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「浜松町は通過する街」から脱却 大門・竹芝・芝浦の活性化に3地区が連携
2025年10月31日 08:40
浜松町芝大門・竹芝・芝浦の3地区を開発する3事業者は、各地区にある共通の地域課題を解決し、地域の価値向上を目指す、共創型のまちづくり組織「芝東京ベイ協議会」を設立した。
10月30日に設立式典を開催し、3地区の事業者(浜松町芝大門エリアマネジメント、竹芝エリアマネジメント、芝浦エリアマネジメント)が連携して取り組むまちづくりについて紹介した。
浜松町エリアは現在、浜松町芝大門の世界貿易センタービルディング、竹芝の東京ポートシティ竹芝・ウォーターズ竹芝、芝浦のBLUE FRONT SHIBAURAと3地区で大規模開発が行なわれている。
点在するスポットをひとかたまりに
芝浦エリアマネジメント 理事、野村不動産の四居 淳氏は、協議会の設立について以下のように言及。
「今回連携する3地区は、東京タワーや増上寺、旧芝離宮恩賜庭園、水辺のエリア、再開発による大型施設など、魅力あるスポットが多数あります。ですが、いずれも点在しているのが現状で、今までひとかたまりとして捉えられていなかったのが正直なところです。今回、3事業者の協議会を設立することで、3地区をひとつの塊として捉え、さらに魅力あるまちづくりを進めていこうと考えています」
また、3地区の中で、最も古くから浜松町エリアに存在する、世界貿易センタービルディングの秋元 記央氏(浜松町芝大門エリアマネジメント 専務理事)は、「浜松町は通り過ぎる街と言われることもありますが、新たな開発に加え、竹芝エリア、芝浦エリアとの連携で、来てもらう、滞在してもらう街にしていけたらと思っています」とコメントした。
芝大門エリアは、世界貿易センタービルディングの建て替えを始めとした、地上46階建てのタワーマンションや商業施設の建設などが進められており、2027年より順次開業を予定している。事業参画している参加組合員は、世界貿易センタービルディング、鹿島建設、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、東京建物の5社。
竹芝エリアは、2020年に開業した東京ポートシティ竹芝とウォーターズ竹芝を中心とした湾岸部エリア。東京ポートシティ竹芝は東急不動産を主体として開発され、歩行者用通路「ポートデッキ」で、JR浜松町駅とゆりかもめ竹芝駅と接続している。ウォーターズ竹芝はJR東日本による開発で、アトレ竹芝や四季劇場「秋」などで構成されている。
芝浦エリアのBLUE FRONT SHIBAURAは、野村不動産とJR東日本が共同で推進しているプロジェクト。ツインタワーでの開発を進めており、25年9月に1棟目「TOWER S」が開業、2棟目「TOWER N」は2030年度の竣工を予定。JR浜松町駅から芝浦エリアにかけた新たな歩行者動線「GREEN WALK」で接続している。
回遊性向上に無料バス「はまバス」
現状、3地区の各施設は観光やビジネスの動線としては分散しており、移動がしづらいという課題がある。また、外国人来訪者数の増加を背景に、都内観光の受け皿作りや回遊動線の整備が重要となっているという。
こうした課題を解決するために、浜松町エリアの回遊性向上と地域活性化を目的とした無料循環バス「(仮称)はまバス」を、11月1日~14日に試行運行する。運行時間は8時30分~19時。乗車中にアンケートに回答すると、旧芝離宮恩賜庭園の入園券が1枚プレゼントされる。
運行ルートは、JR浜松町駅北口・旧芝離宮恩賜庭園→東京プリンスホテル→東京タワー→フェアモント東京(BLUE FRONT SHIBAURA)→インターコンチネンタル 東京ベイで、1周は約50分。運行間隔は約25分。
試行運行することで、移動手段に関する課題やニーズを把握し、今後も試走などを行なう。2027年3月の本格運用を目指していく。
