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相続・贈与の非課税ルールは昔と大違い! お盆に家族と対策を話し合おう
2025年8月7日 08:00
相続は、家族など身近な人が亡くなったときに行なう手続きです。しかし今からでも「贈与」など、相続を見据えたお得な節税手段は数多くあります。例えば、「暦年贈与」は、年110万円までなら非課税で贈与できる制度。ただし改正により、2024年から7年以内にもらった贈与は遺産としてみなされます。「まだまだ元気だから」と先送りにしていては、遺産増額によっては相続税が増えるなど損する可能性が高まるのです!
お盆は実家への帰省で、両親や子どもと顔を合わせる機会が多いシーズン。この機会に、相続や贈与についてじっくり話し合ってみませんか?
この記事はインプレス刊『いちからわかる! 相続・贈与 2025年最新版』(五十嵐明彦監修)の一部を編集・転載しています(編集部)
生前から早めの対策が最大の相続税対策
相続はいつ発生するかわからないものだからこそ、相続税対策はなるべく早く行なっておく必要があります。相続が発生してからできることは限られます。生前から、相続財産を減らしたり、相続財産の評価を下げるなどの対策を行ないましょう。
特に生前贈与は早めの対策が必要です。相続開始前3~7年以内の暦年贈与は課税対象となります(下記参照)。また、非課税制度のある贈与の特例も、適用期限や受贈者の適用年齢が定められています。
相続税対策以外にも、相続後の相続人間でのトラブルを避けるために、法的な遺言書を残しておくと相続がスムーズに進められます。
相続発生7年以内の贈与が課税対象に改正
暦年贈与とは、毎年110万円までの贈与を非課税とする制度です。
2024年からは、相続の対象となる期間がこれまでの3年前から、7年前までに延長されました。生前贈与による節税対策は、より早めに行なうことが必要です。例えば、年110万円を贈与していた場合、これまでは33万円だった相続税が67万円と倍増することになります。
新制度では2024年が起点。2026年までは3年間、それ以降は2024年からの経過年数が持ち戻し期間となります。
代わりにお得になった相続時精算課税制度
相続時精算課税とは、父母あるいは祖父母から子あるいは孫に対する贈与が合計2,500万円までの贈与税を非課税とする制度です。しかし、結局相続の際に相続財産に持ち戻して相続税として計算するため、納税が先送りになるだけのメリットが薄い制度でした。
しかし2023年度の税制改正で、相続時精算課税に年間110万円の基礎控除が新設されました。
この改正により、相続時精算課税の期間が長くなるほど節税に。例えば、上図のように2,500万円を10年かけて贈与した場合、相続税は以前に比べて約半分になります。
暦年贈与VS相続時精算課税今後の最適解は?
それでは、ルールが変わった暦年贈与と相続時精算課税では、どちらを選択した方が得なのでしょうか。
7年以内に相続が発生しそうな場合、「持ち戻し」のルールがない相続時精算課税の方が、節税効果が高くお得だといえます。年110万円以下の金額の贈与なら、贈与開始時期を気にせず節税効果を得られるので、相続時精算課税の方がお得になる人が多いかもしれません。
一方で、相続時精算課税には一度選択すると暦年贈与に戻せないという注意点があります。贈与者が若い場合は暦年贈与とし、高齢になってから相続時精算課税に切り替えるという方法もあります。
各制度の詳しい内容は、インプレス刊『いちからわかる! 相続・贈与 2025年最新版』(五十嵐明彦監修)でやさしく丁寧に解説しています。家族全員で相続に対する知識を高めるため、手に取ってみてはいかがでしょう?
・価格:1,100円
・発売日:2025年2月27日
・ページ数:128ページ
・サイズ:A4変型判
・監修:五十嵐明彦
・内容
1章 相続の基本
2章 相続の節税対策
3章 相続の手続き
4章 贈与の基本
5章 贈与の節税対策
・監修プロフィール
五十嵐明彦(いがらしあきひこ)
公認会計士・税理士・社会保険労務士
明治大学商学部3年在学時に公認会計士試験に合格。その後、監査法人トーマツ(現・有限責任監査法人トーマツ)に勤務し、国内企業の監査に携わる。2001年には、明治大学特別招聘教授に。現在は、税理士法人タックス・アイズの代表社員として相続税などの資産税業務など税務業務を中心に幅広い仕事を行なう。著書に『子どもに迷惑かけたくなければ相続の準備は自分でしなさい』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。







