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Genspark、日本展開を本格化 「1回の指示で完結」を目指すAIエージェント

米AIスタートアップのGenspark(ジェンスパーク)は1月28日、日本市場への本格展開を開始すると発表した。あわせて、音声入力やカスタムワークフロー構築機能を備えた「Genspark AI Workspace 2.0」を発表した。

Gensparkは2023年12月にシリコンバレーで創業したAIエージェント企業。複数のAIを統合・制御する「エージェント型AI」を軸に、業務そのものを完結させるAIプラットフォームを提供している。

発表されたAI Workspace 2.0では、音声入力による指示、カスタムワークフロー構築が可能なAI受信トレイ、AIスライド、AI音楽およびAI音声などを新たに搭載した。AI受信トレイは、SalesforceやServiceNow、Gmail、Outlookなどの業務ツールと連携し、メール処理を自律的に行なう。例えば未読メールから重要なメールを探したり、関連性の低いメールを削除したり、メールマガジンの購読を解除できる。

5分で成果物を出力 エージェントがAIを自律的に操る

デモでは、芸能人のヒコロヒー氏と錦鯉の2名が登壇し、即興で資料作成が行なわれた。プロンプトは「Genspark、芸能人のヒコロヒーのエッセイを全世界に広める計画を考えて、5ページの資料にしておくれ」と、非常にシンプルなものであったものの約5分で資料が完成。

インターネット上の画像から資料を作成できる
Nano Banana Proを使ってマンガ風に仕上げるのも可能

これらを実現する中核技術は、同社独自の「Agentic Engine」に由来する。Agentic Engineは70以上のAIモデルを統合し、タスクの内容に応じて最適なモデルを自動的に選択・組み合わせる仕組みを採用する。このエンジンは、複数のモデルや処理を統合制御する「オーケストレーション層(Orchestration Layer)」と、実行結果を評価し改善につなげる「自己改善層(Self-Improving Layer)」の2層構造で構成されている。

複雑な指示が与えられた場合でも、「Judge Agent(審判エージェント)」と呼ばれる評価システムが処理結果を検証し、継続的に最適化を行なうことで、人の介入なしに性能を向上させる仕組みを備える。利用を重ねることでシステムが自律的に学習・改善していく点が特徴。

実際の処理では、タスクごとに各AIモデルの得意分野を分担させ、最終的に一連の作業を完遂させる。例えば、スライド作成では画像生成にNano Banana Proを用い、情報収集や文章生成をChatGPTやClaudeが担うといった形で役割を分けるという。また、インターネット上の情報を蒸留し、厳格な検証プロセスを経た20以上の高品質なデータセットを保持しており、AI特有の「ハルシネーション(もっともらしい誤情報)」を低減し、情報の正確性を高めているとしている。

Agentic Engineは、複数のテクノロジーパートナーの基盤上で最適化されている。OpenAIのリアルタイムAPIを活用することで自然な音声対話やマルチモーダル入力に対応するほか、AWSではAmazon Bedrockを中心としたAIスタックを利用し、推論コストとパフォーマンスの最適化を図る。MicrosoftとはAzureおよびAgent 365との統合を通じて、エンタープライズ向けのセキュリティやガバナンスを確保する。Anthropicもモデルプロバイダーとして連携している。

セキュリティ面では、SOC 2 Type IIおよびISO 27001の認証を取得済み。ゼロトレーニング(学習に利用しない)、エンドツーエンド暗号化、企業データ分離を実装し、GDPRやHIPAAの認証取得も進めている。

「ひとつの指示で、業務が完結する」を目指す

同社は「One Prompt, Job Done(1回の指示で仕事を完結)」をビジョンに掲げる。従来のチャットボット型AIとは異なり、ユーザーの指示に基づいて複数のツールやデータを自律的に活用し、スライド作成やメール処理などの業務成果を直接提供する点が特徴。コピー&ペーストによる非効率な作業を排除し、結果重視の体験を実現する。

日本市場について同社は米国、韓国と並ぶ「トップ3市場の1つ」と位置付けており、テレビ、交通広告、デジタルメディアを通じた露出拡大や、日本での採用活動を強化する方針を示した。同社が実施した調査では、日本企業の70%以上がAI人材不足に直面しており、その最大の理由は「AIの使い方がわからない」ことだという。

Genspark CEO エリック・ジン(Eric Jing)氏

ビジネス向けサービス「Genspark for Business」は2024年11月に開始し、8週間で1,000社以上が導入した。国内では、ADK、SBI、ソースネクスト、NTTデータ、パナソニック、テクノプロなどが採用している。同社によると、日常業務の80%を自動化することで、営業やマーケティングチームが高付加価値活動に集中できるようになり、顧客からは需要が10倍に増加した事例も報告されているという。

利用料金は、毎日100クレジットが付与される無料プラン(Free)と、毎月1万クレジットが付与されるPlusプラン、毎月12万5,000クレジットが付与されるProプランの3つ。Plusプランは月額24.99ドル、Proプランは月額249.99ドルで年額プランも用意されており、Plusプランでは年間60ドル、Proプランでは年間600ドルお得になる。

PlusとProの各プランでは、Gemini 3.0 Pro previewやClaude Sonnet 4.5、GPT-5.2などのLLM AIとのチャット、およびNano Banana Pro 2K、Seedream v4.5、Flux 2などのAI画像生成はクレジット消費なしで利用できる。

クレジット消費は行なうタスクによって異なる。例えば、Deep Researchをする場合、Freeプランは1日1回、Plusプランは月50回、Proプランは月625回利用できる。動画生成では、Veo 3 Fastの場合、5秒の生成でFreeプランは1日1回、Plusプランで月71回、Proプランで月893回生成できる。

ほかにも、作成したスライドデータは、有料プランではPowerPointやGoogleスライドで編集可能なファイルの状態でエクスポートできる。なお、エンタープライズ向けの「Genspark for Business」は人数によって料金や機能が異なる。

左から、ヒコロヒー氏、Genspark COO ウェン・サン氏、CTO カイ・ジュー氏、CEO エリック・ジン氏、錦鯉 渡辺氏、長谷川氏