海から東京を眺めるクルーズ施策
水辺を活かした回遊・クルーズ施策も用意。芝東京ベイの船着場をつなぐ各種クルーズを、11月5日まで実施する。
ウォーターズ竹芝とBLUE FRONT SHIBAURAをつなぐ「芝東京ベイクルーズ」は、レインボーブリッジや東京タワーを水上から眺める約30分の遊覧コース。11月1日~3日に実施し、価格は3,000円。1人1杯、ノンアルコールドリンクやアルコールドリンクも提供される。1日10便を運行予定。
竹芝・日の出・有明を結ぶ「東京湾周遊クルーズ」は、東京ビッグサイトで開催中の「Japan Mobility Show」と連動した特別クルーズ。船上でドローンによる集合写真撮影も行なわれる。11月2日~3日に実施し、価格は2,500円。所要時間は1時間。
東京湾をEV船で進みながら浜離宮恩賜庭園を眺める「水辺から浜離宮恩賜庭園を眺めるクルーズ」は、10月13日から実施しており11月5日まで乗船可能。価格は500円。所要時間は10分。乗船は、ウォーターズ竹芝桟橋前と、浜離宮恩賜庭園船着場の2カ所から可能。
「クルーズ体験は9月にも実施したのですが、東京で初めて船に乗った、海から東京を見るのは初めてなどの声をいただきました。ファミリーでの乗船も多かったです。また、現在は晴海と芝浦・日の出をつなぐ舟旅通勤も実施しています。陸路だと時間が掛かるルートですが、水上だと約5分で到着します。多くの人に東京の水辺の魅力を感じてもらえたらと思います」(四居氏)
11月1日~3日にイベント
クルーズ以外にも11月1日~3日は、芝東京ベイでさまざまなイベントを実施。
旧芝離宮恩賜庭園では、伝統芸能公演やオリジナルコースター作り、同園とゆかりのある小田原の工芸品の販売などを行なう「秋の芝離宮~伝統芸能に親しもう~」を実施。
東京タワーでは、正面玄関前で「KOREAN FOOD Fes. in TOKYO TOWER 2025」を実施し、韓国グルメのキッチンカーが集結する。
ウォーターズ竹芝では、大階段にプロジェクションマッピングを映し出す「碧のキラメキ」を実施。光と音の演出で、碧の世界を体験できる。このほかキッズ向けのアクティビティ、テクノロジーの未来を体験できるイベント「ちょっと先のおもしろい未来 -CHANGE TOMORROW-」なども開催する。
BLUE FRONT SHIBAURAでは、展望テラスの一般開放や芝生広場でのピクニック、ワークショップ、屋外シネマなどを用意した「BLUE FRONT November」を実施する。ピクニックは、バスケットやテーブルなど10点セットの貸し出しなども行なう。
これらの情報は、11月1日に公開されるデジタルマップ「SHIBA TOKYO BAY MAP」でも確認可能。エリア内の施設情報や飲食店、観光、エンタメなどをイラストでまとめており、はまバスやクルーズの運行状況も表示される。
スマートシティとしての取り組み
竹芝地区は東京都の「スマート東京」先行実施エリアにも採択されており、東急不動産とソフトバンクが進めている「スマートシティ竹芝」の取り組みを、芝東京ベイに発展・拡大展開していく。
さまざまな街のデータをリアルタイムで活用するデータ流通プラットフォーム(都市 OS)を活用し、地域課題である回遊性向上と防災力強化につなげるサービスを実装。
2022年から運用している公式LINEアカウント「芝東京ベイ公式LINE」をタウンポータルとして、エリア内のイベント情報や交通情報の集約・提供、平常時や発災時の防災情報の提供、天候や交通状況などの街のリアルタイムデータと連動しお得な情報が届くリアルタイムインセンティブシステムの導入などを進めている。
また、エリア間で共通の情報発信デバイスとして、竹芝で導入しているエリアサイネージを拡大し、BLUE FRONT SHIBAURA、Hi-NODE、世界貿易センタービルディング南館にも試験導入し、エリア情報やリアルタイム情報の発信などを行なっていく。



















