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OpenAI、未成年の安全なAI利用に向け日本独自のレポート
2026年3月18日 17:00
OpenAI Japanは、日本の未成年ユーザーが安全にAIを活用できる環境づくりに向けた取り組みをまとめた「未成年の安全性に関するブループリント」を発表した。未成年ユーザーの安心なAI利用のための基本方針や今後の方向性を示したもので、サービス設計を中心に保護の仕組みを整理している。
安全な利用に向けた考え方としては、安全性を設計段階から組み込むこと、ユーザーに応じた保護を行なうこと、実証を通じて安全性を継続的に高めていくことを挙げる。研究成果を製品に反映しながら、より安全な利用環境を整えていくとしている。
具体的な取り組みとしては、年齢推定技術の活用や、18歳未満ユーザー向けの安全ポリシーの適用、ペアレンタルコントロールで各種機能や利用時間などを管理できる仕組み、外部の専門家と連携したウェルビーイングを重視した安全対策を挙げる。
生成AIの利用が急速に広がるなか、若い世代にとってAIは学びや創造の新しいツールとなりつつある。一方で、誤情報や不適切なコンテンツへの配慮が不可欠であることから、未成年ユーザー向けの安全対策や保護の仕組みの強化を進める。
ChatGPTでは、自殺や自傷行為の描写、露骨な性的・暴力的コンテンツを禁止するほか、過度な食事制限などの有害な身体イメージを助長する回答への対策が徹底されている。また、未成年が危険な行動を保護者から隠す方法を案内しない設計にも取り組む。
同社は、未成年ユーザーが安心してAIと付き合い、将来の学びやキャリア形成につなげられる環境づくりについて、AI企業のみならず社会全体と連携しながら進めていくべき課題であるとする。
なお、OpenAIは2025年9月に、未成年ユーザーの安全対策を強化する方針を明らかにしており、グローバル向けの未成年の安全性に関するブループリントも発表している。
今回新たに発表された日本版のブループリントでは、日本の高校生の約6割が生成AIを利用しているという急速な普及実態や、若年層が誤情報を見極めにくいリスクが記載されているほか、安全とプライバシーを守りながら利点を活かすという日本の法制度や政策方針に強く賛同する姿勢が示されている。
子どもがAIに丸投げしない仕組みづくりを
発表会では、OpenAI Japan 政策パートナーシップ担当の大久保和也氏によるJapan Safety Blueprintの説明が行なわれたほか、早稲田大学 教育・総合科学学術院 大学院教育学研究科の田中博之教授との対談も実施された。
対談では、教育現場で生成AIの活用が広がりつつあり、生徒の学力向上や創造性の支援に役立ちはじめていると紹介。英語では話す力や書く力の強化、数学では証明の考え方を深める用途などで活用が進み、実際に集中力やテストの成績の向上といった手応えも出ているという。
レポートやスピーチの作成でも、AIを推敲の相手として使うことで表現力を高める効果が見られるとした。また、多くの生徒を受け持つ教師にとって、AIを補助役や伴走者として活用する動きも広がっており、授業を支える存在としての期待も示された。
一方で、未成年のAI利用には大人とは異なる特有の配慮が欠かせないと指摘した。特に日本の子どもにおいて懸念されるリスクは、有害情報へのアクセスよりも「AI依存」と「丸投げ」であるとし、深夜まで使い続けたり、自分で考える前に宿題やレポートをAIに任せきりにしてしまう姿勢が大きな課題だとした。
個人情報の漏洩や有害情報への対策は前提としつつ、教育の観点ではAIを単なる効率化の道具ではなく、子どもが自律的かつ創造的に考える力を支える存在であるべきとした。また、AI企業が安全対策や機能改善を継続し、行政や学校と連携しながら子どもたちのAIリテラシーを高める機会を増やしていくことへの期待も語られた。


