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グーグルがスマホ新法対応 ブラウザ・検索エンジン選択や決済の制限緩和を開始

12月18日、スマホ新法が施行された。Googleは新法の施行に合わせて、Androidに「チョイススクリーン」を導入するなど、新たな対応を行なっていく。ブラウザや検索エンジンを自由に選べるようにしたほか、アプリ内課金の代替システムの拡大などを行なっている。

スマホ新法(スマホソフトウェア競争促進法)は、スマートフォンのOSやアプリストアなどの「プラットフォーム」に新たな競争を生み出すために、GoogleやAppleにプラットフォームの解放を求めたもの。主な取り組みとして、Webブラウザや検索エンジンを選択可能とするほか、Google Playなど以外の課金システムを利用しやすくする。

ChromeとGoogle 検索以外を選択可能にする「チョイススクリーン」

検索エンジンとブラウザの選択画面については、「チョイス スクリーン」という名称で進める。Android 15以降のスマートフォンが対象となっている。

Androidにおいては、Google Chromeがデフォルトブラウザ、Google 検索がデフォルトの検索エンジンとなっていた。従来も検索エンジンやブラウザは簡単に切り替えできたが、新法にあわせて、初期セットアップ時やOSのアップデート時などに「選択」を必須化する。

ブラウザ選択画面

ブラウザについては、BraveやInternet Browser(Samsung)、Chrome、Microsoft Edge、Yahoo!ブラウザーなど、検索エンジンはDuckDuckGo、Ecosia、Opera、Google、Bing、Yahoo! Japanなどの選択肢が用意され、ランダムに5つ表示される。

検索の選択画面

新法では、「選択肢の表示順序やその他の表示が、スマートフォンの利用者の選択を阻害するものであってはならない」とされているため、Google側が「これがオススメ」とは提案できない形になっており、Chromeを「デフォルト」とできない仕組みになっている。

このチョイススクリーンは、Androidスマートフォンのほか、iOSスマートフォン上のGoogle Chromeアプリでも順次表示される。

設定したブラウザーは、設定アプリ→[アプリ]→[デフォルトのアプリ]から変更可能。検索エンジンもホーム画面の検索バーから変更できる(機種によって異なる)。

なお、この規制はスマートフォンを対象としたもので、AndroidタブレットやテレビやプロジェクターなどのAndroidは対象外だ。

ストア外、アプリ外の課金も解放

Google Playにおけるアプリ課金の代替システムも提供開始する。

Googleでは、2022年から、ゲーム以外のデベロッパー向けに、ユーザー選択型決済のプログラム(ユーザー選択型課金/UCB)を展開しており、デジタルコンテンツのアプリ内購入において、Google Playの課金システムと並列し、別の課金システムを選択可能としていた。

新法の施行に合わせて、このプログラムの適用対象をデジタルコンテンツのアプリ内購入を行なうすべてのアプリへと拡大する。

Google Play外でのデジタルコンテンツの購入を可能とする新たなプログラムを開始。デベロッパーは、Google Playの課金システムでの購入と自社ウェブサイトでの購入の2つの選択肢を並べて提示できるようになる。この取り組みは「競争力のある手数料体系」で提供予定だが、外部課金にあたっては、ユーザーの安全とセキュリティに関する新たな要件の遵守が必須となる。

慎重な運用が不可欠

Googleでは、「常にユーザーの利便性と選択の自由を念頭に置いて製品を開発している」としており、新法の求める要件の多くを遵守していると強調。ブラウザや検索エンジンの選択のほか、「Google データ エクスポート」により、80以上の Google製品から自分のデータのコピーをダウンロード/転送できるなど、ユーザーの「選択の自由」を重視した投資を続けているとする。

新法では、約1年半にわたり公正取引委員会と協議を重ね、対応を進めてきた。欧州のデジタル市場法(DMA)では、一部の規制が難しいトレードオフを招き、結果として、機能提供が遅れるといった影響も出ていた。新法にあたり、規制当局とGoogleの間で事例を共有することで、そのような懸念を軽減できたとしており、「より的を絞った内容」(Google アジア太平洋地域 法規制政策 統括フェリシティ デイ氏)と評価する。例えば、サイバーセキュリティ、プライバシー、ユーザーの安全などの保護目的であれば「正当な理由」に基づく例外措置が認められており、「便利な機能が、法規制によって意図せず損なわれるリスクを最小限に抑えることができる」と説明している。

Googleではエコシステムの安全性とセキュリティの維持は「最優先事項」と位置づけている。同社による日本のデベロッパーの調査では、79%の回答者が主要なアプリストア以外のコンテンツ配信のセキュリティリスクを懸念しているという。そのため、意図しない結果を避けるための正しい実装や規制当局との建設的な対話、慎重な運用は今後も不可欠としている。