を押します。上図に示したポイントも押さえながら丁寧に書いていきましょう。
また、財産目録は2019年1月13日以降、パソコンで作成可能となっています。ただし、パソコン作成の場合でも1ページ(両面印刷の場合は裏表)ごとに署名押印が必要なので注意しましょう。
自筆証書遺言を保管してもらえる制度
自筆証書遺言は自分の好きなときに書くことができ、費用もかからないため、公正証書遺言に比べて手軽という特徴があります。また、大きなメリットが、内容を秘密にできることです。
一方で、本人が保管するため相続発生後に見つけてもらえなかったり、偽造、隠ぺいされるリスクも拭えません。また自筆証書遺言を見つけた場合は、開封せずに家庭裁判所での検認を受ける必要があります。
しかし近年の法改正で、遺言書を法務局に保管してもらえる「自筆証書遺言書保管制度」が創設されました。
この制度を利用すれば、紛失等のリスクがなくなるほか、家庭裁判所での検認を省略することができます。また、預けるときに要件を満たしているかの確認があるため、ミスによって無効になることもありません。
制度の利用法については、法務省ホームページや最寄りの法務局で確認しましょう。
付言を上手に活用しよう
付言とは、法的効力を持たせることを目的としない、財産分割についての特記事項や家族へのメッセージ。一定の相続人に多めに財産を遺す場合などにはその理由を示すとよいでしょう。
インプレス刊『いちからわかる! 相続・贈与 2025年最新版』(五十嵐明彦 監修)では、遺言書の書き方の他、知っておくと得する相続・贈与の制度をやさしく丁寧に解説しています。家族全員で相続に対する知識を高めるため、手に取ってみてはいかがでしょう?
・価格:1,100円
・発売日:2025年2月27日
・ページ数:128ページ
・サイズ:A4変型判
・監修:五十嵐明彦
・内容
1章 相続の基本
2章 相続の節税対策
3章 相続の手続き
4章 贈与の基本
5章 贈与の節税対策
・監修プロフィール
五十嵐明彦(いがらしあきひこ)
公認会計士・税理士・社会保険労務士
明治大学商学部3年在学時に公認会計士試験に合格。その後、監査法人トーマツ(現・有限責任監査法人トーマツ)に勤務し、国内企業の監査に携わる。2001年には、明治大学特別招聘教授に。現在は、税理士法人タックス・アイズの代表社員として相続税などの資産税業務など税務業務を中心に幅広い仕事を行なう。著書に『子どもに迷惑かけたくなければ相続の準備は自分でしなさい』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。









